しかしながら、この手の研究はその後興味深い展開を見せる。単に便利なツールとしてメディアを使うのではなく、そもそも現代の様々なメディアで民俗学・民族学・文化人類学が対象とするような情報が流通し、研究者だけでなく研究される側(伝統芸能の担い手とか)もそれを受容している(場合によっては積極的に活用している)という状況をどう考えるべきか、あるいは、例えばマルチメディアを使って民族学等の情報をインターネットで流すという行為は何を意味するのか、というような問題が検討されるようになったのである。代表的な本を一冊、紹介しておこう:
このような問題の一端については、授業で新谷尚紀「映像民俗誌論―『芸北神楽民俗誌』とその制作の現場から―」(『民俗学の資料論』
この本に収録されている論文の多くは、クリフォード・ギアーツの『文化の読み方/書き方』を参照している。読みやすい本なので、こちらもぜひ読んで欲しい。
「文化を書く」ということは、民俗学などだけの問題ではない。歴史学全般、ないし人文学全般に関連する問題である。情報歴史学でやっている、例えば遺跡の3D再現などはまさに「文化を書く」という行為そのものだ。我々は「電子メディアを飼いなら」しつつ、「文化を書く」ことについて考え、実践しなければならないのである。
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