Tuesday, October 27, 2009

第29回 花園大学史学会大会

今年の史学会の大会では、我らが後藤真先生が登壇します。

第29回 花園大学史学会大会
日時:2009年11月21日(土)13:00〜16:20
会場:花園大学無聖館5階ホール
受付:12:45〜
プログラム:
  • 研究発表 13:00〜13:40
    山口洋子「京狩野派と公家後援者たち」
  • 特別発表 13:40〜14:40
    後藤真「歴史情報の総体化と可視化の試み —奈良時代における「写経の世界」を題材に—」
  • 特別発表 15:00〜16:00
    中野渡俊治「平安時代初期太上天皇制の展開」
  • 総会 16:00〜16:20
  • 懇親会 18:00〜20:00
後藤先生の発表がどんなものかはまだわからないが、たとえどんなものであっても、発表内容もさることながら、普段ゼミでやっている(説明している)情報歴史学的な論の立て方(発表の仕方、論文の書き方)について、すごく勉強になるはずだ。特に3、4回生には参考になるだろう。応援もかねて、万難を排して見に行くように。

11月〜12月の関連イベント

これから12月にかけて、情報歴史学関連のイベントが関西でも多数開催されます。うちのゼミ生にぜひ行ってもらいたいイベントをいくつかリストアップしておきます。
岡本さんはゼミ旅行でお世話になった恩義のある方です。内容もきっとおもしろい(特に学術情報の発信をテーマとして考えている学生はかなりストライクゾーン)ので、ぜひ聞きにいきましょう。

あとの3つは例年のイベントですが、今年はじんもんこんが関西に来るので、これを逃すのはもったいないですね。あと漢字文献情報処理研究会の大会は本学で開催されるので、こちらも聞きに来ましょう。

Tuesday, October 13, 2009

中間発表終わる

しばらく間があいてしまいました。

今日は卒論中間発表でした。4回生がB4の紙に概要・章立て・史資料・参考文献の4パートからなるレジュメを切って(レジュメってなんで「切る」って言うんだろう)、自分の卒業論文について発表する、というものです。史学科全4回生が一箇所に集まってやると時間がかかりすぎるので、いくつかのゼミでグループ分けします。今年、情報歴史学ゼミは芳井先生の民俗学ゼミと、福島先生の美術史ゼミと合同でした。

ゼミ生の題目は以下の通り:
  • 小川亮「地域活性のための3次元CGによる小谷城の復元」
  • 大黒元気「GISを使った土地利用の変遷」
  • 大藤雄亮「江戸城内部の構造の3DCG作成について」
  • 手塚宗二郎「中世の大鎧の3DCG作成と問題点」
  • 本郷聡明「マルチエージェント・シミュレーションによる縄文時代の未発見遺跡推定」
内容については…例年と比べてもちょっと努力が足りず、正直残念な発表がいくつかありました。まあ、来週以降、どんどん尻を叩いていくことにしましょう。卒業式の頃、「卒論をもうちょっとがんばればよかった」という声を毎年耳にします。後悔先に立たず。悔いのないようにがんばってほしいものです。

Sunday, July 26, 2009

情報歴史学入門 - 京都民報Web

『情報歴史学入門』の紹介記事が『京都民報』に載りました。
ありがとうございます。



Amazonの「なか見!検索」にも対応しています。どうぞよろしく。

アーカイブズ学文献データベース

2009-07-26 - Daily Searchivist経由で知りました。ありがとうございます。
これはうちのゼミ生にとっては、非常に有用なデータベースですね。先行研究調査がまたひとつ楽になった。「データベース」で検索すると、たくさん検索結果が出て来ます。

Saturday, July 25, 2009

アート・ドキュメンテーション学会ブログ

標題の通り、アート・ドキュメンテーション学会のブログが開設された。
この学会は「図書館、美術館・博物館、美術研究機関、関連メディア、及びこれらに関係あるものの連絡・連携のもとに、わが国、さらには国際間における、アート・ドキュメンテーションをめぐる諸問題の解決と進展に寄与すること」を目的とし、図書館や博物館における情報公開や画像データベースの開発・公開の問題など(だけではないけど)を議論したりしているので、学会自身の情報発信もまた、それ自体が大きな研究課題となりうる取り組みなんだろうと思われる。

情報歴史学関係者は要チェックである。いろいろ勉強になると思うので、RSSリーダーとかに登録しておこう。

Tuesday, July 21, 2009

住まいのミュージアムはすごい

現在、情報歴史学研究会では江戸時代の京町家の復元を行っている。その調査の一環で、住まいのミュージアム・大阪くらしの今昔館を訪れた。文化遺産学科の明珍先生が作った博物館なので、特別にガイドをつけてもらい、通常は見ることができない部分も見せていただくことができた(下の写真は、通常は開いている木戸門を特別に閉めてもらったところ)。

この木戸門をはじめとするすべての建物は、実は新品の材木を使って新築したものを、あれこれやってウェザリング&エイジングしたものなのである。特に長屋の腐りぐあいとか、すごすぎ。

参加学生の頭の中には町家の図面がインプットされているので、見てまわるのが楽しくて仕方がない、という感じ。よい勉強をさせていただきました。関係の皆様に感謝!

Wednesday, July 08, 2009

情報歴史学たぬき

先日のゼミ旅行で行った信楽で買ったタヌキが届きました。

彼が持っている看板の「情報歴史学」は合成ではありません (^_^;; ちゃんとしたオーダーメイドです。

とりあえず買ったはいいものの、どこに置くかに頭を悩ませているところです。

Tuesday, June 23, 2009

春のゼミ旅行@甲賀・信楽

今年の6月のゼミ旅行は、甲賀・信楽方面であった。前日までざーざーと降っていた雨も止み、快晴(ただし暑い (^_^;;)。



最初の目的地は水口城跡。そういえば昨年秋のゼミ旅行も滋賀県の城跡であった。城の復元とかの研究をしているゼミ生が多いと、自然とそうなる。

ここで見せてもらった資料館の建物(もともと城で使われていた柱などを再利用しているらしい)や岡山城の復元図、水口城の解説ビデオなどを見て、うちの研究室で協力できる(やらせてもらいたい)ことがいろいろあるんじゃないかと思う。

次に向かったのが甲賀流忍術屋敷。まあ興味半分で行ってみたのだが、いろいろ得るものはあった。


次に立ち寄ったのが紫香楽宮跡。思ったより荒んでいたのが気になったり。


最後に信楽でタヌキの置物を物色してゼミ旅行はおしまい。帰りの高速道路で事故渋滞につかまっちゃったけど、無事に帰ることができました。

コッチミンナー

Saturday, May 30, 2009

【ニュース】東大史料編纂所と奈文研のデータベースが連携へ

タイトルのまんまですが、そういうニュースが流れました。
古代史をやってる人にはうれしいニュースかも。いろいろなデータベースが一括で検索できるのは、けっこううれしいものです。
奈良文化財研究所の渡辺晃宏・史料研究室長は「国内を代表する両機関の連携が他機関の連携の起爆剤にもなれば」と話している。
同感。しなくていいところが連携してもしかたがないけど、こういう例は大歓迎。

Saturday, May 02, 2009

【イベント】シンポジウム「陵墓公開運動の30年」

いくつかのサイト、ブログで告知されていますが、「陵墓公開運動の30年」というシンポジウムが、京都で開催されます。
開催案内を山田先生のブログから勝手に転載します。
シンポジウム「陵墓公開運動の30年-佐紀陵山古墳・伏見城の報告とともに-」
1979年に白髪山古墳が限定公開されてから今年で30年。この節目の年に、本年2月の立ち入りの成果紹介を行いつつ、「陵墓」とその公開のあり方をあらためて考えます。
日時:5月17日(日) 13:00~17:30
場所:キャンパスプラザ京都(JR京都駅下車、西北へ徒歩3分)5階第1講義室(事前申し込み不要、ただし定員は当日先着300名)
資料代:500円
主催:陵墓関係16学・協会(大阪歴史学会、京都民科歴史部会、考古学研究会、古代学協会、古代学研究会、史学会、地方史研究協議会、奈良歴史研究会、日本考古学協会、日本史研究会、日本歴史学協会、文化財保存全国協議会、歴史科学協議会、歴史学会、歴史学研究会、歴史教育者協議会)
主催者挨拶:福永伸哉(日本考古学協会)
陵墓公開を求めて30年:宮川徏(文化財保存全国協議会)
佐紀陵山古墳の報告:岸本直文(大阪歴史学会)
伏見城跡(桃山御陵地)の立ち入り調査:山田邦和(古代学協会)、仁木宏(大阪歴史学会)、松尾信裕(日本歴史学協会)
陵墓公開運動のこれから:後藤真(日本史研究会)
ディスカッション:司会:谷口榮(地方史研究協議会)、森岡秀人(歴史科学協議会)
ご覧の通り、我らが後藤真先生も登壇するようです。ということは、例の裏プロジェクトも表に出るのかな? いずれにせよ、注目のイベントです。

Thursday, April 30, 2009

DSの開発環境を配布?

先日投稿した情報歴史学研究室: 京都文化博物館でNintendo DSを使った展示支援に関連する情報が流れてきた。NIKKEI NET(日経ネット):任天堂、「DS」の用途拡大 学校で自作教材を配信によると、
学校で先生がつくった独自の教材をDSに配信し生徒が解答できるようにしたり、博物館で展示物の解説をDSで聞けるようにしたりする。公共施設などが目的に合わせて独自のコンテンツを簡単に作成し、DSに配信できるシステムを新たに開発した。
例えば学校が導入する場合、生徒にあらかじめDSを配布。教員がパソコンからDSに自作の教材を無線で配信すれば、テストなどの解答を教 師のパソコンで一覧できるようになる。学校側は必要なソフトをパソコンに組み込んで使う。設備としては無線LAN(構内情報通信網)対応の装置を導入すれ ば利用できる。
とのこと。とすると京都文化博物館の事例は、これのテストなのかもしれない。本学の歴史博物館にも応用可能なら、やってみたいところ。

Tuesday, April 28, 2009

京都文化博物館でNintendo DSを使った展示支援

京都文化博物館でNintendo DSを使った展示の閲覧支援をしているらしい。時雨殿とは違って、自分のDSを持ち込む必要がある。
京都新聞によると、
21日から6日間の試験運用では多くの来館者が利用し、西京区の豊田武さん(69)は「画像と音で作品の魅力が伝わってくる」と話していた。
とのことだが、失礼ながら69歳の方がマイDSを持ってらっしゃるとも思えないので(ちなみに私も持っていない)、試験運用のときだけ貸し出したりしたのだろうか。本当に「画像と音で作品の魅力が伝わってくる」ものであれば、ぜひ体験したいものである。

Friday, April 24, 2009

『情報歴史学入門』出ました

情報歴史学担当の教員3名による『情報歴史学入門』が出版されました(されています)。Amazonに出るまでブログでの紹介は控えようと思ってたけど、我慢できずに一般公開。

後藤真・田中正流・師茂樹『情報歴史学入門』(金壽堂出版、2009年3月)

情報歴史学コースの学生は教科書指定をしているので、当たり前だが買って下さい。ぶっちゃけて言うとこの本は、情報歴史学コースの先輩たちの人体実験の上にできあがった、現役の君たち(未来の学生)のために書かれた本なのです。もちろんそれ以外の方々にも手に取っていただけたら幸いです。

目次は以下の通り:
  • 情報歴史学の目指すもの
  • この本の読み方
  • 第1部 データベースの読み方
    • 第1章 木簡データベースを読む
    • 第2章 正倉院文書データベース(SOMODA)を読む
    • 第3章 怪異・妖怪伝承データベースを読む
    • 第4章 文化庁「子ども文化教室」を読む
  • 第2部 デジタル化の技法
    • 第1章 目録類のデータベース
    • 第2章 文献史料
    • 第3章 モノ史料/建物/遺跡
    • 第4章 無形民俗文化財
    • 第5章 地理情報
  • 第3部 情報を引き出す
    • 第1章 はじめに
    • 第2章 検索
    • 第3章 数理的分析
    • 第4章 シミュレーション
  • 第4部 情報を発信する
    • 第1章 著作権とライセンス
    • 第2章 様々な公開方法
    • 第3章 利用状況調査とフィードバック
  • 第5部 卒業論文に向けて
    • 第1章 問題を立てる
    • 第2章 先行研究の集め方
    • 第3章 論文の書き方
    • 第4章 卒業制作の流れ
  • あとがき
  • 著者紹介
  • コラム
    • Wikipediaをどのようにつかうのか
    • どの言語から始めるか
    • 歴史学の方法
    • バックアップは念入りに
    • ブログでの論文のメモ
    • ウェブサイトやソフトウェアの引用方法

Tuesday, April 21, 2009

情報歴史学コース全体指導2009

今日は情報歴史学コース全体指導&懇親会でした。2回生が都合で出席できなかったのは残念ですが、3、4回生で交流が深められたのはよかったですね。あと、OBが2名、参加してくれたのは嬉しかったです。研究会の参加者も増えそうで何よりですね。

写真を取り損ねたのは失敗した (^_^;; お疲れさんでした。

Wednesday, April 15, 2009

今後の予定

4月21日(火)18:00〜に、毎年恒例の情報歴史学コース全体指導を行います。その後、またいつもの通り懇親会をします。コース所属の学生は原則全員参加ですが、欠席する者はあらかじめ連絡をするように。OB・OGで参加希望の人も、ご連絡を。

情報歴史学研究会は、28日(火)から原則毎週、18時スタートでやる予定です。昨年度の積み残しのほか、新しいネタ(明珍先生の研究会、考古学研究室とのコラボなど)もありますので、多くの学生の参加を待ってます。研究会の方は、情報歴史学コース以外の学生も参加OKです。

Friday, April 10, 2009

春のイベントは東京

この春は、情報歴史学系のイベントが東京で多く開催されるようだ。

Tuesday, March 17, 2009

2008年度学位記授与式

卒業おめでとう!今日は学位授与式でした。

京都で就職する人もいるけど、多くは地元に帰ったり、近畿圏以外で就職したりと、ゼミのメンバーはバラバラになってしまう。でも、いつか何処かで会えたらいいね。I feel the echo...

Sunday, March 01, 2009

注目の近刊(一部手前味噌)

昔『人文学とコンピュータ』という雑誌を出していた勉誠出版から、注目すべき本が2冊出るようだ。
どちらも情報歴史学に非常に関係の深い内容だと思われる。出版が楽しみである。ちなみに同社からは、もうすぐ、私(師)の論文が載っているこんな本も出る。
こちらもよろしく。文字コードの問題も論じられているので、情報歴史学には関係がある話題だし。

Saturday, February 14, 2009

卒論へのコメント (3)

(2)の続き。

武市篤志「近江人物データベースの作成と公開」

武市論文は、京都や奈良に比べて近江(滋賀県)の歴史が知られていない、という問題意識のもと、近江人物データベースを作成し、それを小学校〜高等学校で利用してもらうことで、滋賀県の歴史研究を活発にしたい、というものである。

所謂「新学習指導要領」においては、例えば中学校の社会の歴史的分野における指導要領として、
身近な地域の歴史を調べる活動を通して、地域への関心を高め、地域の具体的な事柄とのかかわりの中で我が国の歴史を理解させるとともに、歴史の学び方を身に付けさせる。
と述べられているので、特定地域向けの歴史教育用のウェブ・コンテンツを作成することは、それなりに意義はあろうかと思う。しかし、「近江(滋賀県)の歴史が知られていない」という評価は印象論に過ぎず(悪く言えば、滋賀県民の京都、奈良に対するひがみ? (^_^;;)、先行事例として近代日本人の肖像を評価する際も「写真が出ているので親しみやすい」みたいな表層的な評価にとどまっている。また、そもそもデータベースが作られておらず、机上の空論と言われても仕方がない。もっと頑張って欲しかった。

富士田暁「近年の皇位継承問題に関する文献データベースの作成と公開」

タイトルの「近年の皇位継承問題」とは、小泉首相の頃、皇室典範を改正するとかしないとか揉めていたあの問題である(皇位継承問題 (平成) - Wikipedia参照)。富士田論文では、何十年か後に恐らくは再びおこるであろう皇位継承問題において、国民一人一人が正しい知識を持ち、活発に議論することでこの問題の解決を目指すべきだ、という問題意識のもと、それに資するデータベースの作成と公開について論じている。データベースに収録される「文献」とは、週刊誌や新聞などの記事が中心である。

「国民的議論を喚起したい」という点をめぐって、大きな問題点がいくつか考えられる。そもそも天皇制に反対している人も、無関心な人も「国民」である。特に前者の発表した論文等は収録するのかしないのか(しないのであれば「国民的議論」にならない)、という問題は曖昧にされたままである(データベースには収録されていなかったが)。また、データベースを作成すれば「国民的議論」が発生するかというとそれは多分無理で、データベースを利用してもらう仕組みを考えなければならないだろう(この点は岡本論文のテーマでもある。(1)参照)。

現段階では、プロトタイプということもあり、インターネットでは公開していないが、ARGの岡本真さんからのアドバイスもあり、公開を目指しているとのことなので、期待&応援したい。

小田島太郎「シュルレアリスムの定義からみたお笑いのシュール」

小田島論文のテーマは、見ての通り情報歴史学とはほとんど関係がない。何度も面談して、すでにプロのお笑いの世界に半分入っている小田島さんの(大袈裟に言えば)実存を尊重して、特別にこのテーマを認めた次第である。

さて、この論文では、「シュール」と評価されるお笑いのネタが、ブルトン「シュルレアリスム宣言」などに見られる「シュルレアリスム」の定義と比較することで、お笑いにおける「シュール」を評価しよう、というものである。具体的にとりあげられるお笑い芸人は、シティボーイズ、ラーメンズ、千原兄弟である。

遺跡調査報告書電子化の新たな試み?

以下のようなイベントがあるようです。

Thursday, February 12, 2009

卒論へのコメント (2)

(1)の続き。

坂本華奈「珍敷塚古墳の3DCG復元とその問題点について」

坂本論文は、福岡県うきは市にある屋形古墳群のひとつで、ヒキガエルなどの絵で知られている装飾古墳である珍敷塚古墳の復元についての研究である。この古墳は現在、壁の一部しか残っておらず、また保護のため展示にも制限が加えられているという状況である。この古墳については、壁の絵をどのように解釈するか、という研究は多くなされているものの、石室などの全体的な構造については研究が進んでいるとは言えない。3DCGによる復元を試みることで、全体像の研究に資したい、というのが主旨。

時間をかけて作成したCGは、未完成ではあるが、その努力を多としたい。

問題点をあげれば、本研究の目的は序論では「石室や外形」「全体像を検討」となっているものの、論文の後半にはムービーについて議論が展開され、そこでは研究者以外の人(見学者)の利用(展示)も想定されているようである。結局、目的はどこにあるのか、はっきりしない。

また、どのような目的であるにせよ、ムービーの見せ方が論文に書かれているような方法でよいのかについては、単に先行事例を踏襲するだけでなく、もっと検討すべきであっただろう。

副査の高橋克壽先生からいろいろ貴重なアドバイスをいただけてありがたかった。可能ならば、ちゃんとしたものに仕上げて展示してみたいですね。

清水祥央「宮上茂隆案に基づく安土城の3DCG復元」

安土城の復元案については様々な説が出されているが、内藤昌氏の案がメジャーとなり、メディアを通じて広く知られている。しかし、内藤氏の説に対しては様々な批判がなされており、内藤説が一人歩きしている状況は好ましくない。清水論文では、内藤昌氏以外の有力な説として宮上茂隆氏の説を採用し、それによる3DCG復元を試みる。

研究史のまとめは、川村信三氏の「「史実」とは何か —安土城天主(守)復元「論争」の顛末—」(『歴史家の散歩道』所収)に大きく依拠している。


着眼点はおもしろいが、3DCGは完成にはほど遠く、また論文も単なる安土城研究史の概観にとどまっており、もう少し早く準備していればと悔やまれる。

Wednesday, February 11, 2009

卒論へのコメント (1)

昨日、口述試問が無事に終わったので、簡単にメモしておこう(参考: 2006年度2007年度)。

岡本知沙「WWWにおける高い集客能力のあるコンテンツの分析 〜2ちゃんねる、ニコニコ動画を中心に〜」

岡本論文は、序論で次のように述べる。
近年、大学や研究機関、図書館などにおいて、多くのデジタルアーカイブやデジタルコンテンツが公開されるようになってきている。しかしながら、それらの多くは作りっぱなしの場合が多く、開発費に見合った効果が得られたのかどうか、検証されることはほとんどない。
この問題を解決するための予備的考察として、岡本さんは2ちゃんねるニコニコ動画など、ユーザーが多く集まり、積極的に活用されているサイトの分析を行う、というのが本論文の主旨である。

「作ったものは立派だと思う。で、どうやってユーザーに使ってもらうの?」という問題は、人文科学とコンピュータ研究会の発表でもしばしば聞かれるもので、岡本真さんの『これからホームページをつくる研究者のために』とも問題意識を共有している。また、2ちゃんねるとかニコ動の分析は、濱野智史氏の『アーキテクチャの生態系』などによって、単なる印象論から脱しつつある状況で、これまた時宜を得ていると言える。


その意味では着眼点がとても興味深く、またいろいろな先行研究を参照している点も評価できる。しかし、問題点を絞り込むことができず広く浅くなってしまい、各章に有機的なつながりがなく、つぎはぎな感じになってしまったのは残念である。序論で述べられたデジタルアーカイブの問題点の解決策についても、それまでの議論をふまえたものには必ずしもなっておらず、その点も残念。

また——先行研究にありがちな、新しいネット文化を過大評価するトーンに毒されてしまっているのかもしれないが——2ちゃんねるやニコ動のコアなユーザーを過大評価、あるいは一般化しすぎているように見受けられる。加えてこれらのサイトを分析する際に使われる「ネタ」という概念が、「真実」「情報」の反対概念だったり、コミュニケーションの種だったりと、非常に都合のいい万能な用語として使われている印象がある。

小笠原祐也「日本中世都市史に関する研究文献データベースの作成と公開」

日本中世都市史に関する研究史をまとめた前半部分は、副査の先生に「ここだけは文献史学の論文として発表してもよいくらい」と言われるぐらいよくできている。

しかしながら、この研究史のまとめや、先行データベース(例えば国立歴史民俗博物館中世地方都市データベースなど)の評価が、実際のデータベースの作成にあまり活かされていないのが残念である。例えば、研究史のまとめにおいて注目されていた「曖昧な都市概念」「都市的な場」のような問題に対して、このデータベースはどのような解決策を提供しているのか。論文の中でも、データベースの設計レベルでも、この点ははっきりと示して欲しかった。あるいは、中世都市データベースの「都市情報の検索」という機能をただ紹介するだけでなく、その必要性を批判的に評価することができれば、データベースのあり方は今とは違ったものになったのではないだろうか。

(他の学生もそうだが)論文とデータベースなどの作品とが、どちらか片方ではなく、両方必要である点をもう少し考えて欲しい。

Monday, January 26, 2009

GPSのデータをGoogle Earthに読み込んでみた

馬場南遺跡(神雄寺跡)発掘調査 現地説明会に行ったとき、GPSもいっしょに持っていった。電源をいれっぱなしにして、リュックの外ポケットに入れっぱなし。このとき歩いた軌跡のデータをGoogle Earthに読み込んでみたら、以下の通り。

神雄寺のあたりが林っぽかったけど、あとは空が見える場所なので、そんなに大きなずれはないと思う。あとで写真ファイルに埋め込んでみよう。

Thursday, January 22, 2009

MicrosoftのImage Composite Editorはなかなか優秀

MicrosoftのImage Composite Editorはパノラマ写真を作るソフトなのだが、無償の割になかなか優秀だ。

下の画像は、馬場南遺跡(神雄寺跡)発掘調査 現地説明会に行ったときに撮った写真を5枚、放り込んだら、うまい具合につないでくれたパノラマ写真。左手に見えるのが文廻池。中央の人だかりが馬場南遺跡(神雄寺跡)である。


もう一枚は、発掘現場の南端あたりから北に向かって撮った写真をつなげたもの。現地説明会の会場なので撮影中も人が移動しており、写真にもそれが写っているのだが、うまいことつなげてくれている。

ちなみに、左下のパイプと右下のパイプは同一直線上にある。パノラマだからこうなっちゃうのね(途中ずれてるところもあるし)。ゆがんでしまうのに目をつぶれば、雰囲気をつかむのにはよいのではないかな。ここからQuickTime VRにできたりしたら面白いんだが。

Friday, January 16, 2009

週刊 安土城をつくる

週刊 安土城をつくるというシリーズがデアゴスティーニから出るらしい。今年、卒論のテーマとして安土城の復元に取り組んだ学生もいるし、ちょっと欲しいなぁ、と思ったりする。

でも110号まであるらしいから、2年間、毎週1500円ずつ払う根気はないなぁ (^_^;)

Thursday, January 15, 2009

デジタル情報の長期保存に暗雲(日経新聞)

『日経新聞』2008年12月27日朝刊「文化」欄に「学術資料や映像記録 デジタル情報の長期保存に暗雲 媒体に寿命 更新コスト莫大」という記事が載っている。

昨年10月に開催された国際シンポジウム 「デジタル知の恒久的な保存と活用にむけて―デジタルジレンマへの挑戦」の報告がメイン。例えば「品質でフィルムと同等の4k(画面を横4096、縦2160の画素で表現)のデジタル映画は、一本当たりの保管コストがフィルム映画の11倍にもなる」ため、最近ハリウッドでは保存用の映画をフィルムに焼き直しているらしい。このシンポジウムも「デジタルが最上と信じてきたが、『そんな問題があったのか』との思いに駆られて企画した」との由。

この記事の中で、我らが後藤先生がコメントを寄せている:
花園大学の後藤真専任講師は、「ハードディスクが稼働を始めて三ヶ月で二%の不具合が発生、五年で一〇%弱に達したとする、米国での調査結果がある」と話す。
新聞記事なので、後藤先生の発言や意図はかなり端折られていると想像する(私も経験あるので (^_^;;)。後藤先生のことだから、ハードディスクがどーのというような物理的な話がメインではなく、保存とはそもそもどんな行為か、みたいなこととか、史料論的なこととか、政策的なこととかを話したんじゃないかと思うが、そのへんは身内特権でご本人から聞くとしよう。

しかしまあ、ハリウッドの人たちの中には、「お前ら情報屋が『これからはデジタルですよ』なんて言うから高い金を払って設備投資したのに、今頃になって『デジタルは保たない』とか言うなよ、ボケ」なんて思ってる人もいるんだろうなぁ (^_^;; 善意に基づいているとは言え、自作自演と言われても仕方がない(ほかの業界でもよく見るけどね)。私も「デジタル万歳」的なことを発言したり論文に書いたりしてるので、片棒を担いでます。すいませんすいませんすいません。

もっとも保存だけがデジタルの目的ではなく、先の映画の例で言えば、ポストプロダクションとかでデジタルの恩恵(特殊効果とかね)を多分に受けているだろうから、トータルでデジタル化はプラスだったのかマイナスだったのか、評価をしなければならないんだろうけど。

Friday, January 09, 2009

卒論〆切日

今日は卒業論文提出〆切日。提出予定の7名が全員無事、提出した。よかった、よかった。