Tuesday, January 30, 2007

日本史の一級史料

山本博文氏の『日本史の一級史料』(光文社新書)は、全体的に薄味な感じで、まとまりも感じられないが、文献史学という分野をほとんど何も知らない人が、どんなことをしているのかを(近世史中心だが)イメージするのにはいいかもしれない。また、東京大学史料編纂所でどんな活動をしているのか、『大日本史料』などがどんな感じで編纂されていて、データベースがどのように作られているのかなどが、簡単に紹介されており、最初のとっかかりの本として有用だろう。



史料編纂所のデータベースを含む文献史学系のデータベースについてもう少し詳しく知りたい場合には、ちょっと古いけど『人文学と情報処理』25(特集:歴史学系データベースと文字コード)とか『人文学と情報処理』22(特集:日本史研究の情報化)あたりでまとまって読める。あとはいろんな雑誌や書籍にバラバラに入ってたりするので、探してみよう(情報処理学会・人文科学とコンピュータ研究会研究報告やシンポジウムの論集などから始めるのが吉)。

Tuesday, January 23, 2007

【シンポジウム】「文理融合」による新「知識資源学」の創成

3月1〜3日に行われる東京工業大学のイベント。
おもしろそうな発表があるので、大学の行事がなければ行きたいところだが。

ところで、ここで言う「文理融合」というのはどういう意味なのだろう。このイベントに限らず、いろいろなところで「文理融合」という宣伝文句を聞くようになったが、理系の人が文系の人の研究対象を理系の方法で研究する、というのが多いように思う。でも、方法が理系ならそれは理系の研究だよなぁ、と思う——例えば、歴史学の人がコンピュータの歴史を研究しても「文理融合」とは言わないように。

私個人の考えでは、情報歴史学は「文理融合」ではない。もうちょっと正確に言うと、そもそも文・理は「融合」させなければいけないほど離れたものではなく、対象も方法も重なっているところが多い。ところが各分野の専門化、細分化、蛸壺化が進んで、「重なっているところ」が見えにくくなってきた。ところがコンピュータの登場によって、「重なっているところ」が見えやすくなった。情報歴史学はその部分なんだろうと思う。

以下にあげる本は、文学の研究書だけれど、そういう「重なっているところ」的な雰囲気に溢れたものでおすすめである(ちなみに、物語理論は歴史学においても重要なので、おさえておきたいジャンルである)。



ちなみに、翻訳した岩松先生は国文学科で非常勤講師をされている。実はこっそり花大系なのである。