Sunday, January 29, 2006

卒業論文を書くということとレヴィ=ストロース

卒業論文を書くこととはどういうことなのかについて、内田樹先生が「贈与なんです。学術性の本質は。」というたいへん美しい言葉で述べられている。私もゼミの中で、「卒業論文は世の中をハッピーにするために書くのだ」みたいな言い方で、内田先生と同じようなことを伝えようとしていたつもりなのだが、貧困な表現でした、すんません (^_^;;

ちなみにこの「贈与」という言葉は、おそらくクロード・レヴィ=ストロース老師『親族の基本構造』『構造人類学』に基づいての発言であろう(贈与論と言えば老師も参考にしているマルセル・モースであるが、ここでは話の展開上 (^_^;; 老師に決めうち)。この本は、ある地域の部族間の女性の贈与=婚姻に一見わけのわからない複雑なルールがあることに着目し、それが極めて厳密な数学的構造を持っており、それによってひとつの部族に富が集中せず、平等に分配される機能をはたしていることを発見した、というような内容である。

この本をはじめとする老師の著作は、歴史学を含む人文系諸科学に大きな影響を与えた重要なものばかりである。もちろん、情報歴史学の研究のためにも重要で、情報歴史学に必要なメタな視点(これについてはまた書くつもり)を養うために老師の著作は大いに役に立つ。

とは言え、難解な老師の本をいきなり読もうと思ってもしんどいので、学生諸君には同じ内田先生の『寝ながら学べる構造主義』がお勧め。そしてこれを読んで老師に興味を持ったら、実際に老師の本を手にとってもいいし、あるいはフーコー老師など、他の老師の著作に進んでもいい。とにかく、少なくとも、内田先生の本はぜひ読んでほしい。

Thursday, January 26, 2006

情報歴史学ブログ、スタート

このブログは、花園大学文学部史学科情報歴史学コースの学生(と、そのコースの学生が中心となっている情報歴史学研究会のメンバー)のためのブログである。もちろん、それ以外の方に読んでもらっても、トラックバックを送ってもらっても、コメントを書いてもらっても、全然問題はない(というか、大歓迎)。

このブログでは、ゼミや授業で出た話題の補足説明や、課題、関連イベントの告知、その他雑感について、担当教員が書く予定である。基本的に週に一度しか顔をあわせない教員と学生とのあいだで継続性を保つための手段としてブログが注目されているが、それを情報歴史学コースでもやってみようと思った次第である小川利康さんが取り組まれていることを猿真似しているだけだったりする)。加えて、単に教育目的としてではなく、コミュニケーションツールとしてのブログ、特に専門知へのインターフェースとしてのブログの可能性について、実践を通じた検討を行ってみようという研究としての目的もある。

いずれにせよ、情報歴史学コースの学生には毎日のようにチェックしてもらうことになると思うので、よろしくね。