Tuesday, December 14, 2010

忘年会 with 創造表現学科モーションキャプチャ・プロジェクト

最近いっしょにいろいろ活動させていただいている、今井先生率いるモーションキャプチャ・プロジェクトの皆さんと合同で忘年会を行いました。

この時期、卒論が山場を迎えつつあるということで、忘年会ってしたことがないんですが、今年は急に話が持ち上がって急に忘年会をすることになりました。今回は今井先生にもご参加頂いて、大人の話 (^_^;; もできましたし、各テーブルいろいろ交流があったようです。

Wednesday, December 01, 2010

朝日新聞で紹介(と言っても名前は出ていない)

情報歴史学研究室: 平城宮跡資料館でポスター展示で紹介したように、現在平城宮跡資料館で情報歴史学研究室の町家復元CGのポスターが展示されていますが、そのことが朝日新聞にちょろっと紹介されたようです。
たぶんこの記事はそのうちネットでは読めなくなりますが、この中で言われている、
25の大学や研究機関による測量の最先端の研究成果をコンピューター・グラフィックスなどで紹介したり、測量機器を実際に使ったりできるコーナーもある。
の「25の大学や研究機関」のひとつがうちです。記事を読んだら、ますます現地に行かねば!という気になりました。

Wednesday, November 24, 2010

平城宮跡資料館でポスター展示

11月26日から来年の1月16日まで、平城宮跡資料館で、町家復元CGについてポスター展示「京町家の3次元CG復元による史料批判と問題発見」を行います。

他の大学からも似たような展示があるそうですので、時間がある学生はぜひ。私もぜひ行きたいと思っています。奈文研からチラシが届いているので、ゼミの時間にでも配りますね。

Thursday, November 11, 2010

ゼミ旅行@奈良

昨日、後藤先生主催のゼミ旅行@奈良が決行されたようです。私(師)は事情により参加できませんでしたが、奈良時代・正倉院文書が専門の後藤先生が、東大寺(というより正倉院)や奈良博の正倉院展、そして平城宮跡を解説してくれるのですから、これはぜひいっしょに行きたかったですね、残念。後藤先生のTwitterでのつぶやきはこちら:

後藤先生は「情報歴史学に直接ヒットかと言われると少し(⌒-⌒; )」なんて謙遜してますが、生の史料に触れたり現場に足を運ぶことは情報歴史学でもとても大事なことだと思います。というかうちのゼミ生は、器用にコンピュータばかりで話を済ませようとする傾向があるので、もっと積極的にいろんなところに出かけて欲しいものです。その蓄積が、情報工学から人文学にアプローチしている研究者にはない、我々の柱となっていくでしょう(逆に我々は、理系の研究者の技術力にはなかなか及ばないわけですから)。

後藤先生も言っていますが、最近研究室で取り組んでいる「復元」や、復元した成果を観光などに利用するという問題について、平城宮跡はいろいろ考えるヒントを与えてくれると思います。
あー、でも、かっこいいね (^_^;;

この後、京都で飲み会をしたとのこと。何はともあれお疲れさまでした。

Wednesday, November 03, 2010

ゼミ飲み with 創造表現学科モーションキャプチャ・プロジェクト

昨日、創造表現学科のモーションキャプチャ・プロジェクト(今井隆介先生のゼミ)の皆さんと宴会をしてきました(写真がボケボケですいません)。ちょうどお店で日本シリーズ第3戦を流していて、そこに花園大学の看板が映ったりしたのもあって、大変楽しい飲み会になりました(その後のカラオケはどうなったんだろうか)。

なんで創造表現学科といっしょかというと、あちらのリーダーとこちらの3回生のリーダーとが同郷だというつながりもあるんですが、あちらはモーションキャプチャを使ったCGアニメを作りたい、こちらも3DCGムービーを作っている、だったらコラボをしましょう、ということで、昨日がキックオフ・ミーティングだったのです。無形民俗文化財のデジタルアーカイブ化にモーションキャプチャを使うこともあるので、情報歴史学的にも関心が高いところであります。

以前考古学研究室とコラボレーションをしたときにやった発掘調査の復元CG作成など、学科内でコラボレーションをすることは結構ありますが、学科の枠を超えたこのようなコラボレーションはなかなか例がないかもしれない、と思ったりもします。成果が出るよう、がんばりましょう。

Monday, November 01, 2010

平安京右京二条八町―花園大学構内調査報告VII―


一昨年の考古学研究室による発掘調査が、報告書にまとまったようです。
  • 花園大学考古学研究室編『花園大学考古学研究報告 第15冊 平安京右京二条八町 ―花園大学構内調査報告VII―(附 平安京右京一条四坊一・二町)』(2010年3月)
情報歴史学研究室で作った復元CGもカラー図版で掲載されています。

Friday, October 22, 2010

ゼミ遠足2010秋@安土城跡

諸事情により、急遽、安土城跡へのゼミ遠足が企画された。10月19日(Bloggerがメンテナンスとかをしていたので、このブログは22日書いている)はやや曇りというところで、山登りにはいい天気であった(けっこう汗はかいたけど)。安土城城郭資料館で安土城の輪切りを見てから、駅前で自転車を借りていざ安土城址へ。

天主が乗っかっていた礎石。皆同じ大きさで、真ん中が欠けているのがやはり気になるところ。

石段の一部になっていた石仏。この時代には割と利用されていた石材。

いろいろ写真を撮ろうと思っていたのだが、あまりの大きさに撮る気が失せた (^_^;;

安土城の復元案に関する論争については、川村信三氏の「「史実」とは何か ―安土城天主(守)復元「論争」の顛末―」(『歴史家の散歩道』ぎょうせい、2008年)が有益だろう。


京都駅でちょこっと飲んで解散。

Wednesday, October 13, 2010

【ニコニコ動画】京町家ムービー脱落小物

町家復元CGを作る際に、没になった小物たちを供養 (^_^;; するためのムービーがアップされました。近日公開予定のムービー第3弾の予告編もあります。

Monday, October 11, 2010

「デジタル形式での歴史研究、その成果の発表場所を欠く」のは問題ですな

情報歴史学の学生だったらチェックしておきたい国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルでこんな記事を見つけました。
歴史研究者の多くが「デジタル形式での研究成果(例えば、インタラクティブな地図やオンラインデータベース等)の発表に挑戦したいと考えている」と記事中にあるように、アメリカは情報歴史学的な研究が日本とは比べものにならないくらい盛んですが、それでも発表の場所がないというのは大きな問題だと思います。

Sunday, October 03, 2010

Daisuki3Dに紹介記事が掲載

記者発表も終わり、町家3DCGについては一段落といったところですが(卒論もあるし)、Sketchup Proの日本の総代理店であるアルファコックス株式会社からの依頼もあり、以下のような紹介記事を書きました。
いろいろな角度からの画像と、ちょっとした解説(師が書きました)が掲載されています。

Thursday, September 23, 2010

【論文募集】第16回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」

公式サイトにも案内が出ていますし、各所で告知もされていますが、こちらでも告知をしておきます。申し込み締め切りが延びています。情報歴史学の教員が会場担当をすることもあり、「文化遺産研究におけるコンピュータの利用」「大学における人文科学とコンピュータ関連の教育」が特集テーマとなっています。ふるってご応募下さい。
━━━━━━━━━━ 論文募集 ━━━━━━━━━
第16回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
開催日:2010年11月27日(土)
会 場:花園大学 拈花館202
   (京都市中京区西ノ京壺ノ内町8-1)
【主催】第16回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」実行委員会
【後援】人文系データベース協議会
【募集論文テーマ】
今回は、例年のテーマに加え、特に次のテーマでの投稿を歓迎いたします。
特集テーマ:
・大学における人文科学とコンピュータ関連の教育
・文化遺産研究におけるコンピュータの利用
一般テーマ:
・人文科学や芸術におけるデータベース構築の企画、事例、応用、支援
 ツールや周辺技術に関する研究
・人文系における地理情報処理に関連する研究
・人文系における数理モデルに関する研究
・人文系データについての情報処理的研究
【応募期限】
★講演発表申込締切 2010年10月8日(金) 【延長しました!!】
 氏名・所属・論文タイトル・内容あらまし(200字程度)・住所・Emailアドレス
 を事務局までEmail等でお送りください。
★論文集原稿提出締切 2010年10月28日(木)
 実行委員会所定の様式(発表申込者に送付)にしたがって執筆のうえ事務
 局に送付してください。図表込で約8~10ページ程度です。
【実行委員長】
師 茂樹(花園大学)
【事務局】
後藤真
花園大学 文学部 文化遺産学科
〒604-8456 京都市中京区西ノ京壺ノ内町8-1
m-goto@digitalhistory.jp
Tel:075-811-5181
Fax:075-811-9664

Thursday, September 16, 2010

毎日新聞にも掲載

情報歴史学研究室: 記者発表の続き。1週間ほど遅れましたが、毎日新聞にも掲載されたようです。ありがとうございます。
地方版とは言え、これで読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞・産経新聞の五大紙を制覇しましたな(日経・産経は共同通信経由だけど)。

Wednesday, September 08, 2010

記者発表

昨年度から取り組んできた梅忠町文書に基づく町家復元3DCGが、概ね一段落ついたので、プレスリリースを流して記者発表をしたところ、予想外にたくさんの新聞社(京都新聞・朝日新聞・読売新聞・毎日新聞・共同通信)、テレビ局(NHK、KBS)に来てもらうことができた。現時点でネットで見ることができるのは以下のとおり。
一番上の共同通信のニュースは日経新聞や地方新聞(岩手日報、静岡新聞、徳島新聞、四国新聞、西日本新聞、佐賀新聞、長崎新聞、大分合同新聞、熊本日日新聞は確認)などに配信、転載されているので、実際にはもっと多くの新聞に掲載されている。

記者発表の日(9月7日)のNHKの近畿圏のニュース番組で、これに関するニュースがとりあげられたらしい(未見)。いきなりインタビューされたから、目が泳いでいるのではないかと思う。

予想外の反響で正直戸惑っているところもあるが、京町家に関する関心の高さとともに、学生たちの作成したCGのクオリティーが高かったことが評価されたのではないかと思う。

Tuesday, September 07, 2010

上智大学古代史ゼミご一行様

9月3日、上智大学文学部史学科の北條勝貴先生のゼミの皆さんが、花園大学を訪問してくれました。北條先生には以前、うちのゼミ旅行で東京に行った際に、いろいろお付き合いいただきました。
博物館のバックヤードを見たいというご希望だったので、現在、愚堂東寔遺墨選に向けて展示準備中の(ケースが空っぽの)歴史博物館に入っていただき、また文化遺産学科の持っている高性能な撮影システムや3Dスキャナなどをちょこっと見た後、情報歴史学について簡単なレクチャーをさせていただきました。博物館の展示や考古の発掘、うちの3次元CG作成などが学生主体で行っている点に関心を持ってもらえたようです。十分なおもてなしはできませんでしたが、また遊びにいらしてください (^_^;; 次回はもっと、学生同士が交流できるようなものもいいかもしれませんね。

Tuesday, August 31, 2010

炎天下のBBQ

連日の猛暑日が伝えられるなか、宇多野ユースホステルでバーベキューをしてきた。1ヶ月以上前の計画段階では、この時期にこんな猛暑になっているとは予想だにしていなかったわけで、その責任を今回の担当者に押し付けることなどできない。だが、それにしても暑かった。


食べ始めた頃の写真。このころはまだ元気があって、日向でガツガツ食べていたのだが、次第に日陰から離れられなくなっていくのであった。

暑い!

Monday, August 30, 2010

「ひらめき☆ときめきサイエンス」レポート

8月6日、後藤真先生を中心にして「ひらめき☆ときめきサイエンス」が開催された。以下、簡単にフォト・レポートをば。

まず最初に、芳井先生による講義「京都の文化・歴史と風景」。高校生相手にノリノリでした!

次に後藤先生による講義「京都の光景と歴史イメージ―デジタルデータを通じて―」と実習「史料とコンピュータを使って見た 京都の光景―地図情報と古写真―」がありました。滅多に触れることができない生の史料に触れながら歴史学を学びつつ、GISを使ったデジタルデータの整理方法を実習しました。

最後に師が実習「コンピュータを使って見た京都の光景―3D技術をつかってみよう―」を担当しました。時間の都合上、途中まで作成した3次元モデルを使った実習となりましたが、全員の力をあわせて一応、町家の一階分を完成させることができました。


来てくれた高校生の皆さんに、どれほど情報歴史学の魅力が伝わったかは自信がありませんが、将来、花園大学に入学して、いっしょに活動する仲間になってくれたら望外の喜びですね。

Wednesday, August 11, 2010

デジタルカルチュラルヘリテージ 構築のためのガイドライン

後藤先生にTwitterで教えてもらいました。
ここに公開されているPDFは、情報歴史学コースの学生は全員、目を通してもらいたいものですね。研究会で取り組んでいる3次元CGの作成についても、そのワークフローが書かれています。もちろん3次元CG以外のことも網羅的に載っています。これはかなりすごい。

このガイドラインの作成の中心となった研谷紀夫氏は、以下のような書籍も出版しています。あわせて読んでおきたいところ。

Thursday, August 05, 2010

明日は「ひらめき☆ときめきサイエンス」

大学のサイトにアナウンスが出ていましたが、明日8月6日に後藤真先生を中心として「ひらめき☆ときめきサイエンス」『デジタルで見る京都のむかし―文化遺産とバーチャルでみる古代~近代京都―』を開催します。
情報歴史学の日頃の研究を、高校生の皆さんに知ってもらういい機会です。

Wednesday, June 16, 2010

電子出版&電子図書館イベント

授業でも少し紹介していますが、昨年であれば著作権法が改正されたりGoogleブック検索問題が起きたりして、今年になってもAmazonのKindleやAppleのiPadが発売されたりして、電子出版や電子図書館関係がホットになっています。これらは、直接には歴史学には関係ないかも知れませんが、文献のデジタル化や学術情報の流通など、情報歴史学にとって重要な話題を多く含んでいます。

そんなこんなで各地で関連のイベントが行われていますが、今回は以下の二つをご案内。
どちらも入場無料ですし、前者は『電子書籍元年 iPad&キンドルで本と出版業界は激変するか?』の田代真人氏、後者には『電子図書館 新装版』の長尾真先生が講演されますので、時間がある学生はぜひ参加してもらいたいものです。

Wednesday, June 02, 2010

ゼミ旅行2010 in 神戸

6月1日は毎年恒例ゼミで遠足。今年は奇しくも2年前と同じ神戸(南京町、生田神社、異人館など)になりました。私にとっては再訪になりますが、近畿圏日帰りとなれば場所も限られてくるし、学生が決めていることなので、まあ仕方がないですな (^_^;;
6月の遠足は、もちろん史跡や文化財を訪ねて勉強するというのもありますが、研究室を共同利用する学生同士が学年を超えて仲良くなっておく、という目的もあります。しかし、今年のメンバーは昨年度からの町家復元プロジェクトに顔を出してるので、すでにかなり仲がよかったりします (^_^;; そういう意味では、どちらかというと遊びというか親睦の要素が強くなっちゃいましたけど、これからプロジェクトは続くわけですし、こういう感じの遠足でもそれはそれでよかったのではないかと思ったりしています。

ついでにTwitterでのつぶやきも貼っておきます。

Saturday, May 29, 2010

ラジオ終わった

中村さん、公共の電波を使っての卒論中間発表、お疲れ様でした (^_^;; ちなみにリスナーは10万人ぐらいだそうです。

ネットでの映像公開、6月5日のオープンキャンパスでデモするとラジオで約束しちゃったので、頑張りましょう。

Friday, May 28, 2010

古墳の3次元スキャン

こういう画像は純粋にかっちょいいですねー。
文化遺産学科の3次元スキャナは、こういう大きなもの用ではなく、遺物などの小さなもの用ですが、いずれ情報歴史学コースでも弄り倒してみたいですねー。

Tuesday, May 25, 2010

またラジオに出ます

またまたですが、今週の土曜!藤崎ぷ〜ケット(KBS京都ラジオ)に出演します。今回は情報歴史学ゼミ4回生のN君(って、ゼミ生の半分ぐらいはNで始まるぞ (^_^;;)がメインです。よろしく!

Wednesday, April 28, 2010

情報歴史学コース全体指導2010

昨日、情報歴史学ゼミの全体指導を行いました。今年から文化遺産学科の学生が3回生にあがってきて、いよいよ旧史学科の情報歴史学コースも最後の年になりました(文化遺産学科はコース制ではないので)。それはともかく今年1年、いろいろいっしょになって活動をするメンバーですので、これを機会に仲良くやってもらえればと思います。
私は体調が悪くて懇親会をすぐに失礼してしまいましたが、うまいこと盛り上がったようで何よりです。

Sunday, April 11, 2010

ラジオで紹介

師がラジオ番組に出演した際、町家の3DCGムービーを(ラジオなのに)紹介しました。
藤崎マーケットの藤原さんの方が歴史好き(城好き)とのことで、楽しんでもらえたようです。学生が作ったというのでびっくりしてました。ラジオだったので聞いていた人には何が何だかわかんなかったみたいですが (^_^;;

Wednesday, April 07, 2010

幕末の京町家の復元ムービー(暫定版)公開

2009年度から作っている町家の3DCGのムービーをニコニコ動画で公開してみました。



ご笑覧ください。よろしければコメントもください。

Wednesday, March 31, 2010

今年度の研究会の成果(まだ途中)

2009年度の情報歴史学研究会では、近現代史の松田先生をリーダーに、民俗学・博物館学の明珍先生や美術史の福島先生のグループと共同で、町家の復元の研究を行いました。現在、その研究成果の視覚化として3次元CGを作成しています。

完成にはまだまだ時間が必要そうですが、とりあえず中間報告がてらCGをご披露(テクスチャを貼っていないので、まだ白黒ですが、そのへんはご容赦ください)。まずは全体を通りの方から。
裏庭には蔵が三軒立っています。

玄関から中を覗くとこんな感じ。通り側は商売をやるスペースですので、オープンな感じ。

通りに面した部屋には、お会計用のスペースも(これらの位置はまだ未確定なので仮に置いてあります)。

奥の部屋に行くと、食事を作ったり食べたりするスペース。職住一体の町家ならではです。
障子の向こうに蔵が見えます。一升瓶が置いてありますが、幕末という設定なのでたぶん消去されるでしょう。

Friday, February 12, 2010

卒論へのコメント

先日、卒論の口頭試問が終わったので、簡単にメモしておく(昨年度のコメントはこちら)。下のメモは、口頭試問時に学生一人ひとり渡したものにちょっと手を加えたもの。

小川亮「地域振興のための小谷城復元3DCGの作成」

小川論文は、長浜市に残っている小谷城址を重要な文化財であるとともに貴重な観光資源でもあると考え、2011年のNHK大河ドラマ『江 〜姫たちの戦国〜』などを見据えた地域振興を目的とした3次元CGの作成について論じるとともに、実際にムービーを作成している。

浅井氏に関する先行研究が、ほぼ一人の研究者(小和田哲男氏)の議論に乗っかっているのは問題かもしれない。浅井氏を主題とした研究書等は限られるだろうが、織田信長や朝倉氏などに調査対象を広げることもできたのではないか。

地域振興についてであるが、観光協会などに事前調査はしたのか。観光学の論文を引いて「ビジュアル」の重要性を強調している点は、一般論としては有意義かも知れない。しかし、長浜市が抱えている固有の問題を、この方法で解決することができるのか。

ムービーについて、独力で作ったムービーとしては(細かい点を指摘すればキリがないが)がんばって作ったのではないかと思う。しかし、これが観光目的のムービーであると言われてもピンとこない(花大の歴博で展示したムービーに似ているが、あれは展示用)。観光目的の映像として工夫した点はどこか(例えば、教育用コンテンツとの違いはなにか)。観光情報(あるいは大河ドラマの情報)などを付け加えることはできなかったのか、など、工夫の余地がある。

大藤雄亮「江戸城の内部構造の3DCG作成について」

あらゆる点で準備不足。しかも、それはこれまで何度も指摘している。真剣に卒業論文に取り組もうとしたのだとは思えない。猛省を望む。

※ 細かいコメントは省略。

手塚宗二郎「中世の大鎧の3DCG作成とその問題点」

多くの作例を実見し、また早くから研究史のまとめに取り組み、草稿を何度も提出するなど、卒業論文にかけた労力は認める。しかし、残念ながら質的には不十分であると言わざるを得ない。

最大の問題は、「3DCG作成とその問題点」がテーマであるにも関わらず、実際のCGの制作までたどり着いていないということである。

※ 細かいコメントは省略。

本郷聡明「マルチエージェント・シミュレーションによる縄文時代の未発見遺跡推定」

国内でもほとんど事例がない歴史学におけるエージェントベース・シミュレーションの応用に取り組んだ点、特にartisocを自力でマスターしプログラミングを行った点については評価したい。また、研究史のまとめにおいても、シミュレーションを行うことを前提としたまとめとなっており、よくありがちな単なるまとめになっていない点は評価したい。

シミュレーションの本質は単純化・抽象化・モデル化であるが、それは手を抜くことではない。今回作成されたシミューレションについて言えば、研究に必要な複雑さは容認し、モデル化する必要があったのではないか、と言いたくなってしまう。例えば、地形情報は単純すぎたのではないか/エージェントの行動パターンはランダムでよかったのか。etc...

今回のモデルでは「どこにでも遺跡が存在しうる」という結論であったが、これは“こういうモデル化ではうまくいかない”という意味でバッドノウハウあるいは失敗学的な意義はあったものの、本来の目的を達成しているわけではない。時間の関係もあるだろうが、今後の工夫が必要であろう。

鹿谷慧「近世城郭史研究の傾向と課題 ―論文データベースの作成と分析を通じて―」

鹿谷論文は、近世城郭史の研究の特色をふまえたうえで、この研究分野での研究ではCiNiiなどの汎用の研究文献データベースが使い辛いことを指摘し、それに代わる近世城郭史論文データベースの作成の報告をしている。

全体としてはよくあるテーマなのであるが、まず大前提となる近世城郭史の研究史のまとめと分析が不十分であると言わざるを得ない。論文内でもほぼ同じ内容の記述が繰り返されているだけで、引用する文献数に乏しく、また近世城郭史研究の特徴としてあげられているのが「城郭統制」だけしかない。そのため、研究史の分析が、データベースの作成理由につながっていない。

研究文献データベースの先行事例としてCiNiiWebcat Plusなどの汎用的なデータベースをとりあげ、専門的なデータベースであるインド学仏教学論文データベース(INBUDS)と比較することで、前者の問題点を抽出しようとしているのは意義がある。ただし、CiNiiなどが使いづらいことが、そのまま独自のデータベースを作る理由になるわけではない。利用者として想定される近世城郭史の研究者コミュニティの分析はしたのか。想定される利用者である研究者コミュニティが抱えている問題を調査したのか。

データベースのプロトタイプを作成したわけであるが、100件程度のレコード数は、検索目的のデータベースとしては少なすぎる。また、引用文献についてのフィールドが存在しており(CiNiiがCitation Indexであることを意識したのか?)、それなりに役に立つかも知れない(研究史の分析などには使えるかも知れない)が、CiNiiが近世城郭史研究において不便であるという問題意識を解決することにはならない。

Tuesday, January 19, 2010

『人工知能学会誌』Vol. 25, No. 1は特集「歴史知識学」

あまり馴染みがない分野かも知れませんが、『人工知能学会誌』Vol. 25, No. 1 (2010年1月) で「歴史知識学」という特集が組まれています。これも情報歴史学コースの学生は必読でしょうな。
  • 石川徹也・赤石美奈「「歴史知識学」の特集にあたって」
  • 横山伊徳「史料編纂とディジタル化のメタヒストリー」
  • 若林晴子・マーティン C. コルカット「海外機関所蔵の日本史史料 ―目録編纂,ディジタル化,データベース構築の現状と課題―」
  • 安達文夫「歴史研究情報の統合検索と歴史知識」
  • 林晋・永井和・宮崎泉「文献研究と情報技術 ―史学・古典学の現場から―」
  • 田中譲・猪村元「Transmedia: 文書画像の全文検索のための知識メディア技術」
  • 柴山守「時空間概念に基づく地域・歴史事象の写像と知識獲得 ―地域情報学の視点から見る歴史知識学―」
  • 久保正敏・原正一郎・関野樹「三次元時空間モデルとその展開 ―歴史知識を構築するために―」
「歴史知識学」と言えば、言うまでもなく以下の本を思い出さないといけないですね。

「情報歴史学」と「歴史知識学」とは何が同じで何が違うのかについてはこれからいろいろ検討していきたいと思いますが、重なる部分が多く参考になるのは間違いないですし、またお互いに刺激を与え合うようなことでなければならないと思います。

ここ1年ぐらい、上の『歴史知識学ことはじめ』(2009年3月)、『情報歴史学入門』(2009年3月)、『日本歴史』で特集「日本史研究とデータベース」、そして上の特集と、なんだか歴史学におけるコンピュータ利用が続々出ている印象がありますね。