Sunday, June 25, 2006

博物館情報学の構築

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独立行政法人国立博物館 東京国立博物館  公開研究会
「博物館情報学の構築」

日時:2006年7月19日(水) 13:30-17:00
会場:東京国立博物館 平成館大講堂
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 東京国立博物館では平成16年度に「博物館情報処理に関する調査研究プロジェクトチーム」を設置し、関連の研究者や企業のご支援をいただきながら、情報の処理と活用について博物館が当面する課題の調査研究に取り組んできました。本年度からは、重点的な研究課題として「博物館情報学の構築」を掲げ、一層の拡充を図ってまいります。今回、当館および協力いただいた研究者・企業の研究成果を公開し、この課題の重要性についてご理解をいただくとともに、各方面 のご意見を賜りたく存じます。多くの方のご参加をお待ちいたします。

プログラム
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13:00 受付開始
13:30 開会あいさつ

13:40 「『ミュージアム資料情報構造化モデル』に基づくRDFを用いた情報共有」 
○村田良二(東京国立博物館情報課)

14:20 「『ミュージアム資料情報構造化モデル』を利用した収蔵品管理ASPシステムの試作と試行」
○三嶋章浩(凸版印刷株式会社 総合研究所)

15:10 休憩

15:30 「文化遺産オンラインにおける作品情報収集システムの構築と東京国立博物館との連携実験について」
○丸川雄三(国立情報学研究所 連想情報学研究開発センター)

16:10 「文化財デジタルアーカイブの活用に向けて − CEAX プロジェクトの取り組み −」
○相原健郎(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系)

16:50 閉会あいさつ


参加お申し込み
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電子メールで、joho0719@cr.tnm.jp(半角英数字)あて、次の項目をお知らせください。
(1)ご氏名(ふりがな)
(2)ご連絡先(メールアドレスまたは昼間連絡可能な電話番号) 
※ご所属(勤務先、在学校など)を併記いただけると幸いです。


お問い合わせ先
--------------
110-8712 東京都台東区上野公園13-9 東京国立博物館 情報課情報管理室
電話:03-3822-1111 内線407 
電子メール:joho0719@cr.tnm.jp(半角英数字)

PDFファイルは 
http://www.tnm.jp/jp/misc/docs/20060719joho_kenkyukai.pdf
 
をご利用ください。

以上

Wednesday, June 14, 2006

公開講座「国際化時代のデータベースとコンプライアンス」

関東でやるイベントだけど、私が関わっていることもあるし、このイベントは以前花大でもやったことがあるので、ここに掲載しておきます。

漢字文献情報処理研究会
2006年度夏期公開講座

 「国際化時代のデータベースとコンプライアンス」

日時:7月22日(土)14:00〜17:00
場所:慶應義塾大学・日吉キャンパス・来往舎中会議室
講師:石岡克俊(慶應義塾大学・産業研究所)

入場無料(ただし非会員は会場費・資料代として500円を申し受けます)
要申し込み
 ※詳細・申し込みフォーム:http://www.jaet.gr.jp/meeting.html#2006k

講座終了後、懇親会を開催します。(要申し込み)
 時間 18:00〜
 会費 5,000円(学生4,000円)

インターネットなどのおかげで、データベースやデジタルアーカイブの構築や公開が国境を越えて行われるようになりました。その一方、著作権や契約などの問題はまだまだ国境を越えない面もあります。国によって著作権の考え方が違う場合にはどう考えればいいのか?など、様々な問題を議論したいと思っています。

非会員の質問も受け付けているので、是非どうぞ(質問だけしたいという人は、何らかの方法で私に連絡して下さいな)。

Sunday, May 21, 2006

メタ文献学としてのTEI (2)

情報歴史学研究室: メタ文献学としてのTEI (1)の続き。

土屋先生の問題提起は非常に重要だと思うが、歴史的な(文献学外の)問題や、日本語の問題にのみ還元するのは無理があるように思う。特に、「日本語の文書は「構造化」されていない」から、という理由付けは、 日本文学以外にも日本人がやっている文献学はたくさんあるわけで、理由になっていないのではないだろうか。

とは言え、本質的な問題はどこにあるのだ?お前は答えられるのか?と問われると、非常に難しい。

ぱっと思いつくところでは、辞書(字書、事典など)の位置づけに関係しているのではないかという気がしている。(門外漢であることを棚に上げて言うと)欧米の文献学においては、長大な時間をかけて辞書を作るという伝統がある。日本では、いくつか大きな辞書、辞典はあるが、何世代にもわたって作り続けられるというものはない。

辞書作りというのは、単語などの文献や文脈を超えた共通性を見いだす作業である。TEIにおけるマークアップというのは、(乱暴に言えば)文献を超えた共通の文書構造を見いだし、文書中の単語に文脈を超えてIDをふるという行為だと言えるが、これは辞書作りに似ていると思われる。私は以前、「Unicodeのcharacter概念について」という論文の中で、ドレイファス氏が批判した、「道徳的、知的、実際的な不明確さを取り除く」ことを目標とした結果、世界は離散的要素に分析可能であるとの結論に至る「西洋文化に埋め込まれた哲学的伝統」や、デリダ師が批判した西洋哲学の音声中心主義=ロゴス中心主義と関連させて、辞書の「形而上学」について論じたことがあるが、TEIも同じように「西洋文化に埋め込まれた哲学的伝統」の延長線上に位置づけることができるだろう。

一方、日本の文献学における辞書の位置づけはどうだろうか。諸橋大漢和など、日本にも世界に誇る辞書はあるが、辞書や辞書作りはあまり重視されていないように思われる。このあたりが、TEIの活動への不理解へとつながっているような印象もある。

(続く...)

Friday, May 19, 2006

メタ文献学としてのTEI (1)

国際セミナー TEI Day in Kyoto 2006に参加した。お目当ては、土屋俊先生のTEIはなぜ日本で知られなかった、知られていないか、知られるようになるかである。

TEIは情報歴史学研究室: TEI Day in Kyoto 2006に書いた通り、「人文系で研究対象となるような文書ならどんなものでもマークアップできてしまうような、巨大なタグセットを開発している」わけだが、それが欧米圏で始まったものの、日本では受け入れられないのはなぜか。もちろん、いろいろ歴史的、政治的なむにゃむにゃがあったりするのは世の常だろうが、想像をたくましくすれば、そこにはもしかして「文献」「テキスト」というものの捉え方が、あちらとこちらで根本的に異なるからではないか?という問い方も可能であろう(そっちの方が、研究対象としては面白い)。土屋先生の発表はまさに、そのような問題意識を狙い撃ちしているものと期待されるのだ。

ということで実際の発表であるが、土屋先生のスライドを記憶とメモをたよりに、出来る限り再現してみよう(つっこみ歓迎)。ただし「#」とか「→」とかは、先生のコメント(だと記憶しているもの)。


反省
  • 1988の会議へ京都大学の中村順一氏(故人)が参加
  • P2、P3作成へ土屋氏参加(1994年P3公表)
    • ここまでのキーパーソンは長尾真先生
      →人文系じゃない、自然言語処理研究な人が日本では中心
  • P3の国内配布
  • Susan Hockey 来日
  • Sperberg-McQueen氏、Lou Burnard氏 来日
    →周知につとめたけどいまいち。1997年ごろまで。
  • 特定領域研究「人文科学とコンピュータ」(1995-1999)に乗らず。
    # ロビー活動はしたがとりあげられず。90年代後半を「棒に振った」。


論点(1)
  • プレインテキスト至上主義
    • 80年代になって日本語入力が容易になったため、さらにタグをつけるということについての抵抗がつよい?
      # 日本のLaTeXの普及も遅い(1997〜)のも原因?
    • 文字コードに関する議論がやかましく構造化の話までいかなかった?
    • ウェブの普及の遅れにより、タグの有益さの認識ができていなかった?


論点(2)
  • いや、問題はもっと本質的だ。日本語の文書は「構造化」されていない!(人文系の意見?)
    • 連綿と書き継ぐスタイルは構造化になじまない
      # 信仰?
    • 日本語文書は「様式」のような構造化が一般的である様式は二次元の配置によるものであって階層構造の存在を想定する構造化文書に考え方はなじまない
      • 現実にHTMLよりPDFが好まれる
    • (いや、返り点、ふりがななど注記によってテキストを可読化する伝統はむしろ日本的である)。
      # 脚注より高級な構造化じゃないか?


論点 (3)
# 計算機屋さん、技術者の発想。
  • 日本のカルチャーとして、ウェブというものは文書を提供するものではない。インタラクティブなコミュニケーションこそが本質。
    • そういう文化の中で、文書構造の標準化は「後ろ向き」。
    • XMLもデータベースの記述方式、画像などを扱うための方法に関心。
    • メタデータに関する関心も低い。


将来は?
  • 楽観論
    • このままやっていけばいずれみんなタグをつけるようになる。
      # ウィキペディアなんかも普及してるし、構造化文書のよさにきっと気づくよ。
    • そのときに存在する標準を使えばよいじゃない。
  • 悲観論
    • 構造化文書嫌いは日本人にとって本質的。
    • 標準化は構築のための作業が重要であり、後から勉強して使うのでは無理である。

Sunday, May 14, 2006

Il Codice Atlantico virtuale

Il Codice Atlantico virtualeとは、レオナルド=ダ=ヴィンチの所謂『アトランティコ手稿』をマルチメディアで再構成したもの(ヴァーチャル『アトランティコ手稿』)。書籍+CD-ROMで販売されているほか、東京で展示したりしている(書籍版については購入してみたい。展示も観てみたかったなぁ〔ソニービルの告知〕。今年のゼミ合宿はいよいよ東京か? (^_^;;)。

ダヴィンチが描いた設計図などを綿密な考証の上3D画像化したり、複数のページにバラバラに書かれている記述をリンクさせたりしているらしい。テキスト検索などができるのかどうかは不明(どこかに書いてあるかもしれないけど)だが、もしその辺も充実しているとしたら、古典文献のデジタル化の一つの到達点を示している可能性もあり、興味深いところだ。

ちなみにこのプロジェクトでは、EDUTAINMENT (EDUcation 教育 + EnterTAINMENT エンターテインメント) を目指しているそうである。つまり、マルチメディアやインタラクティブなインターフェースなどを駆使すれば、教育効果は高まり人々が自主的に学習することを促進することができる、言い換えれば、コンピュータを使えば(従来苦痛でしかなかった)勉強が楽しくなるのだ!という主張のことである。エデュテインメントで検索してみればわかるが、けっこう盛んに研究・開発され、実践されている(それ以外にも、「教育工学」などのキーワードで検索してみよう)。一方で、『コンピュータが子供たちをダメにする』のように、この手の主張を真っ向から否定する論者も(多くはないが)いる。

現在、情報歴史学コースの3回生ゼミでは、高度な歴史学的な知識に裏打ちされた(かどうかはわからないが (^_^;; 少なくともそれを目指した)3Dコンテンツなどを学部学生や一般向けに作ることで様々な効果が期待できる、というプレゼンをする学生が何人かいる。それはそれでOKなのだが、上に挙げたような議論があることを一度深く考えてみる必要はあるだろう。博物館学などにおける同様の議論も参考になるはずだ。

Wednesday, May 03, 2006

TEI Day in Kyoto 2006

来る5月17日に、京大の時計台で国際セミナー TEI Day in Kyoto 2006が開催される。いやー、イベント目白押しすぎ (^_^;;

TEI (Text Encoding Initiative) とは、歴史書をはじめ、文学作品、哲学書などを SGML / XML でマークアップするためのガイドラインである。電子化された史資料をマークアップをすることでどんなメリットがあるかについては、授業でやってるはずだと思うのでここではパスするが、TEIはそれをさらに押し進め、例えば本のタイトルページだったら、
<titlepage>...</titlepage>
というタグで統一してしまったほうがいいんじゃないか、統一しようぜ、という発想のもと、人文系で研究対象となるような文書ならどんなものでもマークアップできてしまうような、巨大なタグセットを開発している。

TEIを使ったテキストデータベースは、Projects using the TEIで探すことができる。日本がらみだと、ヴァージニア大学のJapanese Text Initiativeとかかな。これは文学系だけど、歴史系もたくさんある。

しかし、日本のプロジェクトにおいて、TEIが採用された例は乏しい。というか、ほとんど普及していない。今回のイベントで、土屋俊先生(千葉大学)の「TEIはなぜ日本で知られなかった、知られていないか、知られるようになるか」という講演があるけど、その意味でも大変興味深い。

ちなみに昔々、TEIのLou Burnard老師と台湾でお話をしたことがあるが、そのときずいぶんアグレッシブに「日本でも使ってくれ!」みたいなことを言われたので、こちらも勢いで「TEIのガイドラインを和訳しますよ!」みたいなことを答えたことがある(結局、全然やっていない (^_^;;)。老師はすでに、そんなことは忘れていると思う(思いたい)が、私の中では消えない過去の悔恨のひとつである。

ともあれ、TEI本家のイベントが日本で、しかも京都で開催されるというのは滅多にないこと(というか、今回初めて)なので、情報歴史学コースの諸君はぜひとも足を運んでほしい。

Monday, May 01, 2006

Wikipediaは信頼できるか?という問いかけ

歴史学を含む人文諸学に関するオンラインリソース集成として有名なアリアドネが、「ご自分の専門分野の記述に関して、ウィキペディア日本語版をどう評価されますか?」というアンケートをしている。ネットのあちこちで行われた同種のアンケートを受けてのものだ。

ウィキペディア日本語版は言うまでもなく、インターネット上の有志がよってたかって作ってしまったオンライン百科事典である。学生諸君の中には、レポートを書く際にお世話になったという者も少なくないだろう。他のアンケートでは肯定的な評価が目立つが、アリアドネでのアンケート結果を見ると、はっきり言ってぼろくそな評価が多い。アリアドネは、その性格上、人文学の研究者が偏って集まるところだろうから、ウィキペディアの人文系のエントリはだめだめということなのだろうか?

ウィキペディアは、情報歴史学研究室: 広告を試してみるで少し触れた Web 2.0 の代表選手のひとつ。ウィキペディアが Web 2.0 という名で喧伝され、高く評価されているのと、アリアドネでの低い評価は、非常に興味深い対照をなしている。そしてこのコントラストは、誰のために、何のためにデータベースや3D画像を作り、公開するのか?という情報歴史学のスタート地点を考える上で、とても多くの示唆を与えてくれる。

何が問題なのか、どうしてこのような正反対の評価になるのか等々については、ゼミの中で議論したいと思うので、考えておいてね。

情報知識学会 第14回(2006年度)年次大会

情報知識学会第14回(2006年度)年次大会(研究報告会&総会)ご案内 にあるように、今年は初の関西(近畿大学)で開催するとのこと。ガッデム!情報歴史学研究室: 情報処理学会 第70回人文科学とコンピュータ研究会発表会と日程がかぶってるじゃないか (^_^;;

直接歴史に関わるものは少ないが、
  • 相良佳弘(聖徳大学). 問題解決を目的とした情報探索行動の特徴.
  • 堀幸雄(香川大学)ほか. ユーザの検索要求に基づいた興味関心の定量的評価法.
  • 斎藤伸雄(凸版印刷). ミュージアム資料情報構造化モデル応用の検討.
あたりは、気になるところであろう。特に、データベースによる検索サービスを作りたい人にとっては、2番目の発表なんかは是非聞いておきたいところ。

Tuesday, April 25, 2006

情報処理学会 第70回人文科学とコンピュータ研究会発表会

第70回人文科学とコンピュータ研究会発表会が、大阪市立大学で開催される。情報歴史学を含む人文科学におけるコンピュータ利用に関しては、日本で最も大きく、また年4回定期的に開催されている、中心的な会である。

年に1度、必ず関西で開催されることになっており、今年は上に書いた通り大阪市大である(ちなみに昨年は花園大)。会の幹事および会場の担当者が、なにげに情報歴史学コースの担当教員だったりする。というわけで、情報歴史学コースの諸君は、万難を排して聞きに行くように。

プログラム等はリンク先で確認してほしいが、歴史系以外でも非常に有益な発表があるので、なるべくたくさん聞いてほしい。なお、予稿集(発表者が書いた論文集)については、当日1,500円(だと思う)が必要である。いずれ図書館に入るけど、当日手元にないと辛いかもしれない。

Friday, April 21, 2006

情報歴史学研究会 前期の予定

情報歴史学研究会は、夏休みまで、以下の予定で開催します。会員の方は、よろしくご参集ください。
  • 4月24日
  • 5月8日
  • 5月15日
  • 5月29日
  • 6月12日
  • 6月26日
  • 7月10日
時間はいずれも18時から。場所はいつもの返照館302教室です。

今年度、やりたいネタとしてあがっているのは、
  • Flashを使ったマルチメディアコンテンツの作成(奈良の民話関連)
  • GPS(全地球測位システム)を使った、京都の街を歩きながら歴史情報をリアルタイムで得られるようなシステムの開発
  • 研究発表会(持ち回り)
  • 遠足(去年はみんぱくに行って、企画展を担当された方にお話をうかがったり、収蔵庫を見せていただいたりしました)
  • その他おもしろうそうなこと
あたりです。他にも何かアイデアがあればお知らせください。欲張っても仕方がないので、いずれにせよ、どれかを選ばないといけないんだけど。

Saturday, April 08, 2006

子ども文化教室

文化庁が子ども文化教室なるコンテンツを公開している。小中学生向けに、日本の文化財への興味を持たせ、文化財行政について、ゲーム感覚で理解してもらおうというコンテンツである。e国宝みたいに、「良質」な文化財をデジタル化し公開するのが従来のデジタル・アーカイブの方向性だったとすれば、これからはそれに加えて、このようなユーザとの接触を意識したコンテンツも増えてくるだろうし、研究されなければならない課題ではないだろうか(アートの大切さを再び参照)。

ところで、同じようなコンテンツとして、国税庁の税の学習コーナーがあるが、これと上の子ども文化教室とでは、コンテンツの作り方でいくつか異なる点がある。実は、税の学習コーナーを制作した会社の社長さんに、このあたりの話を聞いたことがある。それが何なのか、ゼミのネタにしようと思う。ゼミの皆さんは考えておいてね。

Wednesday, April 05, 2006

近代デジタルライブラリーが倍増

国立国会図書館の近代デジタルライブラリーがなんと倍増したそうである。ニュースリリースによると、
新たに約5万タイトル(約6万7000冊)の明治期刊行図書を追加公開しました。今回の追加公開により近代デジタルライブラリーの公開総数は、約89,000タイトル(約127,000冊)となります。
とのこと。世界的に見ると、日本のこの手の事業は遅れているのだが、最近ようやくこういった大きな学術コンテンツが国家事業として発信されるようになってきた。喜ばしいことである、と同時に、国会図書館がこのようなコンテンツを発信することの意味などが気になってくる今日この頃である。

日経サイエンス

情報歴史学関連の最新の研究や先行研究を探す場合、人文科学とコンピュータ研究会の『情報処理学会研究報告』や『情報知識学会誌』などがまず思い浮かぶが、これらの雑誌を一般書店で目にすることなどなく、大学図書館などでないと閲覧することができない(両方とも花大の図書館にあり)。

意外に知られていないが、大きな書店だったら必ず売っている『日経サイエンス』という一般誌には、ちょこちょこ情報歴史学関係の記事が載る。例えば、最近だと、「バーチャル考古学 シミュレーションで迫る古代社会」(2006年1月号)とか、「ジョージ・ワシントンを復元する」(2006年5月号)などがそうである(それ以外にも、コンピュータとは関係ない考古学系の記事とかがちょこちょこ載る)。どちらも論文ではなくて一般向けの紹介記事なので読みやすい。花大図書館でも気軽に読めるようになっているので、毎月チェックしてみよう。

Saturday, March 18, 2006

2005年度学位記授与式

先日3月17日は花園大学では毎年恒例の卒業式の日。そして我らが情報歴史学コースの初めての卒業生10名を送り出す記念すべき日である。

真人館メインアリーナでの式典の後、私からゼミ生一人一人に学位記を手渡し、握手。その後、別件で祝福すべき学生がいたので、ゼミ有志からのプレゼント。いろいろあったが、皆、本当におめでとう。

しばらくしてから研究室に集合して、ささやかな酒宴。部外者 (^_^;; や佐藤先生も合流してにぎやかに。途中、写真撮影会に突入した際、通りかかった史学科の福島先生、松田先生、吉田先生(今年3月で御退職)にも参加していただいてパチリ。史学科の先生方には、卒論の副査などで様々なご指導を頂いた。特に福島先生には、情報歴史学コースのスタートから現在に至るまで、様々なご支援をいただいた。心から感謝申し上げます。

ゼミ生の何人かが、卒業してからもゼミのメーリングリストには籍をおきたいと言ってくれたのは、うれしい限り。今後は、このブログも含めたゆるやかなネットワークの中で、たまに顔を出してくれたり、アドバイスをしてくれたりしたら、望外の幸せである。

Monday, March 13, 2006

広告を試してみる

このブログに2カ所、広告を貼ってみた。Google AdSense と Amazon のアソシエイト・プログラムである。

別にこれで儲けようと思っているわけではない(儲かるとも思っていないし (^_^;;)。でも、多少は儲かる可能性もあるので、その時は何か奢ってあげよう。

それはともかく、なぜこれをやるかというと、今話題の Web 2.0 とやらについて、ちょいと参与観察でもしてみようかな、てなところである。Web 2.0 って何?と言われても、これを書いている時点では、実はまだはっきりとしたことはわからない。主張している人もわからないって言ってるんだから仕方がない。でも、これからのデジタルアーカイブやら学術データベースやらの開発にも大いに関係してきそうだということは間違いない(少なくとも、これからしばらくはWeb 2.0ということを売りにしたデジタルアーカイブなどの研究発表が増えそうな予感はする (^_^;;)。

ではなぜ Google Adsense が Web 2.0 なのかについては、Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデルという論文を読むべし。『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』も、売れてる本なのでチェックしておくと良いだろう。

Friday, March 10, 2006

Origamiは使えるかな?

MicrosoftがOrigamiと呼ばれる小型PCを発表した。


情報歴史学研究会で花園大学歴史博物館の閲覧支援システムを開発した際、ごく最初の議論で端末を何にするか?というのが議論になった。最終的に、QRコード+携帯電話のWWW機能という組み合わせに落ち着いたのだが、携帯電話の画面の小ささ、パケ代の利用者負担などの問題が解決できず、専用の小さな端末でやりたかったという気持ちが捨てきれていない。でも、なかなか要求に沿うものがないのも事実。

Origamiの仕様を見ると、

  • 7型以下のタッチパネル内蔵液晶(解像度800×480ドット以上)
  • 無線LAN
  • Bluetooth
  • 重さが2ポンド(約900g)以下

とのことであり、製品によっては、

  • GPS
  • Webカメラ
  • CF/SDスロット

なども搭載されるとのことである。これらの機能は、博物館閲覧支援用の端末としても良さそうだし、これからやろうと思っているGPSを使ったプロジェクトにも使えそうだ。また、Windows系ということで、開発環境が整っているであろうことも魅力である。ちょっと期待して、実物を手に取れる日を待っていよう。

Friday, March 03, 2006

聖武天皇、仏教帰依のきっかけは大地震か 岡山大調査

asahi.comより:聖武天皇、仏教帰依のきっかけは大地震か 岡山大調査
国分寺や東大寺大仏の建立を命じたことで知られる聖武天皇(701〜756)が平城京と難波宮間を行幸した直後にその一帯で阪神・淡路大震災級の大地震が起きたとみられることが歴史学者と地震学者の共同研究で明らかになった。聖武天皇の仏教への深い帰依のきっかけになったのではないかという。4日に奈良市の奈良文化財研究所である研究会で発表される。

岡山大の今津勝紀・助教授(日本古代史)と隈元崇・助教授(地震学)が研究した。(中略)

隈元さんらは、政府の地震調査研究推進本部による生駒断層帯の評価などから、デジタル地図に情報を重ねる地理情報システム(GIS)で震度分布図を作製した。(中略)

今津さんは「聖武天皇は訪れたばかりの地が震災に見舞われたことに大きなショックを受け、仏教への帰依を強めたのではないか」と話す。
4日は花大の入試なので参加できない(涙)が、そうでなければ是非参加したかった研究会である。誰か行って、レジュメもらってきてくれー、報告してくれー。

それはともかく、歴史地震学という分野がある。防災科学技術研究所が公開している「地震の基礎知識とその観測」の中の「11.3 古地震調査」に、
地震発生の長期予測を行うにあたっては,過去における地震の履歴を知ることが大変に重要です.しかし,近代的な地震観測が始められたのはやっと100年ほ ど前のことであり,計測学的な資料が得られる期間は,ほんの最近に限られてしまいます.それよりも古い時代の事柄については,歴史書や日記,あるいは寺院の過去帖などの古文書に頼らざるを得ません.
とあるように、地震研究においては歴史上起きた地震についての研究が、一つの大きな役割を担っている。

そしてこの分野では、コンピュータが従来、資料のデータベース化やGISの利用などで利用されており、情報歴史学コースで国際ワークショップを見に行ったこともある(私のブログ参照。なお、このワークショップの内容は、「月刊地球」2005年11月号で活字化された)。情報歴史学コースでは、今年度、卒業論文でGISを使った京都大地震の研究に取り組んだ学生もいる。

実はこのワークショップのときも話題になったのだが、地震研究者の史料の集め方、読み方と、歴史学者のそれとの不一致、つまり方法論の不一致が、いつも問題になる。上の岡山大チームの研究報告では、内容もさることながら、この問題がどのように対象化され、処理されているのかが気になるところである(まあ、古代史は文献史料が乏しいので、そういう葛藤は起きないかもしれないけど (^_^;;)。

Wednesday, March 01, 2006

「東洋学へのコンピュータ利用」第17回研究セミナー

3月24日(金)、毎年恒例になった東洋学へのコンピュータ利用の第17回研究セミナーが開催される。情報歴史学コースの学生諸君は、都合がつくなら是非参加して、最先端の研究成果に触れてほしい。

...と言うと、「え、東洋学って何?日本史と関係ないじゃん」みたいな顔をされるときがある (^_^;;
確かに東洋学と日本史学とは、地域的には重なるとは言え、ディシプリン(学問分野、方法論)は異なる。しかし、「分野が違うから関係ない」という考え方は、少なくとも以下の3つの点で間違っている。
  1. 東洋学は日本史学の隣接分野である。隣接分野におけるコンピュータ利用の研究は、当然のことながら日本史研究にも参考になることが多い。
  2. そもそも、日本史学におけるコンピュータ利用についての研究は少ない。というより、人文学全体におけるコンピュータ利用自体がそれほど多くない。したがって、日本史だけで(あるいは、自分の関心のあるテーマだけで)先行研究を探そうなんて、贅沢を言ってる場合ではない。どんな分野のものでも、積極的に先行研究として参照しなければならない。特に、中国・台湾・韓国などにおいては、日本よりもコンピュータ利用が進んでおり、参考になる先行研究はたくさんある。
  3. コンピュータを利用することによって、既存のディシプリンの境界がだんだんあいまいになってくる。例えば、データベースの横断検索という発想はまさに、ディシプリン横断ということでもある。だから、日本史、日本史とこだわるのは、逆説的だが情報歴史学的ではない。
実は最後の問題は、けっこう大きなテーマだったりするのだが、それについては後述したい。

Thursday, February 23, 2006

時雨殿を見学して

情報歴史学研究会の遠足企画として、時雨殿を見学するため、嵐山まで行ってきた。任天堂の山内さんが多額の寄付をして完成したとのことであり、展示の開発には同社の技術が投入されていると聞き、期待が高まる。京福の嵐電駅に集合して、保津川沿いにちょっと歩くと到着。保津川沿いの極めてよいロケーションである。オープンしたてということで、まだ未完成な感じのところもあるが、ともかく中へ(土足厳禁)。ニンテンドーDSをベースにした端末を受け取って、恐らくは一番の目玉であろう一階のアトラクションへ。

足下に広がる京都の空中散歩は壮観である。しかも、これが単なる航空写真ではなく、車や電車が走り、川は水しぶきをあげ、鳥が飛んでいる等々、かなり細かく作り込まれているのには、プロの仕事じゃーと感動する。端末で百人一首関連の史跡や京都の名所を指定すると小鳥がその上空まで案内してくれる機能もある。これを普通のブラウザ上でやったらなんてことのないものであるが、「大画面の上を歩く」というギミックがかなり楽しませてくれる。しばらくすると夜の画面になり(夜景がきれい)、一瞬、平安京の古地図みたいなもの(写真)が出たり、五山の送り火の(ゲームのエフェクトみたいな)CGが出た後、大画面をいっぱいに使ったカルタ取りになる(そしてまたしばらくすると、空中散歩に戻る。以下繰り返し)。

カルタはカルタなのでそれなりにおもしろいが、しかし、空中散歩については不満も多い。せっかく史跡の上空まで連れて行ってもらい、そこを拡大して表示しても、史跡などの名前と2, 30文字程度の情報、歌人関係であればその和歌の朗詠などが得られるだけで、それ以上深い情報は何も得られない。

同様に、平安京の画像がほんの十数秒(計ったわけではないけど、そんな印象)で消えてしまうのは残念至極。私たちを含めた来場者の多くは、「お、花大はここだ」とか、「ここな、ここな、うちが出た小学校やねん」とか、要するに現代の京都の地図を楽しんでいるだけで、小倉百人一首のアトラクションを楽しんでいるという意識が希薄ではなかったろうか。そもそも、小倉百人一首の編纂において嵐山にゆかりがあるだけで、歌人たちは飛鳥やら奈良やらいろいろいたわけなのだから、京都の空中散歩をする必然性もあまりないと言えばない。現代の京都の空中散歩と、小倉百人一首の編纂された当時の文化や、収録された和歌そのものまでを連続させるには、もう何段階か橋渡しとなるようなコンテンツが必要ではなかったろうか。

そうでなければ、このような高度なデジタル技術を駆使してせっかく百人一首の世界の入り口までつれてきたとしても、結局のところ「マリオを探すのが一番燃えた」みたいな思い出だけを持って帰る、みたいなことにはなるような気がする(ただ、百人一首云々を抜きにして、単なるゲームとしておもしろいか?と聞かれても、全体的にうーむ、といったところで (^_^;; ちょっと微妙。カルタ取りがもうすこし長い時間できると、グループでの勝負が熱くなるような気もするが、どうだろうか)。

もっとも、この時雨殿を建てた財団法人 小倉百人一首文化財団(京都商工会議所の120周年事業だそうで)のキャッチフレーズが「新たな日本文化の創造」であることを考えると(実際、この財団のフォーラムでは、百人一首の枠を超えたコラボレーションが展開されているようだし)、このアトラクションも何か新しいものを生み出そうとしているのかもしれない。アートの大切さで述べたような問題について、また色々考えさせてくれるという点では、収穫も大きかった。

他にも色々あったけど(非デジタル系では、愛国百人一首が面白かったな)、また皆で見に行きましょう。批判的なことばかり書いちゃったけど、学術系データベースの質実剛健な (^_^;; 外見を見慣れた目には、あの高いクオリティは感動します。

Sunday, February 19, 2006

Trackback機能を追加

学友にしてグルメの先達であるぱーどれ氏のお勧めにより、Haloscan.comが提供するトラックバック(の受信)機能を追加した。「Link to this post」の機能を使えば似たようなことをやってくれるんだけど(多分Google先生が うまいことやってくれる)、普通のトラバがあってもいいかなーと思ったのと、フリーのサービスを試してみたくなった(卒論の研究用に使えるかもよ>H君)のもあって追加してみた。

ところで、前からあたためていたネタではあるものの、通常の歴史学の「常識」からはわかりにくいテーマであるため書くことに正直ちょっと抵抗もあったアートの大切さという投稿が、思いのほか反響があったのはうれしい限り。