国分寺や東大寺大仏の建立を命じたことで知られる聖武天皇(701〜756)が平城京と難波宮間を行幸した直後にその一帯で阪神・淡路大震災級の大地震が起きたとみられることが歴史学者と地震学者の共同研究で明らかになった。聖武天皇の仏教への深い帰依のきっかけになったのではないかという。4日に奈良市の奈良文化財研究所である研究会で発表される。4日は花大の入試なので参加できない(涙)が、そうでなければ是非参加したかった研究会である。誰か行って、レジュメもらってきてくれー、報告してくれー。
岡山大の今津勝紀・助教授(日本古代史)と隈元崇・助教授(地震学)が研究した。(中略)
隈元さんらは、政府の地震調査研究推進本部による生駒断層帯の評価などから、デジタル地図に情報を重ねる地理情報システム(GIS)で震度分布図を作製した。(中略)
今津さんは「聖武天皇は訪れたばかりの地が震災に見舞われたことに大きなショックを受け、仏教への帰依を強めたのではないか」と話す。
それはともかく、歴史地震学という分野がある。防災科学技術研究所が公開している「地震の基礎知識とその観測」の中の「11.3 古地震調査」に、
地震発生の長期予測を行うにあたっては,過去における地震の履歴を知ることが大変に重要です.しかし,近代的な地震観測が始められたのはやっと100年ほ ど前のことであり,計測学的な資料が得られる期間は,ほんの最近に限られてしまいます.それよりも古い時代の事柄については,歴史書や日記,あるいは寺院の過去帖などの古文書に頼らざるを得ません.とあるように、地震研究においては歴史上起きた地震についての研究が、一つの大きな役割を担っている。
そしてこの分野では、コンピュータが従来、資料のデータベース化やGISの利用などで利用されており、情報歴史学コースで国際ワークショップを見に行ったこともある(私のブログ参照。なお、このワークショップの内容は、「月刊地球」2005年11月号で活字化された)。情報歴史学コースでは、今年度、卒業論文でGISを使った京都大地震の研究に取り組んだ学生もいる。
実はこのワークショップのときも話題になったのだが、地震研究者の史料の集め方、読み方と、歴史学者のそれとの不一致、つまり方法論の不一致が、いつも問題になる。上の岡山大チームの研究報告では、内容もさることながら、この問題がどのように対象化され、処理されているのかが気になるところである(まあ、古代史は文献史料が乏しいので、そういう葛藤は起きないかもしれないけど (^_^;;)。
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