Tuesday, October 24, 2006

マルチメディアによる民族学

情報歴史学研究室: ベトナムの祖先祭祀の続き。

『国立民族学博物館調査報告』35・大森康宏編<マルチメディアによる民族学>には、コンピュータ技術を使った民族学/民俗学、文化史学、文化財保存科学などの問題が論じられており、興味深い一冊である。末成さんのベトナムの論文も載っているし、江戸文化に関するものもある。

史学科の共同研究室にもあるので、是非読んでほしい。

ベトナムの祖先祭祀

末成道男『ベトナムの祖先祭祀 潮曲の社会生活』(1998年)にはCD-ROMがついている。CD-ROMの内容紹介によると、
フィールド調査で得た映像・文書・その他の資料を「マルティメディアの民族誌」として編集することをめざしたが、時間等の制約もあって実験的な試みにとどまっている。
とのことであるが、現在も模索されているオンライン民族誌のご先祖にあたるとも考えられ、研究史的に興味深いだろう。

Wednesday, October 18, 2006

鎌倉遺文フルテキストデータベース公開

東京大学史料編纂所が鎌倉遺文フルテキストデータベースを公開した(ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版 - 東京大学史料編纂所、鎌倉遺文フルテキストデータベースを公開経由で知りました。いつも感謝です)。

『鎌倉遺文』について知らない学生はちゃんと調べておくように。それがわかれば、インパクトの大きさがわかろうもの。

Tuesday, October 17, 2006

『漢字文献情報処理研究』第7号

『漢字文献情報処理研究』第7号が出版された。この号では、
  • 師茂樹「情報歴史学のこれから 花園大学・情報歴史学コースの4年間をふり返って」
という記事を書かせてもらった。最近、情報歴史学コースのことについて書いてくれという依頼がいくつかあって、注目されていることがわかる。ゼミでやってることを中心に書いたので、興味のある人はぜひどうぞ。

なお、この号ではWikipediaやGoogleなど、所謂Web 2.0系の記事も多い(私も少し書いている)。人文科学でも注目すべき話題だと言うことだ。このあたりも是非読んでほしい。

Saturday, October 07, 2006

ゼネティック・コンピュータ、文 脈をもった本棚

奈良県立図書情報館が、おもしろそうなことを始めるようである。
Zenetic Computerは、以前高台寺でイベントがあったときに情報歴史学コースの学生(卒業しちゃったけど)と見に行ったことがある。感想はもろ式: 読書日記: ZENetic Computerに書いた通り。

むしろ気になるのは、同じ図書館の電子図書街の方である。これは、
有史以来コンテンツを表現し続けてきた「書物」をあらゆる情報の基本単位として捉え、電子化された図書を分類・格納する様々なテーマ別の「本棚」を「道」 「界隈」「広場」などの中に配置してバーチャルな"街"を構成するというものです。図書館の分類とは異なり、図書同士、本棚同士が横のつながりを持ち、文 脈をもった本棚を形成するというものです。
というもの。図書に限らず、何かを分類したり整列したりするというのは、それをする人の世界観の表現であったり、社会的な心性の表象だったりする(整列のことを英語でorderというが、この単語には「秩序」とか「階級」とか「命令」といった意味もある)。例えば、辞書の項目がabc順とかあいうえお順で並んでいるのは、辞書の歴史をふりかえればone of themに過ぎない。

書物の目録を作成する場合に、コンピュータを使えば伝統的な方法(あいうえお順など)以外の、従来の方法に縛られない様々な並べ方で作成することもできる。例えば、歴史学系では、敦煌文献をデジタル化しているThe International Dunhuang ProjectMap Searchという地図ベースのオンライン目録を開発し、従来の目録とは違う形を提案しようとしている。このような点をふまえて、上の引用にある「文 脈をもった本棚」というのがどのようなものなのか、実際に見に行くことは勉強になるだろう。