Saturday, March 18, 2006

2005年度学位記授与式

先日3月17日は花園大学では毎年恒例の卒業式の日。そして我らが情報歴史学コースの初めての卒業生10名を送り出す記念すべき日である。

真人館メインアリーナでの式典の後、私からゼミ生一人一人に学位記を手渡し、握手。その後、別件で祝福すべき学生がいたので、ゼミ有志からのプレゼント。いろいろあったが、皆、本当におめでとう。

しばらくしてから研究室に集合して、ささやかな酒宴。部外者 (^_^;; や佐藤先生も合流してにぎやかに。途中、写真撮影会に突入した際、通りかかった史学科の福島先生、松田先生、吉田先生(今年3月で御退職)にも参加していただいてパチリ。史学科の先生方には、卒論の副査などで様々なご指導を頂いた。特に福島先生には、情報歴史学コースのスタートから現在に至るまで、様々なご支援をいただいた。心から感謝申し上げます。

ゼミ生の何人かが、卒業してからもゼミのメーリングリストには籍をおきたいと言ってくれたのは、うれしい限り。今後は、このブログも含めたゆるやかなネットワークの中で、たまに顔を出してくれたり、アドバイスをしてくれたりしたら、望外の幸せである。

Monday, March 13, 2006

広告を試してみる

このブログに2カ所、広告を貼ってみた。Google AdSenseAmazon のアソシエイト・プログラムである。

別にこれで儲けようと思っているわけではない(儲かるとも思っていないし (^_^;;)。でも、多少は儲かる可能性もあるので、その時は何か奢ってあげよう。

それはともかく、なぜこれをやるかというと、今話題の Web 2.0 とやらについて、ちょいと参与観察でもしてみようかな、てなところである。Web 2.0 って何?と言われても、これを書いている時点では、実はまだはっきりとしたことはわからない。主張している人もわからないって言ってるんだから仕方がない。でも、これからのデジタルアーカイブやら学術データベースやらの開発にも大いに関係してきそうだということは間違いない(少なくとも、これからしばらくはWeb 2.0ということを売りにしたデジタルアーカイブなどの研究発表が増えそうな予感はする (^_^;;)

ではなぜ Google Adsense が Web 2.0 なのかについては、Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデルという論文を読むべし。『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』も、売れてる本なのでチェックしておくと良いだろう。

Friday, March 10, 2006

Origamiは使えるかな?

MicrosoftがOrigamiと呼ばれる小型PCを発表した。


情報歴史学研究会で花園大学歴史博物館の閲覧支援システムを開発した際、ごく最初の議論で端末を何にするか?というのが議論になった。最終的に、QRコード+携帯電話のWWW機能という組み合わせに落ち着いたのだが、携帯電話の画面の小ささ、パケ代の利用者負担などの問題が解決できず、専用の小さな端末でやりたかったという気持ちが捨てきれていない。でも、なかなか要求に沿うものがないのも事実。

Origamiの仕様を見ると、

  • 7型以下のタッチパネル内蔵液晶(解像度800×480ドット以上)
  • 無線LAN
  • Bluetooth
  • 重さが2ポンド(約900g)以下

とのことであり、製品によっては、

  • GPS
  • Webカメラ
  • CF/SDスロット

なども搭載されるとのことである。これらの機能は、博物館閲覧支援用の端末としても良さそうだし、これからやろうと思っているGPSを使ったプロジェクトにも使えそうだ。また、Windows系ということで、開発環境が整っているであろうことも魅力である。ちょっと期待して、実物を手に取れる日を待っていよう。

Friday, March 03, 2006

聖武天皇、仏教帰依のきっかけは大地震か 岡山大調査

asahi.comより:聖武天皇、仏教帰依のきっかけは大地震か 岡山大調査
国分寺や東大寺大仏の建立を命じたことで知られる聖武天皇(701〜756)が平城京と難波宮間を行幸した直後にその一帯で阪神・淡路大震災級の大地震が起きたとみられることが歴史学者と地震学者の共同研究で明らかになった。聖武天皇の仏教への深い帰依のきっかけになったのではないかという。4日に奈良市の奈良文化財研究所である研究会で発表される。

岡山大の今津勝紀・助教授(日本古代史)隈元崇・助教授(地震学)が研究した。(中略)

隈元さんらは、政府の地震調査研究推進本部による生駒断層帯の評価などから、デジタル地図に情報を重ねる地理情報システム(GIS)で震度分布図を作製した。(中略)

今津さんは「聖武天皇は訪れたばかりの地が震災に見舞われたことに大きなショックを受け、仏教への帰依を強めたのではないか」と話す。
4日は花大の入試なので参加できない(涙)が、そうでなければ是非参加したかった研究会である。誰か行って、レジュメもらってきてくれー、報告してくれー。

それはともかく、歴史地震学という分野がある。防災科学技術研究所が公開している「地震の基礎知識とその観測」の中の「11.3 古地震調査」に、
地震発生の長期予測を行うにあたっては,過去における地震の履歴を知ることが大変に重要です.しかし,近代的な地震観測が始められたのはやっと100年ほ ど前のことであり,計測学的な資料が得られる期間は,ほんの最近に限られてしまいます.それよりも古い時代の事柄については,歴史書や日記,あるいは寺院の過去帖などの古文書に頼らざるを得ません.
とあるように、地震研究においては歴史上起きた地震についての研究が、一つの大きな役割を担っている。

そしてこの分野では、コンピュータが従来、資料のデータベース化やGISの利用などで利用されており、情報歴史学コースで国際ワークショップを見に行ったこともある(私のブログ参照。なお、このワークショップの内容は、「月刊地球」2005年11月号で活字化された)。情報歴史学コースでは、今年度、卒業論文でGISを使った京都大地震の研究に取り組んだ学生もいる。

実はこのワークショップのときも話題になったのだが、地震研究者の史料の集め方、読み方と、歴史学者のそれとの不一致、つまり方法論の不一致が、いつも問題になる。上の岡山大チームの研究報告では、内容もさることながら、この問題がどのように対象化され、処理されているのかが気になるところである(まあ、古代史は文献史料が乏しいので、そういう葛藤は起きないかもしれないけど (^_^;;)

Wednesday, March 01, 2006

「東洋学へのコンピュータ利用」第17回研究セミナー

3月24日(金)、毎年恒例になった東洋学へのコンピュータ利用第17回研究セミナーが開催される。情報歴史学コースの学生諸君は、都合がつくなら是非参加して、最先端の研究成果に触れてほしい。

...と言うと、「え、東洋学って何?日本史と関係ないじゃん」みたいな顔をされるときがある (^_^;;
確かに東洋学と日本史学とは、地域的には重なるとは言え、ディシプリン(学問分野、方法論)は異なる。しかし、「分野が違うから関係ない」という考え方は、少なくとも以下の3つの点で間違っている。
  1. 東洋学は日本史学の隣接分野である。隣接分野におけるコンピュータ利用の研究は、当然のことながら日本史研究にも参考になることが多い。
  2. そもそも、日本史学におけるコンピュータ利用についての研究は少ない。というより、人文学全体におけるコンピュータ利用自体がそれほど多くない。したがって、日本史だけで(あるいは、自分の関心のあるテーマだけで)先行研究を探そうなんて、贅沢を言ってる場合ではない。どんな分野のものでも、積極的に先行研究として参照しなければならない。特に、中国・台湾・韓国などにおいては、日本よりもコンピュータ利用が進んでおり、参考になる先行研究はたくさんある。
  3. コンピュータを利用することによって、既存のディシプリンの境界がだんだんあいまいになってくる。例えば、データベースの横断検索という発想はまさに、ディシプリン横断ということでもある。だから、日本史、日本史とこだわるのは、逆説的だが情報歴史学的ではない。
実は最後の問題は、けっこう大きなテーマだったりするのだが、それについては後述したい。