Monday, November 01, 2010

平安京右京二条八町―花園大学構内調査報告VII―


一昨年の考古学研究室による発掘調査が、報告書にまとまったようです。
  • 花園大学考古学研究室編『花園大学考古学研究報告 第15冊 平安京右京二条八町 ―花園大学構内調査報告VII―(附 平安京右京一条四坊一・二町)』(2010年3月)
情報歴史学研究室で作った復元CGもカラー図版で掲載されています。

Friday, October 22, 2010

ゼミ遠足2010秋@安土城跡

諸事情により、急遽、安土城跡へのゼミ遠足が企画された。10月19日(Bloggerがメンテナンスとかをしていたので、このブログは22日書いている)はやや曇りというところで、山登りにはいい天気であった(けっこう汗はかいたけど)。安土城城郭資料館で安土城の輪切りを見てから、駅前で自転車を借りていざ安土城址へ。

天主が乗っかっていた礎石。皆同じ大きさで、真ん中が欠けているのがやはり気になるところ。

石段の一部になっていた石仏。この時代には割と利用されていた石材。

いろいろ写真を撮ろうと思っていたのだが、あまりの大きさに撮る気が失せた (^_^;;

安土城の復元案に関する論争については、川村信三氏の「「史実」とは何か ―安土城天主(守)復元「論争」の顛末―」(『歴史家の散歩道』ぎょうせい、2008年)が有益だろう。


京都駅でちょこっと飲んで解散。

Wednesday, October 13, 2010

【ニコニコ動画】京町家ムービー脱落小物

町家復元CGを作る際に、没になった小物たちを供養 (^_^;; するためのムービーがアップされました。近日公開予定のムービー第3弾の予告編もあります。

Monday, October 11, 2010

「デジタル形式での歴史研究、その成果の発表場所を欠く」のは問題ですな

情報歴史学の学生だったらチェックしておきたい国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルでこんな記事を見つけました。
歴史研究者の多くが「デジタル形式での研究成果(例えば、インタラクティブな地図やオンラインデータベース等)の発表に挑戦したいと考えている」と記事中にあるように、アメリカは情報歴史学的な研究が日本とは比べものにならないくらい盛んですが、それでも発表の場所がないというのは大きな問題だと思います。

Sunday, October 03, 2010

Daisuki3Dに紹介記事が掲載

記者発表も終わり、町家3DCGについては一段落といったところですが(卒論もあるし)、Sketchup Proの日本の総代理店であるアルファコックス株式会社からの依頼もあり、以下のような紹介記事を書きました。
いろいろな角度からの画像と、ちょっとした解説(師が書きました)が掲載されています。

Thursday, September 23, 2010

【論文募集】第16回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」

公式サイトにも案内が出ていますし、各所で告知もされていますが、こちらでも告知をしておきます。申し込み締め切りが延びています。情報歴史学の教員が会場担当をすることもあり、「文化遺産研究におけるコンピュータの利用」「大学における人文科学とコンピュータ関連の教育」が特集テーマとなっています。ふるってご応募下さい。
━━━━━━━━━━ 論文募集 ━━━━━━━━━
第16回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
開催日:2010年11月27日(土)
会 場:花園大学 拈花館202
   (京都市中京区西ノ京壺ノ内町8-1)
【主催】第16回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」実行委員会
【後援】人文系データベース協議会
【募集論文テーマ】
今回は、例年のテーマに加え、特に次のテーマでの投稿を歓迎いたします。
特集テーマ:
・大学における人文科学とコンピュータ関連の教育
・文化遺産研究におけるコンピュータの利用
一般テーマ:
・人文科学や芸術におけるデータベース構築の企画、事例、応用、支援
 ツールや周辺技術に関する研究
・人文系における地理情報処理に関連する研究
・人文系における数理モデルに関する研究
・人文系データについての情報処理的研究
【応募期限】
★講演発表申込締切 2010年10月8日(金) 【延長しました!!】
 氏名・所属・論文タイトル・内容あらまし(200字程度)・住所・Emailアドレス
 を事務局までEmail等でお送りください。
★論文集原稿提出締切 2010年10月28日(木)
 実行委員会所定の様式(発表申込者に送付)にしたがって執筆のうえ事務
 局に送付してください。図表込で約8~10ページ程度です。
【実行委員長】
師 茂樹(花園大学)
【事務局】
後藤真
花園大学 文学部 文化遺産学科
〒604-8456 京都市中京区西ノ京壺ノ内町8-1
m-goto@digitalhistory.jp
Tel:075-811-5181
Fax:075-811-9664

Thursday, September 16, 2010

毎日新聞にも掲載

情報歴史学研究室: 記者発表の続き。1週間ほど遅れましたが、毎日新聞にも掲載されたようです。ありがとうございます。
地方版とは言え、これで読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞・産経新聞の五大紙を制覇しましたな(日経・産経は共同通信経由だけど)。

Wednesday, September 08, 2010

記者発表

昨年度から取り組んできた梅忠町文書に基づく町家復元3DCGが、概ね一段落ついたので、プレスリリースを流して記者発表をしたところ、予想外にたくさんの新聞社(京都新聞・朝日新聞・読売新聞・毎日新聞・共同通信)、テレビ局(NHK、KBS)に来てもらうことができた。現時点でネットで見ることができるのは以下のとおり。
一番上の共同通信のニュースは日経新聞や地方新聞(岩手日報、静岡新聞、徳島新聞、四国新聞、西日本新聞、佐賀新聞、長崎新聞、大分合同新聞、熊本日日新聞は確認)などに配信、転載されているので、実際にはもっと多くの新聞に掲載されている。

記者発表の日(9月7日)のNHKの近畿圏のニュース番組で、これに関するニュースがとりあげられたらしい(未見)。いきなりインタビューされたから、目が泳いでいるのではないかと思う。

予想外の反響で正直戸惑っているところもあるが、京町家に関する関心の高さとともに、学生たちの作成したCGのクオリティーが高かったことが評価されたのではないかと思う。

Tuesday, September 07, 2010

上智大学古代史ゼミご一行様

9月3日、上智大学文学部史学科の北條勝貴先生のゼミの皆さんが、花園大学を訪問してくれました。北條先生には以前、うちのゼミ旅行で東京に行った際に、いろいろお付き合いいただきました。
博物館のバックヤードを見たいというご希望だったので、現在、愚堂東寔遺墨選に向けて展示準備中の(ケースが空っぽの)歴史博物館に入っていただき、また文化遺産学科の持っている高性能な撮影システムや3Dスキャナなどをちょこっと見た後、情報歴史学について簡単なレクチャーをさせていただきました。博物館の展示や考古の発掘、うちの3次元CG作成などが学生主体で行っている点に関心を持ってもらえたようです。十分なおもてなしはできませんでしたが、また遊びにいらしてください (^_^;; 次回はもっと、学生同士が交流できるようなものもいいかもしれませんね。

Tuesday, August 31, 2010

炎天下のBBQ

連日の猛暑日が伝えられるなか、宇多野ユースホステルでバーベキューをしてきた。1ヶ月以上前の計画段階では、この時期にこんな猛暑になっているとは予想だにしていなかったわけで、その責任を今回の担当者に押し付けることなどできない。だが、それにしても暑かった。


食べ始めた頃の写真。このころはまだ元気があって、日向でガツガツ食べていたのだが、次第に日陰から離れられなくなっていくのであった。

暑い!

Monday, August 30, 2010

「ひらめき☆ときめきサイエンス」レポート

8月6日、後藤真先生を中心にして「ひらめき☆ときめきサイエンス」が開催された。以下、簡単にフォト・レポートをば。

まず最初に、芳井先生による講義「京都の文化・歴史と風景」。高校生相手にノリノリでした!

次に後藤先生による講義「京都の光景と歴史イメージ―デジタルデータを通じて―」と実習「史料とコンピュータを使って見た 京都の光景―地図情報と古写真―」がありました。滅多に触れることができない生の史料に触れながら歴史学を学びつつ、GISを使ったデジタルデータの整理方法を実習しました。

最後に師が実習「コンピュータを使って見た京都の光景―3D技術をつかってみよう―」を担当しました。時間の都合上、途中まで作成した3次元モデルを使った実習となりましたが、全員の力をあわせて一応、町家の一階分を完成させることができました。


来てくれた高校生の皆さんに、どれほど情報歴史学の魅力が伝わったかは自信がありませんが、将来、花園大学に入学して、いっしょに活動する仲間になってくれたら望外の喜びですね。

Wednesday, August 11, 2010

デジタルカルチュラルヘリテージ 構築のためのガイドライン

後藤先生にTwitterで教えてもらいました。
ここに公開されているPDFは、情報歴史学コースの学生は全員、目を通してもらいたいものですね。研究会で取り組んでいる3次元CGの作成についても、そのワークフローが書かれています。もちろん3次元CG以外のことも網羅的に載っています。これはかなりすごい。

このガイドラインの作成の中心となった研谷紀夫氏は、以下のような書籍も出版しています。あわせて読んでおきたいところ。

Thursday, August 05, 2010

明日は「ひらめき☆ときめきサイエンス」

大学のサイトにアナウンスが出ていましたが、明日8月6日に後藤真先生を中心として「ひらめき☆ときめきサイエンス」『デジタルで見る京都のむかし―文化遺産とバーチャルでみる古代~近代京都―』を開催します。
情報歴史学の日頃の研究を、高校生の皆さんに知ってもらういい機会です。

Wednesday, June 16, 2010

電子出版&電子図書館イベント

授業でも少し紹介していますが、昨年であれば著作権法が改正されたりGoogleブック検索問題が起きたりして、今年になってもAmazonのKindleやAppleのiPadが発売されたりして、電子出版や電子図書館関係がホットになっています。これらは、直接には歴史学には関係ないかも知れませんが、文献のデジタル化や学術情報の流通など、情報歴史学にとって重要な話題を多く含んでいます。

そんなこんなで各地で関連のイベントが行われていますが、今回は以下の二つをご案内。
どちらも入場無料ですし、前者は『電子書籍元年 iPad&キンドルで本と出版業界は激変するか?』の田代真人氏、後者には『電子図書館 新装版』の長尾真先生が講演されますので、時間がある学生はぜひ参加してもらいたいものです。

Wednesday, June 02, 2010

ゼミ旅行2010 in 神戸

6月1日は毎年恒例ゼミで遠足。今年は奇しくも2年前と同じ神戸(南京町、生田神社、異人館など)になりました。私にとっては再訪になりますが、近畿圏日帰りとなれば場所も限られてくるし、学生が決めていることなので、まあ仕方がないですな (^_^;;
6月の遠足は、もちろん史跡や文化財を訪ねて勉強するというのもありますが、研究室を共同利用する学生同士が学年を超えて仲良くなっておく、という目的もあります。しかし、今年のメンバーは昨年度からの町家復元プロジェクトに顔を出してるので、すでにかなり仲がよかったりします (^_^;; そういう意味では、どちらかというと遊びというか親睦の要素が強くなっちゃいましたけど、これからプロジェクトは続くわけですし、こういう感じの遠足でもそれはそれでよかったのではないかと思ったりしています。

ついでにTwitterでのつぶやきも貼っておきます。

Saturday, May 29, 2010

ラジオ終わった

中村さん、公共の電波を使っての卒論中間発表、お疲れ様でした (^_^;; ちなみにリスナーは10万人ぐらいだそうです。

ネットでの映像公開、6月5日のオープンキャンパスでデモするとラジオで約束しちゃったので、頑張りましょう。

Friday, May 28, 2010

古墳の3次元スキャン

こういう画像は純粋にかっちょいいですねー。
文化遺産学科の3次元スキャナは、こういう大きなもの用ではなく、遺物などの小さなもの用ですが、いずれ情報歴史学コースでも弄り倒してみたいですねー。

Tuesday, May 25, 2010

またラジオに出ます

またまたですが、今週の土曜!藤崎ぷ〜ケット(KBS京都ラジオ)に出演します。今回は情報歴史学ゼミ4回生のN君(って、ゼミ生の半分ぐらいはNで始まるぞ (^_^;;)がメインです。よろしく!

Wednesday, April 28, 2010

情報歴史学コース全体指導2010

昨日、情報歴史学ゼミの全体指導を行いました。今年から文化遺産学科の学生が3回生にあがってきて、いよいよ旧史学科の情報歴史学コースも最後の年になりました(文化遺産学科はコース制ではないので)。それはともかく今年1年、いろいろいっしょになって活動をするメンバーですので、これを機会に仲良くやってもらえればと思います。
私は体調が悪くて懇親会をすぐに失礼してしまいましたが、うまいこと盛り上がったようで何よりです。

Sunday, April 11, 2010

ラジオで紹介

師がラジオ番組に出演した際、町家の3DCGムービーを(ラジオなのに)紹介しました。
藤崎マーケットの藤原さんの方が歴史好き(城好き)とのことで、楽しんでもらえたようです。学生が作ったというのでびっくりしてました。ラジオだったので聞いていた人には何が何だかわかんなかったみたいですが (^_^;;

Wednesday, April 07, 2010

幕末の京町家の復元ムービー(暫定版)公開

2009年度から作っている町家の3DCGのムービーをニコニコ動画で公開してみました。



ご笑覧ください。よろしければコメントもください。

Wednesday, March 31, 2010

今年度の研究会の成果(まだ途中)

2009年度の情報歴史学研究会では、近現代史の松田先生をリーダーに、民俗学・博物館学の明珍先生や美術史の福島先生のグループと共同で、町家の復元の研究を行いました。現在、その研究成果の視覚化として3次元CGを作成しています。

完成にはまだまだ時間が必要そうですが、とりあえず中間報告がてらCGをご披露(テクスチャを貼っていないので、まだ白黒ですが、そのへんはご容赦ください)。まずは全体を通りの方から。
裏庭には蔵が三軒立っています。

玄関から中を覗くとこんな感じ。通り側は商売をやるスペースですので、オープンな感じ。

通りに面した部屋には、お会計用のスペースも(これらの位置はまだ未確定なので仮に置いてあります)。

奥の部屋に行くと、食事を作ったり食べたりするスペース。職住一体の町家ならではです。
障子の向こうに蔵が見えます。一升瓶が置いてありますが、幕末という設定なのでたぶん消去されるでしょう。

Friday, February 12, 2010

卒論へのコメント

先日、卒論の口頭試問が終わったので、簡単にメモしておく(昨年度のコメントはこちら)。下のメモは、口頭試問時に学生一人ひとり渡したものにちょっと手を加えたもの。

小川亮「地域振興のための小谷城復元3DCGの作成」

小川論文は、長浜市に残っている小谷城址を重要な文化財であるとともに貴重な観光資源でもあると考え、2011年のNHK大河ドラマ『江 〜姫たちの戦国〜』などを見据えた地域振興を目的とした3次元CGの作成について論じるとともに、実際にムービーを作成している。

浅井氏に関する先行研究が、ほぼ一人の研究者(小和田哲男氏)の議論に乗っかっているのは問題かもしれない。浅井氏を主題とした研究書等は限られるだろうが、織田信長や朝倉氏などに調査対象を広げることもできたのではないか。

地域振興についてであるが、観光協会などに事前調査はしたのか。観光学の論文を引いて「ビジュアル」の重要性を強調している点は、一般論としては有意義かも知れない。しかし、長浜市が抱えている固有の問題を、この方法で解決することができるのか。

ムービーについて、独力で作ったムービーとしては(細かい点を指摘すればキリがないが)がんばって作ったのではないかと思う。しかし、これが観光目的のムービーであると言われてもピンとこない(花大の歴博で展示したムービーに似ているが、あれは展示用)。観光目的の映像として工夫した点はどこか(例えば、教育用コンテンツとの違いはなにか)。観光情報(あるいは大河ドラマの情報)などを付け加えることはできなかったのか、など、工夫の余地がある。

大藤雄亮「江戸城の内部構造の3DCG作成について」

あらゆる点で準備不足。しかも、それはこれまで何度も指摘している。真剣に卒業論文に取り組もうとしたのだとは思えない。猛省を望む。

※ 細かいコメントは省略。

手塚宗二郎「中世の大鎧の3DCG作成とその問題点」

多くの作例を実見し、また早くから研究史のまとめに取り組み、草稿を何度も提出するなど、卒業論文にかけた労力は認める。しかし、残念ながら質的には不十分であると言わざるを得ない。

最大の問題は、「3DCG作成とその問題点」がテーマであるにも関わらず、実際のCGの制作までたどり着いていないということである。

※ 細かいコメントは省略。

本郷聡明「マルチエージェント・シミュレーションによる縄文時代の未発見遺跡推定」

国内でもほとんど事例がない歴史学におけるエージェントベース・シミュレーションの応用に取り組んだ点、特にartisocを自力でマスターしプログラミングを行った点については評価したい。また、研究史のまとめにおいても、シミュレーションを行うことを前提としたまとめとなっており、よくありがちな単なるまとめになっていない点は評価したい。

シミュレーションの本質は単純化・抽象化・モデル化であるが、それは手を抜くことではない。今回作成されたシミューレションについて言えば、研究に必要な複雑さは容認し、モデル化する必要があったのではないか、と言いたくなってしまう。例えば、地形情報は単純すぎたのではないか/エージェントの行動パターンはランダムでよかったのか。etc...

今回のモデルでは「どこにでも遺跡が存在しうる」という結論であったが、これは“こういうモデル化ではうまくいかない”という意味でバッドノウハウあるいは失敗学的な意義はあったものの、本来の目的を達成しているわけではない。時間の関係もあるだろうが、今後の工夫が必要であろう。

鹿谷慧「近世城郭史研究の傾向と課題 ―論文データベースの作成と分析を通じて―」

鹿谷論文は、近世城郭史の研究の特色をふまえたうえで、この研究分野での研究ではCiNiiなどの汎用の研究文献データベースが使い辛いことを指摘し、それに代わる近世城郭史論文データベースの作成の報告をしている。

全体としてはよくあるテーマなのであるが、まず大前提となる近世城郭史の研究史のまとめと分析が不十分であると言わざるを得ない。論文内でもほぼ同じ内容の記述が繰り返されているだけで、引用する文献数に乏しく、また近世城郭史研究の特徴としてあげられているのが「城郭統制」だけしかない。そのため、研究史の分析が、データベースの作成理由につながっていない。

研究文献データベースの先行事例としてCiNiiWebcat Plusなどの汎用的なデータベースをとりあげ、専門的なデータベースであるインド学仏教学論文データベース(INBUDS)と比較することで、前者の問題点を抽出しようとしているのは意義がある。ただし、CiNiiなどが使いづらいことが、そのまま独自のデータベースを作る理由になるわけではない。利用者として想定される近世城郭史の研究者コミュニティの分析はしたのか。想定される利用者である研究者コミュニティが抱えている問題を調査したのか。

データベースのプロトタイプを作成したわけであるが、100件程度のレコード数は、検索目的のデータベースとしては少なすぎる。また、引用文献についてのフィールドが存在しており(CiNiiがCitation Indexであることを意識したのか?)、それなりに役に立つかも知れない(研究史の分析などには使えるかも知れない)が、CiNiiが近世城郭史研究において不便であるという問題意識を解決することにはならない。

Tuesday, January 19, 2010

『人工知能学会誌』Vol. 25, No. 1は特集「歴史知識学」

あまり馴染みがない分野かも知れませんが、『人工知能学会誌』Vol. 25, No. 1 (2010年1月) で「歴史知識学」という特集が組まれています。これも情報歴史学コースの学生は必読でしょうな。
  • 石川徹也・赤石美奈「「歴史知識学」の特集にあたって」
  • 横山伊徳「史料編纂とディジタル化のメタヒストリー」
  • 若林晴子・マーティン C. コルカット「海外機関所蔵の日本史史料 ―目録編纂,ディジタル化,データベース構築の現状と課題―」
  • 安達文夫「歴史研究情報の統合検索と歴史知識」
  • 林晋・永井和・宮崎泉「文献研究と情報技術 ―史学・古典学の現場から―」
  • 田中譲・猪村元「Transmedia: 文書画像の全文検索のための知識メディア技術」
  • 柴山守「時空間概念に基づく地域・歴史事象の写像と知識獲得 ―地域情報学の視点から見る歴史知識学―」
  • 久保正敏・原正一郎・関野樹「三次元時空間モデルとその展開 ―歴史知識を構築するために―」
「歴史知識学」と言えば、言うまでもなく以下の本を思い出さないといけないですね。

「情報歴史学」と「歴史知識学」とは何が同じで何が違うのかについてはこれからいろいろ検討していきたいと思いますが、重なる部分が多く参考になるのは間違いないですし、またお互いに刺激を与え合うようなことでなければならないと思います。

ここ1年ぐらい、上の『歴史知識学ことはじめ』(2009年3月)、『情報歴史学入門』(2009年3月)、『日本歴史』で特集「日本史研究とデータベース」、そして上の特集と、なんだか歴史学におけるコンピュータ利用が続々出ている印象がありますね。

Tuesday, October 27, 2009

第29回 花園大学史学会大会

今年の史学会の大会では、我らが後藤真先生が登壇します。

第29回 花園大学史学会大会
日時:2009年11月21日(土)13:00〜16:20
会場:花園大学無聖館5階ホール
受付:12:45〜
プログラム:
  • 研究発表 13:00〜13:40
    山口洋子「京狩野派と公家後援者たち」
  • 特別発表 13:40〜14:40
    後藤真「歴史情報の総体化と可視化の試み —奈良時代における「写経の世界」を題材に—」
  • 特別発表 15:00〜16:00
    中野渡俊治「平安時代初期太上天皇制の展開」
  • 総会 16:00〜16:20
  • 懇親会 18:00〜20:00
後藤先生の発表がどんなものかはまだわからないが、たとえどんなものであっても、発表内容もさることながら、普段ゼミでやっている(説明している)情報歴史学的な論の立て方(発表の仕方、論文の書き方)について、すごく勉強になるはずだ。特に3、4回生には参考になるだろう。応援もかねて、万難を排して見に行くように。

11月〜12月の関連イベント

これから12月にかけて、情報歴史学関連のイベントが関西でも多数開催されます。うちのゼミ生にぜひ行ってもらいたいイベントをいくつかリストアップしておきます。
岡本さんはゼミ旅行でお世話になった恩義のある方です。内容もきっとおもしろい(特に学術情報の発信をテーマとして考えている学生はかなりストライクゾーン)ので、ぜひ聞きにいきましょう。

あとの3つは例年のイベントですが、今年はじんもんこんが関西に来るので、これを逃すのはもったいないですね。あと漢字文献情報処理研究会の大会は本学で開催されるので、こちらも聞きに来ましょう。

Tuesday, October 13, 2009

中間発表終わる

しばらく間があいてしまいました。

今日は卒論中間発表でした。4回生がB4の紙に概要・章立て・史資料・参考文献の4パートからなるレジュメを切って(レジュメってなんで「切る」って言うんだろう)、自分の卒業論文について発表する、というものです。史学科全4回生が一箇所に集まってやると時間がかかりすぎるので、いくつかのゼミでグループ分けします。今年、情報歴史学ゼミは芳井先生の民俗学ゼミと、福島先生の美術史ゼミと合同でした。

ゼミ生の題目は以下の通り:
  • 小川亮「地域活性のための3次元CGによる小谷城の復元」
  • 大黒元気「GISを使った土地利用の変遷」
  • 大藤雄亮「江戸城内部の構造の3DCG作成について」
  • 手塚宗二郎「中世の大鎧の3DCG作成と問題点」
  • 本郷聡明「マルチエージェント・シミュレーションによる縄文時代の未発見遺跡推定」
内容については…例年と比べてもちょっと努力が足りず、正直残念な発表がいくつかありました。まあ、来週以降、どんどん尻を叩いていくことにしましょう。卒業式の頃、「卒論をもうちょっとがんばればよかった」という声を毎年耳にします。後悔先に立たず。悔いのないようにがんばってほしいものです。

Sunday, July 26, 2009

情報歴史学入門 - 京都民報Web

『情報歴史学入門』の紹介記事が『京都民報』に載りました。
ありがとうございます。



Amazonの「なか見!検索」にも対応しています。どうぞよろしく。

アーカイブズ学文献データベース

2009-07-26 - Daily Searchivist経由で知りました。ありがとうございます。
これはうちのゼミ生にとっては、非常に有用なデータベースですね。先行研究調査がまたひとつ楽になった。「データベース」で検索すると、たくさん検索結果が出て来ます。

Saturday, July 25, 2009

アート・ドキュメンテーション学会ブログ

標題の通り、アート・ドキュメンテーション学会のブログが開設された。
この学会は「図書館、美術館・博物館、美術研究機関、関連メディア、及びこれらに関係あるものの連絡・連携のもとに、わが国、さらには国際間における、アート・ドキュメンテーションをめぐる諸問題の解決と進展に寄与すること」を目的とし、図書館や博物館における情報公開や画像データベースの開発・公開の問題など(だけではないけど)を議論したりしているので、学会自身の情報発信もまた、それ自体が大きな研究課題となりうる取り組みなんだろうと思われる。

情報歴史学関係者は要チェックである。いろいろ勉強になると思うので、RSSリーダーとかに登録しておこう。

Tuesday, July 21, 2009

住まいのミュージアムはすごい

現在、情報歴史学研究会では江戸時代の京町家の復元を行っている。その調査の一環で、住まいのミュージアム・大阪くらしの今昔館を訪れた。文化遺産学科の明珍先生が作った博物館なので、特別にガイドをつけてもらい、通常は見ることができない部分も見せていただくことができた(下の写真は、通常は開いている木戸門を特別に閉めてもらったところ)。

この木戸門をはじめとするすべての建物は、実は新品の材木を使って新築したものを、あれこれやってウェザリング&エイジングしたものなのである。特に長屋の腐りぐあいとか、すごすぎ。

参加学生の頭の中には町家の図面がインプットされているので、見てまわるのが楽しくて仕方がない、という感じ。よい勉強をさせていただきました。関係の皆様に感謝!

Wednesday, July 08, 2009

情報歴史学たぬき

先日のゼミ旅行で行った信楽で買ったタヌキが届きました。

彼が持っている看板の「情報歴史学」は合成ではありません (^_^;; ちゃんとしたオーダーメイドです。

とりあえず買ったはいいものの、どこに置くかに頭を悩ませているところです。

Tuesday, June 23, 2009

春のゼミ旅行@甲賀・信楽

今年の6月のゼミ旅行は、甲賀・信楽方面であった。前日までざーざーと降っていた雨も止み、快晴(ただし暑い (^_^;;)。



最初の目的地は水口城跡。そういえば昨年秋のゼミ旅行も滋賀県の城跡であった。城の復元とかの研究をしているゼミ生が多いと、自然とそうなる。

ここで見せてもらった資料館の建物(もともと城で使われていた柱などを再利用しているらしい)や岡山城の復元図、水口城の解説ビデオなどを見て、うちの研究室で協力できる(やらせてもらいたい)ことがいろいろあるんじゃないかと思う。

次に向かったのが甲賀流忍術屋敷。まあ興味半分で行ってみたのだが、いろいろ得るものはあった。


次に立ち寄ったのが紫香楽宮跡。思ったより荒んでいたのが気になったり。


最後に信楽でタヌキの置物を物色してゼミ旅行はおしまい。帰りの高速道路で事故渋滞につかまっちゃったけど、無事に帰ることができました。

コッチミンナー

Saturday, May 30, 2009

【ニュース】東大史料編纂所と奈文研のデータベースが連携へ

タイトルのまんまですが、そういうニュースが流れました。
古代史をやってる人にはうれしいニュースかも。いろいろなデータベースが一括で検索できるのは、けっこううれしいものです。
奈良文化財研究所の渡辺晃宏・史料研究室長は「国内を代表する両機関の連携が他機関の連携の起爆剤にもなれば」と話している。
同感。しなくていいところが連携してもしかたがないけど、こういう例は大歓迎。

Saturday, May 02, 2009

【イベント】シンポジウム「陵墓公開運動の30年」

いくつかのサイト、ブログで告知されていますが、「陵墓公開運動の30年」というシンポジウムが、京都で開催されます。
開催案内を山田先生のブログから勝手に転載します。
シンポジウム「陵墓公開運動の30年-佐紀陵山古墳・伏見城の報告とともに-」
1979年に白髪山古墳が限定公開されてから今年で30年。この節目の年に、本年2月の立ち入りの成果紹介を行いつつ、「陵墓」とその公開のあり方をあらためて考えます。
日時:5月17日(日) 13:00~17:30
場所:キャンパスプラザ京都(JR京都駅下車、西北へ徒歩3分)5階第1講義室(事前申し込み不要、ただし定員は当日先着300名)
資料代:500円
主催:陵墓関係16学・協会(大阪歴史学会、京都民科歴史部会、考古学研究会、古代学協会、古代学研究会、史学会、地方史研究協議会、奈良歴史研究会、日本考古学協会、日本史研究会、日本歴史学協会、文化財保存全国協議会、歴史科学協議会、歴史学会、歴史学研究会、歴史教育者協議会)
主催者挨拶:福永伸哉(日本考古学協会)
陵墓公開を求めて30年:宮川徏(文化財保存全国協議会)
佐紀陵山古墳の報告:岸本直文(大阪歴史学会)
伏見城跡(桃山御陵地)の立ち入り調査:山田邦和(古代学協会)、仁木宏(大阪歴史学会)、松尾信裕(日本歴史学協会)
陵墓公開運動のこれから:後藤真(日本史研究会)
ディスカッション:司会:谷口榮(地方史研究協議会)、森岡秀人(歴史科学協議会)
ご覧の通り、我らが後藤真先生も登壇するようです。ということは、例の裏プロジェクトも表に出るのかな? いずれにせよ、注目のイベントです。

Thursday, April 30, 2009

DSの開発環境を配布?

先日投稿した情報歴史学研究室: 京都文化博物館でNintendo DSを使った展示支援に関連する情報が流れてきた。NIKKEI NET(日経ネット):任天堂、「DS」の用途拡大 学校で自作教材を配信によると、
学校で先生がつくった独自の教材をDSに配信し生徒が解答できるようにしたり、博物館で展示物の解説をDSで聞けるようにしたりする。公共施設などが目的に合わせて独自のコンテンツを簡単に作成し、DSに配信できるシステムを新たに開発した。
例えば学校が導入する場合、生徒にあらかじめDSを配布。教員がパソコンからDSに自作の教材を無線で配信すれば、テストなどの解答を教 師のパソコンで一覧できるようになる。学校側は必要なソフトをパソコンに組み込んで使う。設備としては無線LAN(構内情報通信網)対応の装置を導入すれ ば利用できる。
とのこと。とすると京都文化博物館の事例は、これのテストなのかもしれない。本学の歴史博物館にも応用可能なら、やってみたいところ。

Tuesday, April 28, 2009

京都文化博物館でNintendo DSを使った展示支援

京都文化博物館でNintendo DSを使った展示の閲覧支援をしているらしい。時雨殿とは違って、自分のDSを持ち込む必要がある。
京都新聞によると、
21日から6日間の試験運用では多くの来館者が利用し、西京区の豊田武さん(69)は「画像と音で作品の魅力が伝わってくる」と話していた。
とのことだが、失礼ながら69歳の方がマイDSを持ってらっしゃるとも思えないので(ちなみに私も持っていない)、試験運用のときだけ貸し出したりしたのだろうか。本当に「画像と音で作品の魅力が伝わってくる」ものであれば、ぜひ体験したいものである。

Friday, April 24, 2009

『情報歴史学入門』出ました

情報歴史学担当の教員3名による『情報歴史学入門』が出版されました(されています)。Amazonに出るまでブログでの紹介は控えようと思ってたけど、我慢できずに一般公開。

後藤真・田中正流・師茂樹『情報歴史学入門』(金壽堂出版、2009年3月)

情報歴史学コースの学生は教科書指定をしているので、当たり前だが買って下さい。ぶっちゃけて言うとこの本は、情報歴史学コースの先輩たちの人体実験の上にできあがった、現役の君たち(未来の学生)のために書かれた本なのです。もちろんそれ以外の方々にも手に取っていただけたら幸いです。

目次は以下の通り:
  • 情報歴史学の目指すもの
  • この本の読み方
  • 第1部 データベースの読み方
    • 第1章 木簡データベースを読む
    • 第2章 正倉院文書データベース(SOMODA)を読む
    • 第3章 怪異・妖怪伝承データベースを読む
    • 第4章 文化庁「子ども文化教室」を読む
  • 第2部 デジタル化の技法
    • 第1章 目録類のデータベース
    • 第2章 文献史料
    • 第3章 モノ史料/建物/遺跡
    • 第4章 無形民俗文化財
    • 第5章 地理情報
  • 第3部 情報を引き出す
    • 第1章 はじめに
    • 第2章 検索
    • 第3章 数理的分析
    • 第4章 シミュレーション
  • 第4部 情報を発信する
    • 第1章 著作権とライセンス
    • 第2章 様々な公開方法
    • 第3章 利用状況調査とフィードバック
  • 第5部 卒業論文に向けて
    • 第1章 問題を立てる
    • 第2章 先行研究の集め方
    • 第3章 論文の書き方
    • 第4章 卒業制作の流れ
  • あとがき
  • 著者紹介
  • コラム
    • Wikipediaをどのようにつかうのか
    • どの言語から始めるか
    • 歴史学の方法
    • バックアップは念入りに
    • ブログでの論文のメモ
    • ウェブサイトやソフトウェアの引用方法

Tuesday, April 21, 2009

情報歴史学コース全体指導2009

今日は情報歴史学コース全体指導&懇親会でした。2回生が都合で出席できなかったのは残念ですが、3、4回生で交流が深められたのはよかったですね。あと、OBが2名、参加してくれたのは嬉しかったです。研究会の参加者も増えそうで何よりですね。

写真を取り損ねたのは失敗した (^_^;; お疲れさんでした。

Wednesday, April 15, 2009

今後の予定

4月21日(火)18:00〜に、毎年恒例の情報歴史学コース全体指導を行います。その後、またいつもの通り懇親会をします。コース所属の学生は原則全員参加ですが、欠席する者はあらかじめ連絡をするように。OB・OGで参加希望の人も、ご連絡を。

情報歴史学研究会は、28日(火)から原則毎週、18時スタートでやる予定です。昨年度の積み残しのほか、新しいネタ(明珍先生の研究会、考古学研究室とのコラボなど)もありますので、多くの学生の参加を待ってます。研究会の方は、情報歴史学コース以外の学生も参加OKです。

Friday, April 10, 2009

春のイベントは東京

この春は、情報歴史学系のイベントが東京で多く開催されるようだ。

Tuesday, March 17, 2009

2008年度学位記授与式

卒業おめでとう!今日は学位授与式でした。

京都で就職する人もいるけど、多くは地元に帰ったり、近畿圏以外で就職したりと、ゼミのメンバーはバラバラになってしまう。でも、いつか何処かで会えたらいいね。I feel the echo...

Sunday, March 01, 2009

注目の近刊(一部手前味噌)

昔『人文学とコンピュータ』という雑誌を出していた勉誠出版から、注目すべき本が2冊出るようだ。
どちらも情報歴史学に非常に関係の深い内容だと思われる。出版が楽しみである。ちなみに同社からは、もうすぐ、私(師)の論文が載っているこんな本も出る。
こちらもよろしく。文字コードの問題も論じられているので、情報歴史学には関係がある話題だし。

Saturday, February 14, 2009

卒論へのコメント (3)

(2)の続き。

武市篤志「近江人物データベースの作成と公開」

武市論文は、京都や奈良に比べて近江(滋賀県)の歴史が知られていない、という問題意識のもと、近江人物データベースを作成し、それを小学校〜高等学校で利用してもらうことで、滋賀県の歴史研究を活発にしたい、というものである。

所謂「新学習指導要領」においては、例えば中学校の社会の歴史的分野における指導要領として、
身近な地域の歴史を調べる活動を通して、地域への関心を高め、地域の具体的な事柄とのかかわりの中で我が国の歴史を理解させるとともに、歴史の学び方を身に付けさせる。
と述べられているので、特定地域向けの歴史教育用のウェブ・コンテンツを作成することは、それなりに意義はあろうかと思う。しかし、「近江(滋賀県)の歴史が知られていない」という評価は印象論に過ぎず(悪く言えば、滋賀県民の京都、奈良に対するひがみ? (^_^;;)、先行事例として近代日本人の肖像を評価する際も「写真が出ているので親しみやすい」みたいな表層的な評価にとどまっている。また、そもそもデータベースが作られておらず、机上の空論と言われても仕方がない。もっと頑張って欲しかった。

富士田暁「近年の皇位継承問題に関する文献データベースの作成と公開」

タイトルの「近年の皇位継承問題」とは、小泉首相の頃、皇室典範を改正するとかしないとか揉めていたあの問題である(皇位継承問題 (平成) - Wikipedia参照)。富士田論文では、何十年か後に恐らくは再びおこるであろう皇位継承問題において、国民一人一人が正しい知識を持ち、活発に議論することでこの問題の解決を目指すべきだ、という問題意識のもと、それに資するデータベースの作成と公開について論じている。データベースに収録される「文献」とは、週刊誌や新聞などの記事が中心である。

「国民的議論を喚起したい」という点をめぐって、大きな問題点がいくつか考えられる。そもそも天皇制に反対している人も、無関心な人も「国民」である。特に前者の発表した論文等は収録するのかしないのか(しないのであれば「国民的議論」にならない)、という問題は曖昧にされたままである(データベースには収録されていなかったが)。また、データベースを作成すれば「国民的議論」が発生するかというとそれは多分無理で、データベースを利用してもらう仕組みを考えなければならないだろう(この点は岡本論文のテーマでもある。(1)参照)。

現段階では、プロトタイプということもあり、インターネットでは公開していないが、ARGの岡本真さんからのアドバイスもあり、公開を目指しているとのことなので、期待&応援したい。

小田島太郎「シュルレアリスムの定義からみたお笑いのシュール」

小田島論文のテーマは、見ての通り情報歴史学とはほとんど関係がない。何度も面談して、すでにプロのお笑いの世界に半分入っている小田島さんの(大袈裟に言えば)実存を尊重して、特別にこのテーマを認めた次第である。

さて、この論文では、「シュール」と評価されるお笑いのネタが、ブルトン「シュルレアリスム宣言」などに見られる「シュルレアリスム」の定義と比較することで、お笑いにおける「シュール」を評価しよう、というものである。具体的にとりあげられるお笑い芸人は、シティボーイズ、ラーメンズ、千原兄弟である。

遺跡調査報告書電子化の新たな試み?

以下のようなイベントがあるようです。

Thursday, February 12, 2009

卒論へのコメント (2)

(1)の続き。

坂本華奈「珍敷塚古墳の3DCG復元とその問題点について」

坂本論文は、福岡県うきは市にある屋形古墳群のひとつで、ヒキガエルなどの絵で知られている装飾古墳である珍敷塚古墳の復元についての研究である。この古墳は現在、壁の一部しか残っておらず、また保護のため展示にも制限が加えられているという状況である。この古墳については、壁の絵をどのように解釈するか、という研究は多くなされているものの、石室などの全体的な構造については研究が進んでいるとは言えない。3DCGによる復元を試みることで、全体像の研究に資したい、というのが主旨。

時間をかけて作成したCGは、未完成ではあるが、その努力を多としたい。

問題点をあげれば、本研究の目的は序論では「石室や外形」「全体像を検討」となっているものの、論文の後半にはムービーについて議論が展開され、そこでは研究者以外の人(見学者)の利用(展示)も想定されているようである。結局、目的はどこにあるのか、はっきりしない。

また、どのような目的であるにせよ、ムービーの見せ方が論文に書かれているような方法でよいのかについては、単に先行事例を踏襲するだけでなく、もっと検討すべきであっただろう。

副査の高橋克壽先生からいろいろ貴重なアドバイスをいただけてありがたかった。可能ならば、ちゃんとしたものに仕上げて展示してみたいですね。

清水祥央「宮上茂隆案に基づく安土城の3DCG復元」

安土城の復元案については様々な説が出されているが、内藤昌氏の案がメジャーとなり、メディアを通じて広く知られている。しかし、内藤氏の説に対しては様々な批判がなされており、内藤説が一人歩きしている状況は好ましくない。清水論文では、内藤昌氏以外の有力な説として宮上茂隆氏の説を採用し、それによる3DCG復元を試みる。

研究史のまとめは、川村信三氏の「「史実」とは何か —安土城天主(守)復元「論争」の顛末—」(『歴史家の散歩道』所収)に大きく依拠している。


着眼点はおもしろいが、3DCGは完成にはほど遠く、また論文も単なる安土城研究史の概観にとどまっており、もう少し早く準備していればと悔やまれる。

Wednesday, February 11, 2009

卒論へのコメント (1)

昨日、口述試問が無事に終わったので、簡単にメモしておこう(参考: 2006年度2007年度)。

岡本知沙「WWWにおける高い集客能力のあるコンテンツの分析 〜2ちゃんねる、ニコニコ動画を中心に〜」

岡本論文は、序論で次のように述べる。
近年、大学や研究機関、図書館などにおいて、多くのデジタルアーカイブやデジタルコンテンツが公開されるようになってきている。しかしながら、それらの多くは作りっぱなしの場合が多く、開発費に見合った効果が得られたのかどうか、検証されることはほとんどない。
この問題を解決するための予備的考察として、岡本さんは2ちゃんねるニコニコ動画など、ユーザーが多く集まり、積極的に活用されているサイトの分析を行う、というのが本論文の主旨である。

「作ったものは立派だと思う。で、どうやってユーザーに使ってもらうの?」という問題は、人文科学とコンピュータ研究会の発表でもしばしば聞かれるもので、岡本真さんの『これからホームページをつくる研究者のために』とも問題意識を共有している。また、2ちゃんねるとかニコ動の分析は、濱野智史氏の『アーキテクチャの生態系』などによって、単なる印象論から脱しつつある状況で、これまた時宜を得ていると言える。


その意味では着眼点がとても興味深く、またいろいろな先行研究を参照している点も評価できる。しかし、問題点を絞り込むことができず広く浅くなってしまい、各章に有機的なつながりがなく、つぎはぎな感じになってしまったのは残念である。序論で述べられたデジタルアーカイブの問題点の解決策についても、それまでの議論をふまえたものには必ずしもなっておらず、その点も残念。

また——先行研究にありがちな、新しいネット文化を過大評価するトーンに毒されてしまっているのかもしれないが——2ちゃんねるやニコ動のコアなユーザーを過大評価、あるいは一般化しすぎているように見受けられる。加えてこれらのサイトを分析する際に使われる「ネタ」という概念が、「真実」「情報」の反対概念だったり、コミュニケーションの種だったりと、非常に都合のいい万能な用語として使われている印象がある。

小笠原祐也「日本中世都市史に関する研究文献データベースの作成と公開」

日本中世都市史に関する研究史をまとめた前半部分は、副査の先生に「ここだけは文献史学の論文として発表してもよいくらい」と言われるぐらいよくできている。

しかしながら、この研究史のまとめや、先行データベース(例えば国立歴史民俗博物館中世地方都市データベースなど)の評価が、実際のデータベースの作成にあまり活かされていないのが残念である。例えば、研究史のまとめにおいて注目されていた「曖昧な都市概念」「都市的な場」のような問題に対して、このデータベースはどのような解決策を提供しているのか。論文の中でも、データベースの設計レベルでも、この点ははっきりと示して欲しかった。あるいは、中世都市データベースの「都市情報の検索」という機能をただ紹介するだけでなく、その必要性を批判的に評価することができれば、データベースのあり方は今とは違ったものになったのではないだろうか。

(他の学生もそうだが)論文とデータベースなどの作品とが、どちらか片方ではなく、両方必要である点をもう少し考えて欲しい。

Monday, January 26, 2009

GPSのデータをGoogle Earthに読み込んでみた

馬場南遺跡(神雄寺跡)発掘調査 現地説明会に行ったとき、GPSもいっしょに持っていった。電源をいれっぱなしにして、リュックの外ポケットに入れっぱなし。このとき歩いた軌跡のデータをGoogle Earthに読み込んでみたら、以下の通り。

神雄寺のあたりが林っぽかったけど、あとは空が見える場所なので、そんなに大きなずれはないと思う。あとで写真ファイルに埋め込んでみよう。

Thursday, January 22, 2009

MicrosoftのImage Composite Editorはなかなか優秀

MicrosoftのImage Composite Editorはパノラマ写真を作るソフトなのだが、無償の割になかなか優秀だ。

下の画像は、馬場南遺跡(神雄寺跡)発掘調査 現地説明会に行ったときに撮った写真を5枚、放り込んだら、うまい具合につないでくれたパノラマ写真。左手に見えるのが文廻池。中央の人だかりが馬場南遺跡(神雄寺跡)である。


もう一枚は、発掘現場の南端あたりから北に向かって撮った写真をつなげたもの。現地説明会の会場なので撮影中も人が移動しており、写真にもそれが写っているのだが、うまいことつなげてくれている。

ちなみに、左下のパイプと右下のパイプは同一直線上にある。パノラマだからこうなっちゃうのね(途中ずれてるところもあるし)。ゆがんでしまうのに目をつぶれば、雰囲気をつかむのにはよいのではないかな。ここからQuickTime VRにできたりしたら面白いんだが。

Friday, January 16, 2009

週刊 安土城をつくる

週刊 安土城をつくるというシリーズがデアゴスティーニから出るらしい。今年、卒論のテーマとして安土城の復元に取り組んだ学生もいるし、ちょっと欲しいなぁ、と思ったりする。

でも110号まであるらしいから、2年間、毎週1500円ずつ払う根気はないなぁ (^_^;)

Thursday, January 15, 2009

デジタル情報の長期保存に暗雲(日経新聞)

『日経新聞』2008年12月27日朝刊「文化」欄に「学術資料や映像記録 デジタル情報の長期保存に暗雲 媒体に寿命 更新コスト莫大」という記事が載っている。

昨年10月に開催された国際シンポジウム 「デジタル知の恒久的な保存と活用にむけて―デジタルジレンマへの挑戦」の報告がメイン。例えば「品質でフィルムと同等の4k(画面を横4096、縦2160の画素で表現)のデジタル映画は、一本当たりの保管コストがフィルム映画の11倍にもなる」ため、最近ハリウッドでは保存用の映画をフィルムに焼き直しているらしい。このシンポジウムも「デジタルが最上と信じてきたが、『そんな問題があったのか』との思いに駆られて企画した」との由。

この記事の中で、我らが後藤先生がコメントを寄せている:
花園大学の後藤真専任講師は、「ハードディスクが稼働を始めて三ヶ月で二%の不具合が発生、五年で一〇%弱に達したとする、米国での調査結果がある」と話す。
新聞記事なので、後藤先生の発言や意図はかなり端折られていると想像する(私も経験あるので (^_^;;)。後藤先生のことだから、ハードディスクがどーのというような物理的な話がメインではなく、保存とはそもそもどんな行為か、みたいなこととか、史料論的なこととか、政策的なこととかを話したんじゃないかと思うが、そのへんは身内特権でご本人から聞くとしよう。

しかしまあ、ハリウッドの人たちの中には、「お前ら情報屋が『これからはデジタルですよ』なんて言うから高い金を払って設備投資したのに、今頃になって『デジタルは保たない』とか言うなよ、ボケ」なんて思ってる人もいるんだろうなぁ (^_^;; 善意に基づいているとは言え、自作自演と言われても仕方がない(ほかの業界でもよく見るけどね)。私も「デジタル万歳」的なことを発言したり論文に書いたりしてるので、片棒を担いでます。すいませんすいませんすいません。

もっとも保存だけがデジタルの目的ではなく、先の映画の例で言えば、ポストプロダクションとかでデジタルの恩恵(特殊効果とかね)を多分に受けているだろうから、トータルでデジタル化はプラスだったのかマイナスだったのか、評価をしなければならないんだろうけど。

Friday, January 09, 2009

卒論〆切日

今日は卒業論文提出〆切日。提出予定の7名が全員無事、提出した。よかった、よかった。

Saturday, December 27, 2008

Google SketchUp 7がそろそろ

うちのゼミではお世話になっている人が多いGoogle SketchUpだが、バージョン7の始まった模様。英語版はすでにリリースされている。
「日本語版のリリースは2009年5月を予定しています」だそうだ。

平安京の邸宅の3DCGムービーを作るときに悩まされたバグ?(呪い?)が直っているといいなぁ。誰か、英語版で試してよ。

Monday, December 22, 2008

14th International Conference of Historical Geographers

帝塚山大学の川口洋先生より情報をいただきました(というか、宣伝してって言われました (^_^;;)。
日本語訳すると「第14回国際歴史地理学研究者会議」みたいな感じかな。現在のところ案内はすべて英語ですが、近々日本語のページもできるそうです。GISの発表とかもあるんでしょうかね。

Tuesday, December 09, 2008

高野山の3DCG - えずけん第23回例会

高野山大学の藤吉先生から案内を頂きました。
えずけんは、丹生都比売神社の3DCGを作成したグループです(天野・丹生都比売神社トップ参照)。藤吉先生には「うちのゼミ生を連れて高野山に行きますんで、交流しましょう!」と言ってあるのですが、なかなか実現しません (^_^;;

群書類従

今日の3回生のゼミで『群書類従』のことを聞いたら、誰も知らなかった。悲しいからWikipediaへのリンクをはっておく。
『続々群書類従』はWikipediaにないのね。まあ『続々群書類従』は、上の2つとは成立が違うからなぁ。いずれにせよ、基本文献なんだから、知らないのは恥ずかしいぜ (^_^;;

Saturday, November 22, 2008

これからの情報歴史学系イベント

来月は情報歴史学系のイベントが多数開催される。
今年は、残念ながら、関東開催が多い。私は下の二つで発表します。上の二つにも参加したいけど、別の予定があるんだよなぁ。っつーか、毎年この頃は学会シーズンで、出たいやつにもなかなか出れなかったりする。

Tuesday, November 18, 2008

秋のゼミ旅行@安土

今年の3回生、4回生には、安土城や小谷城をテーマにしたり、3DCGによる復元をやったり、古墳をやりたいという学生がいたりするので、それらが集まっている安土方面へ急遽ゼミ旅行が決定した。相変わらず遅刻者が足を引っ張る中 (^_^;; マイクロバスで花大を出発。

最初に行ったのは、滋賀県最大の前方後円墳だという瓢箪山古墳。

以前に見た写真では木があまり生えていない感じだったが、登ってみると林になっていた。しかも松の木がそこら中で倒れていて、道もふさがっている。前方後円墳というより、双ヶ丘のようだった。

次に観音正寺・観音寺城へ。こういうところに来ると、私はついつい仏教史モードになってしまうのだが、今回は城であることを意識して見ることにした。すると、かなり大きな山城だったのではないか、という印象を持った。


ちょっとはずれたところにある佐々木城跡という大正時代の碑には、落書き(というか落「彫り」)がしてあった。


最後に、滋賀県立安土城考古博物館を見学。お目当ては安土城3DCGのムービーや、小谷城などの復元ジオラマ。今の3回生は、入学間もなくの学科別オリエンテーションでこの博物館に来ており、これらの展示を見ているはずであるが、秋の展覧会用の復元CGとムービーを作る経験を経て成長した彼らの目にはかなりちがって見えたはずである。「これを作るのは半年かかるなぁ」みたいな発言が出てくると、やった甲斐があったってもんである。

Tuesday, October 21, 2008

Sunday, October 19, 2008

史料学・史料編纂における知識論的転回

国立情報学研究所の情報とシステム2008というイベントで、情報歴史学系の講演があるようなので、紹介しておきたい:
  • 横山伊徳(東京大学 史料編纂所 教授 所長)
    「史料学・史料編纂における知識論的転回について —記録史料管理論と歴史知識管理論のはざま—」
  • 柿沼澄男(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)
    「人文・社会科学と情報学の共同研究」
このうち横山先生は、以前配布した『歴博』140号(私の「情報歴史学の教育に挑む」も載っています (^_^;;)にも回顧記事を書いている、日本史学におけるコンピュータ利用の先駆者の一人。
  • 横山伊徳「私のデジタル化戦略 コンピュータで史料編纂所の二〇年を歩む」(『歴博』140号、2007年)
タイトルの「知識論的転回」は、20世紀末の(っていう言い方は語弊があるかな)歴史学における言語論的転回という方法論的な変化をふまえていると思われる。歴史学における言語論的転回については、以下の論文が参考になる。
  • 北條勝貴「言語論的転回と歴史認識/叙述批判—現状の整理と展望—」(『GYRATIVA』1号、2000年)
『GYRATIVA』は花大図書館にある。この論文の概要は以下の通り。
アナール学派をはじめとする〈新しい歴史学〉の潮流以降、歴史学という学問分野の枠組みを相対化し、理論的に激しく動揺させた問題に、主にアメリカを舞台に惹起した〈言語論的転回〉による歴史認識・歴史叙述批判がある。それはポスト・モダニズム的テーゼに触発された素朴実証主義批判で、ダントやホワイトによって歴史の物語性が暴露されたことに端を発し、ラカプラの主導により伝統的歴史学やアナール学派的社会史への激しい攻撃へ成長した。これらのなかで示された議論の大半は、歴史学者の経験主義、自己の分野のみにしか通用しない閉鎖的価値観・基準に基づいており、言語論的転回の根本的批判力には答ええていなかった。この論争を流行に終わらせることなく、歴史学が自らの方法を批判する認識論的基盤を、隣接諸科学の診断基準にも対応しうるものとして確立してゆくことが急務である。

上の概要で名前が出ているダント、ホワイト、ラカプラの本をあげておく:




Monday, October 13, 2008

HCP: Humanities CyberPlatform

林晋先生からご紹介いただきました。「史学・古典学・文学などにおけるデジタル画像の利用スタイルを一新することを目指すプロジェクト」との由。
“人文学とコンピュータ”業界では、必ずしも「実用」を目的としていないツールが(例えば工学系の研究者の発表ネタとして)たくさん開発されては消えていくという現状が(残念ながら)あるわけだが、このHCPは「Hilbert日記研究ではすでに実用ツールとして使用されている」とのことなので、その点では信頼できると思う。解説ムービーがたくさんあるので、ざっと見るだけでも勉強になる。

Tuesday, October 07, 2008

「デジタル情報技術が拓くアーカイブズの可能性」のレポート

情報歴史学研究室: デジタル情報技術が拓くアーカイブズの可能性で紹介したイベントであるが、コメンテータの岡本さんが簡単な報告をして下さっているので、リンクをはっておく。
こういう風に、即座にレポートがあがるのはありがたい。ところで「あくまでノートから起こしたものなので、実際の発言内容とまったく同じではない」とのことだが、
一つのアイデアとして、デジタルアーカイブズを見るもの/読むものとしてではなく、言及・引用するものへと変えることがある。
という部分はちょっと気になった。「見るもの/読むもの」と「言及・引用するもの」との違いがよくわからない。引用されるということは読まれるということなのではないだろうか? 読むということとは別に、言及されるということはあるのだろうか? 後藤先生に今度聞いてみよう。

Friday, October 03, 2008

ひとまず完成

夏休み前から作ってきた秋期企画展用のムービーがひとまず完成。


Sketchupのバグ?というか謎の仕様のおかげで山が入らなかったり画面がちらついたり、プラズマテレビが4:3と聞いていたのに16:9だったので作り直さなければならないかもしれなかったり、完成直後に細かい注文が入ったり、諸々の不満はあるが…


何はともあれ、間に合ったのはよかった。

企画展が始まったら、YouTubeかニコ動にうpする予定。

これまでの苦闘の記録:

Tuesday, September 30, 2008

修羅場

今日は前期卒業式でした。S君、卒業おめでとう!

それはともかく、今週は修羅場である。来週月曜日スタートの歴史博物館の特別展の準備が大詰めだし、それに加えて4回生は来週、卒論中間発表である。疲れてきた。

今日も9時半まで展覧会の準備。途中でS君も合流して、祝卒業の乾杯をしたり、ピザを食べたりしながら、作業を進める。ムービーのレンダリングに時間がかかるので、手を動かす時間より口を動かす時間の方が長くなってきた。

Friday, September 26, 2008

図録用画像3点

しばらく身動きがとれないうちに展覧会の図録の〆切になってしまったので、今日あわてて、これまで皆で作ったオブジェクトを集め、風景っぽいのを作ってみました。

まずは、発掘現場を北西方向に眺めた眺望。向こうに見える山並みは、仁和寺とか龍安寺とかがあるあたり。


母屋(建物1)を南西側から見たらこんな感じ。右側の山は比叡山。カメラの設定がよくわからなくて、地面が切れてしまった(涙)。


建物5と甕据え付け穴があったあたりを西南西から。比叡山は左に寄ってます。影をつけるのを忘れた (^_^;;

Thursday, September 18, 2008

後藤先生大活躍 (2) 正倉院文書データベースと「復原」

後藤先生の論文「正倉院文書データベースと「復原」――情報化によって見えてくるもの」が『アジア遊学』113号に掲載されています。後藤先生が情報歴史学研究室に1冊、寄贈して下さいました。感謝!

正倉院文書データベースの作成を通じて、従来の正倉院文書に対する「常識」が変わる(かもしれない)というのが、副題の「情報化によって見えてくるもの」の意味。もし本当にそうなれば、情報歴史学が成し遂げた独自の大きな成果ということになるでしょうね。

全員読め!

後藤先生大活躍 (1) 「正倉院文書データベース」(SOMODA)の設計思想

後藤先生の講演についてはデジタル情報技術が拓くアーカイブズの可能性で紹介したばかりであるが、また情報が飛んできた。今度は9月24日に東大で開かれる連続セミナーでの講演:
後藤先生は「「正倉院文書データベース」(SOMODA)の設計思想」という題で講演される模様。ひっぱりだこです (^_^;;

Wednesday, September 17, 2008

デジタル情報技術が拓くアーカイブズの可能性

告知が遅くなったが、こんなイベントがあります:
これの2番目に、後藤真先生が「デジタルアーカイブ」と記録資料 —"正倉院文書データベース"と近代史料のデジタル化を通して—」という題で発表するみたいです。会場が学習院大学ということで参加は難しいですが、また後藤先生に土産話を聞かせてもらいましょう (^_^;;

ちなみにコメンテーターはARGの岡本さん。

追記(10/4):今さらながら岡本さんのエントリにリンクを張っておきます。→2008-09-28(Sun): 10月4日(土)、日本アーカイブズ学会へのお誘い@学習院大学 - ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版

Tuesday, September 16, 2008

山を作った。

色は適当。

ますます重い…。メモリ4GBでも重い…。もっと高スペックなマシンが欲しい…。

cf. Google Earthから地形のポリゴンを抽出する方法は、Google Earthの画像から地形を作成(Stampツール) - SketchUp (r)を楽しむを参考にしました。

Friday, September 12, 2008

仮組み

今日は、とりあえず、できたのを並べてみた。

重い。

Tuesday, September 09, 2008

今日の成果

建物1(母屋)に屋根がかかった。影がつくと、ちょっとそれっぽい。

ほかにも展覧会での展示にむけていろいろ準備を進める。

Sunday, September 07, 2008

「隠し撮り」の本当の問題

今回の場合、「隠し撮り」が問題だというよりも - 宮本大人のミヤモメモは、所謂“デジタルアーカイブ”を考えるうえでも示唆に富むエントリである。大阪府の橋下知事が、大阪府立国際児童文学館の「実態」を調査するために、私設秘書にビデオカメラを持たせて隠し撮りをした、という話である。

この話を聞いて、ほぼ毎年ゼミで読んでいる新谷尚紀「映像民俗誌論—『芸北神楽民俗誌』とその制作の現場から」(『民俗学の資料論』、吉川弘文館、1999)を思い出した君は鋭い。



この論文では、ビデオなどによる撮影や編集の恣意性の問題――ひっくり返して言えば、カメラに写ったものはありのままの「事実」であると考えてしまう、カメラの透明性の問題――を様々に論じているものである。この論文では「隠し撮り」はむしろ(倫理的に問題があるにせよ)恣意性を排除する方法のひとつとして論じているが、上の宮本氏のエントリでは、隠し撮りであっても撮影者の恣意姓を排除できないことを指摘しており、新谷氏の論文を補強するものであるだろう。

Sunday, August 03, 2008

オープンキャンパスで作ってました

オープンキャンパスの3日間で、受験生のさらし者になりながら、新校舎の発掘現場の邸宅の復元をしていました。建物1、建物5、貯蔵施設(下の画像)です。いやいや、お疲れ様。

建物はGoogle Sketchupで、甕はShadeで作ってます。

Monday, July 07, 2008

「状況の中で学ぶ」こととデジタルアーカイブ

民俗芸能などの「わざ」をデジタル技術を使って記録したり保存、継承したりしようという試みについては、授業の中で何回か取り上げたことがある。それに関連する記事が『未来心理』vol. 12に掲載されているので、ご紹介。PDFで読めるので、是非読みましょう。 同じ著者、テーマの、次の本もぜひ読んでおきたい。

Thursday, July 03, 2008

ワークショップ: 文字 ―(新)常用漢字を問う―

情報歴史学からはちょっと離れますが、下記のような文字に関するイベントを開催します。
上には「ちょっと離れます」と書きましたが、文字の問題は文献をデジタル化する場合に、非常に大きな問題となります。最近はだいぶ沈静化しましたが、一時は日本史学者、国文学者、中国学者、仏教学者などが、情報系の人たちと、文字と文字コードをめぐって侃々諤々の議論をしたものです。ちなみに私(師)の商業誌デビューは、「仏典のデジタル化の現状」(『月刊ASCII』Vol22, #11、1998年11月号)という記事だったりします。メジャーなパソコン誌に漢字仏典の記事が載る程、文字の問題はホットな話題だったということです。ああ、なつかしい。

ということで?興味のある方はぜひどうぞ。

Thursday, June 19, 2008

考古学研究室との合同研究会

6月17日に開催した今年度1回目の情報歴史学研究会は、考古学研究室との合同開催でした。

なんで合同で研究会をやったかというと、花園大学歴史博物館の秋の特別?展で、新校舎建設にともなう発掘(花園大学 発掘日誌参照)の成果をお披露目することが決定しているのですが、その展示の一部を我々情報歴史学コースで担当することになったからです。情報歴史学研究室: 発掘現場3DCG(改訂版)をお披露目みたいな3DCGによる復元や、それをつかったムービーなどを作成する予定なのですが、それに先立って今回の発掘について勉強しておこうということで考古学研究室で実際に発掘に携わった学生さんからレクチャーを受けた次第です。

いろいろ大変だとは思いますが、すごく勉強になる(考古学の勉強、展示の勉強、コンピュータに詳しくないクライアント (^_^;; とのコミュニケーションなどなど)ので、多くの学生に参加してもらいたいですね。

参照:情報歴史学研究室: アートの大切さ

Wednesday, June 18, 2008

ゼミ遠足 in 神戸

6月10日、神戸に遠足に行きました。4回生の準備がちょっとgdgdだったせいもあり、散漫な感じもしましたが、それなりに楽しめました。

個人的には異人館のあり方が、文化財の保存などについていろいろ考えさせられましたね。

Friday, May 30, 2008

国立国会図書館・関西館ツアー

5月27日(火)、情報歴史学コース2〜4回生有志と図書館司書課程の学生数名とで、国立国会図書館・関西館の見学に行った。国会図書館の電子図書館課、総務課の方々には大変おせわになりました。ありがとうございます。

ところで、学生諸君。(特に3回生には)ちゃんと質問できるように予習しておけよって言ったのに、全然できなかった(できた者もいたけど)のは猛省して欲しい。質問力、なんて言葉を使うと斎藤孝先生みたいだけど、ほんと、ああいう時に質問できないのは恥ずかしいよ。精進せよ。

Wednesday, April 23, 2008

情報歴史学コース全体オリエンテーション2008

昨日(4月22日)、毎年恒例の情報歴史学コース全体オリエンテーションを行いました。2〜4回生がほぼ全員集まって顔合わせ、注意事項確認、ゼミ旅行の相談などなど。その後、学内で懇親会、続けて学外(円町の居酒屋)で飲み会。下の写真は居酒屋にて撮影:

ということで、皆さん仲良くやっていきましょう。

Monday, March 24, 2008

歴史資料や文化遺産をデジタル化する意義とは?

詳しく書いている暇がないのだが(涙)、とりあえず忘れないうちに:
カレントアウェアネスはRSSリーダに登録しておきたいサイト。

Monday, March 17, 2008

2007年度学位記授与式

今日は卒業式でした。おめでとう!
ちょっと前に開かれた卒業判定の会議(そこで、皆の卒業が決まるのだよ)で、この3人のうちの1人の成績の順位が「1」と書いてあったので、もしかして情報歴史学コース初の史学科総代か?と思ったけど、勘違い、というか算出方法が違う順位だったようです (^_^;; まあ、順位が何番であれ、これから社会に出て、大学4年間で学んだことを活かすことができたと思う瞬間があれば、教員としてはこの上なくうれしいことです。

# ビンタもらいにいけなくてごめんね>つっちー

Saturday, March 08, 2008

東洋学へのコンピュータ利用 第19回研究セミナー

東洋学へのコンピュータ利用 第19回研究セミナーの案内が出ました。「19回」という回数からもわかるように、パソコンやインターネットが普及する前から続いている老舗イベントのひとつです。私も発表しますので(中国文学関係だけど)、皆さんもぜひご参加を。

東洋学へのコンピュータ利用 第19回研究セミナー

  • とき: 2008年3月21日(金)10:00〜17:20
  • ところ: 京都大学人文科学研究所本館(新館)1Fガラス張りセミナー室
  • 主催: 京都大学21世紀COE「東アジア世界の人文情報学研究教育拠点」
    京都大学人文科学研究所附属漢字情報研究センター
  • 問い合わせ: diccs@kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp
プログラム
  • 10:00〜10:10 開会挨拶
  • 10:10〜10:50 神と神、榊と榊 —常用漢字表拡大のインパクト—
    安岡孝一(京都大学)
  • 10:50〜11:30 文字研究とデジタルアーカイブの現状と課題 —HNGによる白氏文集の研究—
    當山日出夫(立命館大学)
  • 11:30〜12:10 中国古典戯曲文献の韻律の数理的分析に向けて
    師茂樹(花園大学)・千田大介(慶應義塾大学)・二階堂善弘(関西大学)・山下一夫(神田外語大学)・川浩二(早稲田大学)
  • 13:30〜14:10 春秋日食再考 —日出帯食と日入帯食について—
    山本一登(京都大学)・谷川清隆(国立天文台)・相馬充(国立天文台)
  • 14:10〜14:50 Improving Findability: Faceted Search with Lucene, Solr and VUFind
    Christian Wittern(京都大学)
  • 14:50〜15:30 甲骨文字処理にまつわるエトセトラ
    守岡知彦(京都大学)
  • 15:50〜16:30 人文科学のためのデジタルアーカイブにおけるコンテンツのサイクル
    永崎研宣(山口県立大学)
  • 16:30〜17:10 漢字字形管理環境GlyphWiki(グリフウィキ)
    上地宏一(二松学舎大学)
  • 17:10〜17:20 閉会挨拶
次の日の「キャラクター・身体・コミュニティ〜第2回人文情報学シンポジウム」とハシゴするのも、また麗しいのではないかと (^_^;;

Tuesday, March 04, 2008

方法としてのGIS

GISが暗黙知を明示する: やまもも書斎記に書かれていることは、まさに情報歴史学の大きなテーマのひとつ。當山先生曰く:
GISは、従来の学知の暗黙の部分を暴露する、極限すれば、このようにいえるだろうか。
この指摘は、私が『歴博』に書いた「情報歴史学の教育に挑む」の次の部分と通じるところがあるように思う。
筆者の考える情報歴史学は、まず第一には、歴史学のある研究分野の方法論や伝統について分析し、それをコンピュータを使って記述する(≒データベースを作成する)という学問である。それは、対象となった研究分野の研究者から見ればツールが提供されたように見えるだろう。しかし、データベースとして表現された方法論や伝統が暗黙のものであった場合、それが視覚化されることによって新たな議論、すなわち方法論的な反省が発生する契機となる場合もあろう。それを ふまえて第二には、従来の研究方法を相対化できるような新しい方法を模索し、それによって歴史学の研究を行うことである。以上のことから、筆者は、情報歴史学は補助学ではないと考えている。
やまもも書斎記は、情報歴史学コースの学生にとって、RSSリーダー等で常時チェックすべきブログ。

Sunday, March 02, 2008

キャラクター・身体・コミュニティ 〜 第2回人文情報学シンポジウム

以前、『人文情報学シンポジウム報告書』をゼミで配布しましたが(読んだ?)、その続編に当たる下記のイベントを開催します。ぜひ参加して下さい。

キャラクター・身体・コミュニティ 〜 第2回人文情報学シンポジウム

  • 日時:2008年3月22日(土)9:25〜18:00頃
  • 場所:京都市国際交流協会・第2会議室(地下鉄東西線・蹴上駅 徒歩6分)
  • プログラム(予定)
    • 守岡知彦「キャラクターの憂鬱」
    • 白須裕之「歴史記述における情報概念について」(仮題)
    • 小形克宏「「正字」における束縛の諸相」
    • 師茂樹「暴流の中で: 一般キャラクター論から見たキャラ/キャラクター論」
    • 石田美紀「声とキャラクター: 音響と視覚における融合と乖離」(仮題)
    • パネルディスカッション
      • パネリスト: 石田美紀/伊藤剛/小形克宏/白須裕之/守岡知彦
      • 司会: 師茂樹

情報歴史学的に特に重要なのは、白須さんの「歴史記述における情報概念について」でしょうか。歴史学者がやりとりしている「情報」とはどういうものなのかについての発表。

私も発表しますが、ちょっと歴史学からは離れてしまいます。元々、文字処理研究を進めていたらマンガのキャラクター論にたどりついた、という経緯だったりするんですが。課題図書はこちら:

情報歴史学とか関係なしに、ぜひ読んで欲しい一冊。

Saturday, February 23, 2008

発掘現場3DCG(改訂版)をお披露目

花園大学 発掘日誌: 現地説明会にも記事がありますが、今日、平安京二条三坊八町の発掘調査の現地説明会がありました。自適館300教室がいっぱいになるくらいの人が見に来ましたが、残念ながら花園大学の学生は数人って感じでしたね。情報歴史学コースの学生は残念ながら1名も来ませんでしたが(涙)、来年度から情報歴史学コースに来る予定の1回生が1名(たぶん)来てくれてました。

今回、現地説明会にあわせて、突貫工事で(一週間で!)復元CGを作り、ほんの数分ですが説明会でお披露目しました。作成期間が短かったこともあり結構いいかげんなところがたくさんあるのですが(どこがいいかげんなのか当ててみよう)、評判は上々だったようです。

今回は現地説明会用ということで、Google Sketchup 6だけを使ったざくっとした復元でした。このソフトは、こういう用途には本当に便利。しかしこれからは、高橋先生とかとも話し合って、方向性などをきちんと決めてからちゃんとしたCGを作りたいですね。その際、情報歴史学研究室: 発掘現場の写真撮影での写真を使った地形の復元も必要になってくるでしょう(と言うか、そのために写真を撮ったんだけど)。

学内で発掘をして、それを学内でCG化できる(しかもスタッフはほとんど教員と学生)ってのは、けっこう珍しい例だと思います。

Wednesday, February 13, 2008

第2回 文化遺産のデジタルドキュメンテーションと利活用に関するワークショップ

情報歴史学研究室: 【イベント】第1回 文化遺産のデジタルドキュメンテーションと利活用に関するワークショップで紹介したイベントの第2回目です。今度は奈良で、3月8〜9日の2日間。
私は残念ながら、9日には別件(やはり奈良で発表)があるので参加は無理なんですが、8日には都合をつけていきたいなぁ。

写真測量やデジタル高槻城など、ゼミでやったことや卒論のテーマに関係する発表もあるようですね。皆さん、都合が付くならぜひ参加しましょう。

Wednesday, February 06, 2008

口頭試問終了(2007年度)

2月6日、情報歴史学ゼミ生の卒論口頭試問が終わった(他のゼミはまだ終わってないが)。以下、簡単に講評。

川端康司「歌川広重『名所江戸百景』における色が鑑賞者に与える影響」

SD法を使ったアンケートによって、広重の作品における赤色がどのような影響を鑑賞者に与えているのかを研究した論文。先行研究をよく調べ、着実にやってきた点は評価したい。

この論文の問題点をあげれば、現代人の感性についての研究なのか、美術史的な研究なのかについて、きちんと区別されていないという点であろう。前者であれば広重の作品を使う理由を美術史の先行研究だけで言うことはできないが、この論文では美術史関係の先行研究の整理が中心である。逆に、美術史的な(歴史的な)研究であれば、アンケートをベースにした方法は意味がない。

副査の福島先生が言って下さったように、自身の「感性」を無批判に作品分析に適用してしまう美術史の研究者が実際におり、その人たちの態度を「勉強」してしまったのかもしれない。

土屋美穂「キトラ古墳の三次元復元と公開・利用に関する研究」

当初、3DCGを作成することを目標にしていたのだが、間に合わなかったのが残念。これから作るとのことなので、ぜひ卒業までに完成させて欲しい。

内容的なことを言うと、先行研究の調査については副査の高橋先生(昨年まで奈良文化財研究所にいて、今もキトラの調査に関わっている)からお褒めを頂く程なので、よくがんばったと思う。もっとも、本論文においては復元と保存がごっちゃになっており、復元に関する先行研究(情報の欠如部分を埋めるための周辺情報など)が少ないのが残念。このような混同は、実際に3DCG作成を始めていれば自ずと気づき、解消される部分であると思うので、繰り返しになるがCGの開発に入れなかったのが惜しまれる。

文字利光「丹波国分寺のCG復元とその問題」

こちらも上の土屋論文同様、CGを作れなかったこと、そのために復元と保存を混同するミスを犯していることが問題点として指摘できる。

加えてこの論文では、作成したCGを学校教育や博物館展示などで利用する場合を想定した議論を行っているのであるが、その中で「博物館には人が来ないとはじまらない」→「そのためには楽しさ、エンターテインメントの要素が必要」という議論を展開している。このような提言は、特にかつて「マルチメディア」が流行した頃、博物館情報学や教育工学などにおいてさかんに言われたことであるのだが、真に受けない方がよいのではないか、少なくとももう少し批判的に検討すべきだったのではないか、と思われる。

山本拓矢「GPS活用による姫街道研究」

GPSを手に、実際に姫街道を踏破した努力は買いたい(ケモノ道のようなところまで分け入ったとのこと)。ただ、そうして作ったデータが、実際の姫街道研究にほとんど活かされていないのは残念(山本さん曰く、GPSのデータよりも、データを取りに現場に行ったことでわかったことの方が大きかった、との由)。

先行研究の整理の部分については難点が多い。姫街道関連の先行研究をまとめる作業は割に早めに終わっていたのに、周辺分野の先行研究の調査がほとんどなされていなかったり、また先行研究から問題の所在を導くのも、時代が異なるものを一緒くたにして論じているところがあるなど、適切ではない部分も見受けられる。