Sunday, February 04, 2007

情報歴史学の教育に挑む

国立歴史民俗博物館が発行している『歴博』No. 140は、特集「コンピュータ歴史学の歴史」である。
  • [巻頭言]鈴木卓治「地道にそして着実に」
  • 田良島哲「コンピュータ、ネットワークと歴史研究 —これまでとこれから—」
  • 横山伊徳「私のデジタル化戦略 コンピュータで史料編纂所の二〇年を歩む」
  • 師茂樹「情報歴史学の教育に挑む」
  • [コラム]照井武彦「歴博コンピュータ奮戦記」
  • [コラム]五島敏芳「真の〈デジタル〉アーカイブ構築への挑戦 —資料目録電子化の現場から」
どれも興味深い記事であるが、その中で私も情報歴史学コースのことについて書かせてもらっている。原稿締切が去年の秋だったので、紹介しているゼミ生諸君の研究テーマも2005年度卒業生のもの(川畑君の「織田信長と朝廷に関する論文データベース」と藤井君の「明石城武家屋敷の3D画像作成」)や、研究会で作ったQRコード+携帯電話の博物館閲覧支援システムなど)が中心である。

この中では、「情報歴史学は補助学か?」という問い(この問いについては、ゼミの中で何度か議論したことであるが)に、次のように答えてみた。
筆者の考える情報歴史学は、まず第一には、歴史学のある研究分野の方法論や伝統について分析し、それをコンピュータを使って記述する(≒データベースを作成する)という学問である。それは、対象となった研究分野の研究者から見ればツールが提供されたように見えるだろう。しかし、データベースとして表現された方法論や伝統が暗黙のものであった場合、それが視覚化されることによって新たな議論、すなわち方法論的な反省が発生する契機となる場合もあろう。それをふまえて第二には、従来の研究方法を相対化できるような新しい方法を模索し、それによって歴史学の研究を行うことである。以上のことから、筆者は、情報歴史学は補助学ではないと考えている。

私が書いた記事以外も(の方が?)おもしろいので(横山先生のはなんとパンチカードから!)読んでみてほしい。

なお、情報歴史学コースについては、他にも以下のような紹介記事があったりする。

2 comments:

Anonymous said...

早速(ここを読んですぐ発注)、取り寄せて拝読しました。なかなか面白いですね。

moro said...

どもども、ご購読、ありがとうございます。