Sunday, December 23, 2007

デジタルアーカイブの「標準化」に向けて

東京でこんなイベントがあるそうです。

東京大学大学院情報学環・学際情報学府学際情報学専攻
21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」
 第14回シンポジウム

デジタルアーカイブの「標準化」に向けて
〜次世代アーカイブとユビキタス技術が拓く未来〜

概要
 21世紀、人間社会のあらゆる場面においてデジタル化された情報
を活用するユビキタス情報社会へと向かおうとしています。そのた
めに必要な要素技術は着実に開発が進んでおり、様々な実証実験を
通じてその技術的な実現性が確かなものとなってきています。そし
て、ユビキタス情報社会基盤を活用した様々なサービス(ユビキタ
スサービス)が社会に普及し、私たちの日常生活を豊かにする日も
近づいております。また、携帯電話やICカードといった先行事例に
みられますようにユビキタスは強い革新性を持っており、単に便利
というだけでなく様々な分野において変革をもたらすものと考えら
れます。

 本シンポジウムでは、これまでのユビキタスサービスを俯瞰しつ
つ、ユビキタス情報社会基盤がもたらすサービスへのイノベーショ
ンについて議論したいと思います。そして、ユビキタスサービスが
社会に普及するための課題を探ります。

開催要項

日時
平成20年1月15日(火) 午後1:30 〜 午後6:00 (開場 午後0:00)

会場
東京大学 鉄門記念講堂
  (東京大学へのアクセス)
  http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html
  (鉄門記念講堂(医学部教育研究棟)へのアクセス)
   http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_09_j.html

プログラム

  受付開始  12:00(アーカイブデモタイム 12:00−13:30)
  開演    13:30
  開会挨拶(吉見俊哉) 13:30−13:40
  (東京大学大学院情報学環長)
  基調講演(坂村 健) 13:40−14:20
  (東京大学大学院情報学環副学環長・教授、
   東京大学21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」
   拠点リーダー)

  報告(田良島哲) 14:20−15:05
  (独立行政法人 東京国立博物館)

 (休憩・アーカイブデモタイム  15:05−15:45)

  パネル討論      15:45−17:45
  (田良島哲・小川千代子・加茂竜一・杉本重雄・
   馬場章(コーディネータ))
   小川千代子(国際資料研究所)
   杉本重雄 (筑波大学)
   加茂竜一 (凸版印刷株式会社)
    コーディネータ:馬場章
    (東京大学大学院情報学環教授、東京大学21世紀COE
     「プロジェクトA」責任者)


  閉会挨拶(馬場 章) 17:50−18:00


主催
東京大学21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」

共催
凸版印刷株式会社

入場
無料

お申込み方法
定員:300名(先着順)
申し込み先:coe-symposium14@ubinsoc.org

 氏名・所属・連絡先をご記入の上、上記の電子メールアドレスで
お申し込みください。なお申し込みの受け付けのお返事はいたしま
せん。定員が超過しお断りする時のみご連絡いたします。
 お申し込みの時にご記入いただきました個人情報につきましては
、本シンポジウムの参加者管理の目的以外には使用いたしません。
 会場には駐車場はございませんので、車でのご来場はご遠慮くだ
さい。
 事前申し込みをしていない場合でも、当日シンポジウム会場に余
裕があれば参加していただけます。
 手話通訳や要約筆記等のサポートが必要な場合は、申し込み時に
お申し出ください。

Thursday, December 20, 2007

Saturday, December 15, 2007

「展示と来館者をつなぐ」ことの難しさ

みんぱくゼミナール 第355回「展示と来館者をつなぐ―みんぱくにおけるミュージアム・コミュニケーション」に、ゼミ生T君と参加する。開会に先立って、ゼミナールに10の倍数回出席した人を表彰していたのだが、120回出席していた人がいてビビる。月に1回として、10年近く来ておられるということになる。すげー。

それはともかくゼミナールであるが、興味深かった点を列挙しておくと、
  • 博物館に来る人は、必ずしも知的な学習を求めているわけではなく、人とのつながりを求める(デート? (^_^;;)/非日常的な体験を求める/自分探し等々のために来る人もいる。典拠はこれ:

  • 展示者の意図とは違うところで客が満足することもある=インタラクティブ・ミスコミュニケーション(橋本裕之「物質文化の研究」〔『民族学研究』62-2〕)
  • 展示される側からの異議申し立て→展示される側の展示作業への参加
    • 「展示と来館者をつなぐ」というタイトルの講演だったためか、「展示される側」の視点はちょっと曖昧だった気もする。
  • 展示する側(博物館や研究者)/展示される側/展示を見る側の三者がモノの価値づけ、解釈、記憶の付与に平等に参加できる場としての博物館。
    • もし「平等」を追求するのなら、博物館という価値づけのシステムの存在自体がある限り、展示する側と展示される/見る側との非対称はどんなに工夫しても解消されないように思う。それを隠蔽して(博物館を自明のものとして)「平等」を目指すより、博物館の権力性を可視化する方がいいような気がするが、いかがだろうか?
    • ちなみに、民族誌において似たようなことを目指している川村清志さんらのチームの活動は参考になるだろう(最近の成果だと、じんもんこん2007の岩谷洋史・川村清志・星野次郎・行木敬・大崎雅一・森下淳也「人類学研究支援環境DWB による調査資料の詳細化と客観化―部分と全体の視点を許容するDWB―」など)。情報歴史学研究室: 電子メディアを飼いならすも参照。
この講演を聴きながら頭に浮かべていたのはWikipediaニコニコ動画など。T君と“ニコニコ展示”は可能か?可能だとしたらどうやってやるか?なんて議論をする。

ゼミナールの後、常設展示や企画展「世界を集める−研究者の選んだみんぱくコレクション」でPSPを使った閲覧支援システムを体験する。常設展示における「動画も見られる音声ガイドの拡張版」としてのPSPはなかなかよいと思ったが、企画展の方のPSPは正直、必要性を感じられなかった。情報歴史学コースでも携帯電話を使った閲覧支援システムを作った時があるし、今度はiPod touchを使って作ってみようかな、なんて考えていたのだが、改めて難しさを痛感する。

帰りしな、珍しく?黒山の人だかりができていたので、何だろうと思ったら万博記念公園では今日からライトアップらしい。

Saturday, December 08, 2007

第12回情報知識学フォーラム:簡単なレポート

情報歴史学研究室: 2007年度 第12回情報知識学フォーラム 〜情報の発掘と再生〜に行ってきたので、簡単な報告…と言っても、昼まで大学で用事があったので、聞けたのは2番目の五島さんの発表の途中から。

朽津信明「蘇る古墳壁画の世界—装飾古墳のデジタルコンテンツ化—」

上に書いた通り聞けず(3DCGを使うものらしい)。すまん、つっちー。論文は今度のゼミに持って行くので許してね。

五島敏芳「アーカイブズ情報の電子化・保存と共有化動向」

この発表については途中からだったということもあるし、五島さんの発表は歴博の共同研究班などで何度か聞いていたりもするのでここでは書かない。

ただ、彼が最近ひっぱりだこの人であることについては指摘しておきたい。最近、「デジタル・アーカイブ」という言葉をよく耳にするが、アーカイブの本来の「(公)文書の(永久)保存」という意味でのデジタル・アーカイブは驚く程少ない。不思議なことに我が国では、文化財のデジタル化という程度の意味で「デジタル・アーカイブ」という言葉を使ってしまっている(私も、あまり使いたくはないが、そういう用法で使うことがある)。五島さんは、本来的な意味でのデジタル・アーカイブについて語れる数少ない人だったりするので、ひっぱりだこなのである。

江草由佳「戦前期教科書の電子化・保存とその応用」

「電子化・保存」の話はなつかしい感じ(マイクロフィルム+PDF)。むしろ、その前段階で概説された研究対象(資料)としての教科書の話はおもしろかった。資料としての教科書の価値は、レアだから価値があるという文化財的なものではなく、ある世代のほとんどの人が目にしているという圧倒的な普及率を誇るメディアであるという点であるとのこと。確かにそうだ。

あと、個人的には、サンプルとして回覧された満州国の教科書にあったモンゴル相撲の記事が気になった (^_^;;

矢野環「古典籍からの情報発掘—再生そして生命誌、ネットワーク—」

一番楽しみにしていた発表。バイオ・インフォマティクスなどで使われる数理モデルを文献学に応用したり、茶人の人間関係をグラフ・ネットワークとして分析する、というもの。意外に思われるかもしれないが、DNAはGCATの四文字で書かれたテキストなので、テキスト・データベースの技術(全文検索とか)がそのまま応用されているし、写本を比較して伝写系統を分析するみたいなことと同じようなことも行われており、そのためのツールもたくさん公開されている。文献史学の史料批判などにも充分応用可能な方法なのである。

休憩時間に矢野先生とちょっと議論したのだが、数理的なモデルで出てきた結果をどう評価し、解釈するかについては、はっきりとした方法は見出されていない。今後、考えていきたいところ。

田良島哲「文化財情報の発掘と再生—「モノ」と「テキスト」のはざまで—」

文書がどのようにして「古文書」になり、後に研究者が「史料」として見出して、場合によっては国宝などになったりするのかを概説した上で、史資料のデジタル化には各分野(文献史学、書誌学、古文書学、考古学etc...)の方法論に基づいた「見る目」の共有が必要なのではないか、と問題提起。

方法論の(コンピュータを考慮した)共有には、方法論の形式化ないし記述が必要なわけだが(上の矢野先生が使っている数理モデルは、文献学の一部を数学的に形式化したものとも言える)、これが一筋縄ではいかないですよねー、という議論を、会終了後、ほんの短い時間ではあったが田良島さんとすることができた(文書などの材質に関しては、客観的な記述が非常に難しいらしい)。

こういう議論ができるのが、ライブで発表を聞く醍醐味である。遅刻しちゃったけど、行ってよかった。

Wednesday, December 05, 2007

「漢字文化三千年」 国際シンポジウム

情報歴史学研究室: 12月の関連イベントに追加情報。以下のイベントが京大で行われるようです。

漢字文化の全き繼承と發展のために
京都大學21世紀COE 東アジア世界の人文情報學研究教育據

「漢字文化三千年」 国際シンポジウム

セッション一:漢字と情報学—新しい世界へ
プログラム
  京都大学 国際交流ホール
  14:00 ~ 17:00
  • 「仏教学文献研究におけるコラボレーションの可能性と問題点について」
    永崎研宣(山口県立大学)
  • 「「心」の問題 − 文学研究のための資料をめぐる一考察 −」
    明星聖子(埼玉大学)
  • 「A scheme of Chinese conceptual schemes: the Thesaurus Linguae Sericae」
    Christoph Harbsmeier (何莫邪)(オスロ大学・北京大学)
  • 「唐代研究ナレッジベースからの教訓」
    ウィッテルン クリスティアン (京都大学)