Wednesday, February 11, 2009

卒論へのコメント (1)

昨日、口述試問が無事に終わったので、簡単にメモしておこう(参考: 2006年度、2007年度)。

岡本知沙「WWWにおける高い集客能力のあるコンテンツの分析 〜2ちゃんねる、ニコニコ動画を中心に〜」

岡本論文は、序論で次のように述べる。
近年、大学や研究機関、図書館などにおいて、多くのデジタルアーカイブやデジタルコンテンツが公開されるようになってきている。しかしながら、それらの多くは作りっぱなしの場合が多く、開発費に見合った効果が得られたのかどうか、検証されることはほとんどない。
この問題を解決するための予備的考察として、岡本さんは2ちゃんねるやニコニコ動画など、ユーザーが多く集まり、積極的に活用されているサイトの分析を行う、というのが本論文の主旨である。

「作ったものは立派だと思う。で、どうやってユーザーに使ってもらうの?」という問題は、人文科学とコンピュータ研究会の発表でもしばしば聞かれるもので、岡本真さんの『これからホームページをつくる研究者のために』とも問題意識を共有している。また、2ちゃんねるとかニコ動の分析は、濱野智史氏の『アーキテクチャの生態系』などによって、単なる印象論から脱しつつある状況で、これまた時宜を得ていると言える。


その意味では着眼点がとても興味深く、またいろいろな先行研究を参照している点も評価できる。しかし、問題点を絞り込むことができず広く浅くなってしまい、各章に有機的なつながりがなく、つぎはぎな感じになってしまったのは残念である。序論で述べられたデジタルアーカイブの問題点の解決策についても、それまでの議論をふまえたものには必ずしもなっておらず、その点も残念。

また——先行研究にありがちな、新しいネット文化を過大評価するトーンに毒されてしまっているのかもしれないが——2ちゃんねるやニコ動のコアなユーザーを過大評価、あるいは一般化しすぎているように見受けられる。加えてこれらのサイトを分析する際に使われる「ネタ」という概念が、「真実」「情報」の反対概念だったり、コミュニケーションの種だったりと、非常に都合のいい万能な用語として使われている印象がある。

小笠原祐也「日本中世都市史に関する研究文献データベースの作成と公開」

日本中世都市史に関する研究史をまとめた前半部分は、副査の先生に「ここだけは文献史学の論文として発表してもよいくらい」と言われるぐらいよくできている。

しかしながら、この研究史のまとめや、先行データベース(例えば国立歴史民俗博物館の中世地方都市データベースなど)の評価が、実際のデータベースの作成にあまり活かされていないのが残念である。例えば、研究史のまとめにおいて注目されていた「曖昧な都市概念」「都市的な場」のような問題に対して、このデータベースはどのような解決策を提供しているのか。論文の中でも、データベースの設計レベルでも、この点ははっきりと示して欲しかった。あるいは、中世都市データベースの「都市情報の検索」という機能をただ紹介するだけでなく、その必要性を批判的に評価することができれば、データベースのあり方は今とは違ったものになったのではないだろうか。

(他の学生もそうだが)論文とデータベースなどの作品とが、どちらか片方ではなく、両方必要である点をもう少し考えて欲しい。

Monday, January 26, 2009

GPSのデータをGoogle Earthに読み込んでみた

馬場南遺跡(神雄寺跡)発掘調査 現地説明会に行ったとき、GPSもいっしょに持っていった。電源をいれっぱなしにして、リュックの外ポケットに入れっぱなし。このとき歩いた軌跡のデータをGoogle Earthに読み込んでみたら、以下の通り。

神雄寺のあたりが林っぽかったけど、あとは空が見える場所なので、そんなに大きなずれはないと思う。あとで写真ファイルに埋め込んでみよう。

Thursday, January 22, 2009

MicrosoftのImage Composite Editorはなかなか優秀

MicrosoftのImage Composite Editorはパノラマ写真を作るソフトなのだが、無償の割になかなか優秀だ。

下の画像は、馬場南遺跡(神雄寺跡)発掘調査 現地説明会に行ったときに撮った写真を5枚、放り込んだら、うまい具合につないでくれたパノラマ写真。左手に見えるのが文廻池。中央の人だかりが馬場南遺跡(神雄寺跡)である。


もう一枚は、発掘現場の南端あたりから北に向かって撮った写真をつなげたもの。現地説明会の会場なので撮影中も人が移動しており、写真にもそれが写っているのだが、うまいことつなげてくれている。

ちなみに、左下のパイプと右下のパイプは同一直線上にある。パノラマだからこうなっちゃうのね(途中ずれてるところもあるし)。ゆがんでしまうのに目をつぶれば、雰囲気をつかむのにはよいのではないかな。ここからQuickTime VRにできたりしたら面白いんだが。

Friday, January 16, 2009

週刊 安土城をつくる

週刊 安土城をつくるというシリーズがデアゴスティーニから出るらしい。今年、卒論のテーマとして安土城の復元に取り組んだ学生もいるし、ちょっと欲しいなぁ、と思ったりする。

でも110号まであるらしいから、2年間、毎週1500円ずつ払う根気はないなぁ (^_^;)

Thursday, January 15, 2009

デジタル情報の長期保存に暗雲(日経新聞)

『日経新聞』2008年12月27日朝刊「文化」欄に「学術資料や映像記録 デジタル情報の長期保存に暗雲 媒体に寿命 更新コスト莫大」という記事が載っている。

昨年10月に開催された国際シンポジウム 「デジタル知の恒久的な保存と活用にむけて―デジタルジレンマへの挑戦」の報告がメイン。例えば「品質でフィルムと同等の4k(画面を横4096、縦2160の画素で表現)のデジタル映画は、一本当たりの保管コストがフィルム映画の11倍にもなる」ため、最近ハリウッドでは保存用の映画をフィルムに焼き直しているらしい。このシンポジウムも「デジタルが最上と信じてきたが、『そんな問題があったのか』との思いに駆られて企画した」との由。

この記事の中で、我らが後藤先生がコメントを寄せている:
花園大学の後藤真専任講師は、「ハードディスクが稼働を始めて三ヶ月で二%の不具合が発生、五年で一〇%弱に達したとする、米国での調査結果がある」と話す。
新聞記事なので、後藤先生の発言や意図はかなり端折られていると想像する(私も経験あるので (^_^;;)。後藤先生のことだから、ハードディスクがどーのというような物理的な話がメインではなく、保存とはそもそもどんな行為か、みたいなこととか、史料論的なこととか、政策的なこととかを話したんじゃないかと思うが、そのへんは身内特権でご本人から聞くとしよう。

しかしまあ、ハリウッドの人たちの中には、「お前ら情報屋が『これからはデジタルですよ』なんて言うから高い金を払って設備投資したのに、今頃になって『デジタルは保たない』とか言うなよ、ボケ」なんて思ってる人もいるんだろうなぁ (^_^;; 善意に基づいているとは言え、自作自演と言われても仕方がない(ほかの業界でもよく見るけどね)。私も「デジタル万歳」的なことを発言したり論文に書いたりしてるので、片棒を担いでます。すいませんすいませんすいません。

もっとも保存だけがデジタルの目的ではなく、先の映画の例で言えば、ポストプロダクションとかでデジタルの恩恵(特殊効果とかね)を多分に受けているだろうから、トータルでデジタル化はプラスだったのかマイナスだったのか、評価をしなければならないんだろうけど。

Friday, January 09, 2009

卒論〆切日

今日は卒業論文提出〆切日。提出予定の7名が全員無事、提出した。よかった、よかった。

Saturday, December 27, 2008

Google SketchUp 7がそろそろ

うちのゼミではお世話になっている人が多いGoogle SketchUpだが、バージョン7の始まった模様。英語版はすでにリリースされている。
「日本語版のリリースは2009年5月を予定しています」だそうだ。

平安京の邸宅の3DCGムービーを作るときに悩まされたバグ?(呪い?)が直っているといいなぁ。誰か、英語版で試してよ。

Monday, December 22, 2008

14th International Conference of Historical Geographers

帝塚山大学の川口洋先生より情報をいただきました(というか、宣伝してって言われました (^_^;;)。
日本語訳すると「第14回国際歴史地理学研究者会議」みたいな感じかな。現在のところ案内はすべて英語ですが、近々日本語のページもできるそうです。GISの発表とかもあるんでしょうかね。

Tuesday, December 09, 2008

高野山の3DCG - えずけん第23回例会

高野山大学の藤吉先生から案内を頂きました。
えずけんは、丹生都比売神社の3DCGを作成したグループです(天野・丹生都比売神社トップ参照)。藤吉先生には「うちのゼミ生を連れて高野山に行きますんで、交流しましょう!」と言ってあるのですが、なかなか実現しません (^_^;;

群書類従

今日の3回生のゼミで『群書類従』のことを聞いたら、誰も知らなかった。悲しいからWikipediaへのリンクをはっておく。
『続々群書類従』はWikipediaにないのね。まあ『続々群書類従』は、上の2つとは成立が違うからなぁ。いずれにせよ、基本文献なんだから、知らないのは恥ずかしいぜ (^_^;;

Saturday, November 22, 2008

これからの情報歴史学系イベント

来月は情報歴史学系のイベントが多数開催される。
今年は、残念ながら、関東開催が多い。私は下の二つで発表します。上の二つにも参加したいけど、別の予定があるんだよなぁ。っつーか、毎年この頃は学会シーズンで、出たいやつにもなかなか出れなかったりする。

Tuesday, November 18, 2008

秋のゼミ旅行@安土

今年の3回生、4回生には、安土城や小谷城をテーマにしたり、3DCGによる復元をやったり、古墳をやりたいという学生がいたりするので、それらが集まっている安土方面へ急遽ゼミ旅行が決定した。相変わらず遅刻者が足を引っ張る中 (^_^;; マイクロバスで花大を出発。

最初に行ったのは、滋賀県最大の前方後円墳だという瓢箪山古墳。

以前に見た写真では木があまり生えていない感じだったが、登ってみると林になっていた。しかも松の木がそこら中で倒れていて、道もふさがっている。前方後円墳というより、双ヶ丘のようだった。

次に観音正寺・観音寺城へ。こういうところに来ると、私はついつい仏教史モードになってしまうのだが、今回は城であることを意識して見ることにした。すると、かなり大きな山城だったのではないか、という印象を持った。


ちょっとはずれたところにある佐々木城跡という大正時代の碑には、落書き(というか落「彫り」)がしてあった。


最後に、滋賀県立安土城考古博物館を見学。お目当ては安土城3DCGのムービーや、小谷城などの復元ジオラマ。今の3回生は、入学間もなくの学科別オリエンテーションでこの博物館に来ており、これらの展示を見ているはずであるが、秋の展覧会用の復元CGとムービーを作る経験を経て成長した彼らの目にはかなりちがって見えたはずである。「これを作るのは半年かかるなぁ」みたいな発言が出てくると、やった甲斐があったってもんである。

Tuesday, October 21, 2008

Sunday, October 19, 2008

史料学・史料編纂における知識論的転回

国立情報学研究所の情報とシステム2008というイベントで、情報歴史学系の講演があるようなので、紹介しておきたい:
  • 横山伊徳(東京大学 史料編纂所 教授 所長)
    「史料学・史料編纂における知識論的転回について —記録史料管理論と歴史知識管理論のはざま—」
  • 柿沼澄男(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授)
    「人文・社会科学と情報学の共同研究」
このうち横山先生は、以前配布した『歴博』140号(私の「情報歴史学の教育に挑む」も載っています (^_^;;)にも回顧記事を書いている、日本史学におけるコンピュータ利用の先駆者の一人。
  • 横山伊徳「私のデジタル化戦略 コンピュータで史料編纂所の二〇年を歩む」(『歴博』140号、2007年)
タイトルの「知識論的転回」は、20世紀末の(っていう言い方は語弊があるかな)歴史学における言語論的転回という方法論的な変化をふまえていると思われる。歴史学における言語論的転回については、以下の論文が参考になる。
  • 北條勝貴「言語論的転回と歴史認識/叙述批判—現状の整理と展望—」(『GYRATIVA』1号、2000年)
『GYRATIVA』は花大図書館にある。この論文の概要は以下の通り。
アナール学派をはじめとする〈新しい歴史学〉の潮流以降、歴史学という学問分野の枠組みを相対化し、理論的に激しく動揺させた問題に、主にアメリカを舞台に惹起した〈言語論的転回〉による歴史認識・歴史叙述批判がある。それはポスト・モダニズム的テーゼに触発された素朴実証主義批判で、ダントやホワイトによって歴史の物語性が暴露されたことに端を発し、ラカプラの主導により伝統的歴史学やアナール学派的社会史への激しい攻撃へ成長した。これらのなかで示された議論の大半は、歴史学者の経験主義、自己の分野のみにしか通用しない閉鎖的価値観・基準に基づいており、言語論的転回の根本的批判力には答ええていなかった。この論争を流行に終わらせることなく、歴史学が自らの方法を批判する認識論的基盤を、隣接諸科学の診断基準にも対応しうるものとして確立してゆくことが急務である。

上の概要で名前が出ているダント、ホワイト、ラカプラの本をあげておく:




Monday, October 13, 2008

HCP: Humanities CyberPlatform

林晋先生からご紹介いただきました。「史学・古典学・文学などにおけるデジタル画像の利用スタイルを一新することを目指すプロジェクト」との由。
“人文学とコンピュータ”業界では、必ずしも「実用」を目的としていないツールが(例えば工学系の研究者の発表ネタとして)たくさん開発されては消えていくという現状が(残念ながら)あるわけだが、このHCPは「Hilbert日記研究ではすでに実用ツールとして使用されている」とのことなので、その点では信頼できると思う。解説ムービーがたくさんあるので、ざっと見るだけでも勉強になる。

Tuesday, October 07, 2008

「デジタル情報技術が拓くアーカイブズの可能性」のレポート

情報歴史学研究室: デジタル情報技術が拓くアーカイブズの可能性で紹介したイベントであるが、コメンテータの岡本さんが簡単な報告をして下さっているので、リンクをはっておく。
こういう風に、即座にレポートがあがるのはありがたい。ところで「あくまでノートから起こしたものなので、実際の発言内容とまったく同じではない」とのことだが、
一つのアイデアとして、デジタルアーカイブズを見るもの/読むものとしてではなく、言及・引用するものへと変えることがある。
という部分はちょっと気になった。「見るもの/読むもの」と「言及・引用するもの」との違いがよくわからない。引用されるということは読まれるということなのではないだろうか? 読むということとは別に、言及されるということはあるのだろうか? 後藤先生に今度聞いてみよう。

Friday, October 03, 2008

ひとまず完成

夏休み前から作ってきた秋期企画展用のムービーがひとまず完成。


Sketchupのバグ?というか謎の仕様のおかげで山が入らなかったり画面がちらついたり、プラズマテレビが4:3と聞いていたのに16:9だったので作り直さなければならないかもしれなかったり、完成直後に細かい注文が入ったり、諸々の不満はあるが…


何はともあれ、間に合ったのはよかった。

企画展が始まったら、YouTubeかニコ動にうpする予定。

これまでの苦闘の記録:

Tuesday, September 30, 2008

修羅場

今日は前期卒業式でした。S君、卒業おめでとう!

それはともかく、今週は修羅場である。来週月曜日スタートの歴史博物館の特別展の準備が大詰めだし、それに加えて4回生は来週、卒論中間発表である。疲れてきた。

今日も9時半まで展覧会の準備。途中でS君も合流して、祝卒業の乾杯をしたり、ピザを食べたりしながら、作業を進める。ムービーのレンダリングに時間がかかるので、手を動かす時間より口を動かす時間の方が長くなってきた。

Friday, September 26, 2008

図録用画像3点

しばらく身動きがとれないうちに展覧会の図録の〆切になってしまったので、今日あわてて、これまで皆で作ったオブジェクトを集め、風景っぽいのを作ってみました。

まずは、発掘現場を北西方向に眺めた眺望。向こうに見える山並みは、仁和寺とか龍安寺とかがあるあたり。


母屋(建物1)を南西側から見たらこんな感じ。右側の山は比叡山。カメラの設定がよくわからなくて、地面が切れてしまった(涙)。


建物5と甕据え付け穴があったあたりを西南西から。比叡山は左に寄ってます。影をつけるのを忘れた (^_^;;

Thursday, September 18, 2008

後藤先生大活躍 (2) 正倉院文書データベースと「復原」

後藤先生の論文「正倉院文書データベースと「復原」――情報化によって見えてくるもの」が『アジア遊学』113号に掲載されています。後藤先生が情報歴史学研究室に1冊、寄贈して下さいました。感謝!

正倉院文書データベースの作成を通じて、従来の正倉院文書に対する「常識」が変わる(かもしれない)というのが、副題の「情報化によって見えてくるもの」の意味。もし本当にそうなれば、情報歴史学が成し遂げた独自の大きな成果ということになるでしょうね。

全員読め!

後藤先生大活躍 (1) 「正倉院文書データベース」(SOMODA)の設計思想

後藤先生の講演についてはデジタル情報技術が拓くアーカイブズの可能性で紹介したばかりであるが、また情報が飛んできた。今度は9月24日に東大で開かれる連続セミナーでの講演:
後藤先生は「「正倉院文書データベース」(SOMODA)の設計思想」という題で講演される模様。ひっぱりだこです (^_^;;

Wednesday, September 17, 2008

デジタル情報技術が拓くアーカイブズの可能性

告知が遅くなったが、こんなイベントがあります:
これの2番目に、後藤真先生が「デジタルアーカイブ」と記録資料 —"正倉院文書データベース"と近代史料のデジタル化を通して—」という題で発表するみたいです。会場が学習院大学ということで参加は難しいですが、また後藤先生に土産話を聞かせてもらいましょう (^_^;;

ちなみにコメンテーターはARGの岡本さん。

追記(10/4):今さらながら岡本さんのエントリにリンクを張っておきます。→2008-09-28(Sun): 10月4日(土)、日本アーカイブズ学会へのお誘い@学習院大学 - ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版

Tuesday, September 16, 2008

山を作った。

色は適当。

ますます重い…。メモリ4GBでも重い…。もっと高スペックなマシンが欲しい…。

cf. Google Earthから地形のポリゴンを抽出する方法は、Google Earthの画像から地形を作成(Stampツール) - SketchUp (r)を楽しむを参考にしました。

Friday, September 12, 2008

仮組み

今日は、とりあえず、できたのを並べてみた。

重い。

Tuesday, September 09, 2008

今日の成果

建物1(母屋)に屋根がかかった。影がつくと、ちょっとそれっぽい。

ほかにも展覧会での展示にむけていろいろ準備を進める。

Sunday, September 07, 2008

「隠し撮り」の本当の問題

今回の場合、「隠し撮り」が問題だというよりも - 宮本大人のミヤモメモは、所謂“デジタルアーカイブ”を考えるうえでも示唆に富むエントリである。大阪府の橋下知事が、大阪府立国際児童文学館の「実態」を調査するために、私設秘書にビデオカメラを持たせて隠し撮りをした、という話である。

この話を聞いて、ほぼ毎年ゼミで読んでいる新谷尚紀「映像民俗誌論—『芸北神楽民俗誌』とその制作の現場から」(『民俗学の資料論』、吉川弘文館、1999)を思い出した君は鋭い。



この論文では、ビデオなどによる撮影や編集の恣意性の問題――ひっくり返して言えば、カメラに写ったものはありのままの「事実」であると考えてしまう、カメラの透明性の問題――を様々に論じているものである。この論文では「隠し撮り」はむしろ(倫理的に問題があるにせよ)恣意性を排除する方法のひとつとして論じているが、上の宮本氏のエントリでは、隠し撮りであっても撮影者の恣意姓を排除できないことを指摘しており、新谷氏の論文を補強するものであるだろう。

Sunday, August 03, 2008

オープンキャンパスで作ってました

オープンキャンパスの3日間で、受験生のさらし者になりながら、新校舎の発掘現場の邸宅の復元をしていました。建物1、建物5、貯蔵施設(下の画像)です。いやいや、お疲れ様。

建物はGoogle Sketchupで、甕はShadeで作ってます。

Monday, July 07, 2008

「状況の中で学ぶ」こととデジタルアーカイブ

民俗芸能などの「わざ」をデジタル技術を使って記録したり保存、継承したりしようという試みについては、授業の中で何回か取り上げたことがある。それに関連する記事が『未来心理』vol. 12に掲載されているので、ご紹介。PDFで読めるので、是非読みましょう。 同じ著者、テーマの、次の本もぜひ読んでおきたい。

Thursday, July 03, 2008

ワークショップ: 文字 ―(新)常用漢字を問う―

情報歴史学からはちょっと離れますが、下記のような文字に関するイベントを開催します。
上には「ちょっと離れます」と書きましたが、文字の問題は文献をデジタル化する場合に、非常に大きな問題となります。最近はだいぶ沈静化しましたが、一時は日本史学者、国文学者、中国学者、仏教学者などが、情報系の人たちと、文字と文字コードをめぐって侃々諤々の議論をしたものです。ちなみに私(師)の商業誌デビューは、「仏典のデジタル化の現状」(『月刊ASCII』Vol22, #11、1998年11月号)という記事だったりします。メジャーなパソコン誌に漢字仏典の記事が載る程、文字の問題はホットな話題だったということです。ああ、なつかしい。

ということで?興味のある方はぜひどうぞ。

Thursday, June 19, 2008

考古学研究室との合同研究会

6月17日に開催した今年度1回目の情報歴史学研究会は、考古学研究室との合同開催でした。

なんで合同で研究会をやったかというと、花園大学歴史博物館の秋の特別?展で、新校舎建設にともなう発掘(花園大学 発掘日誌参照)の成果をお披露目することが決定しているのですが、その展示の一部を我々情報歴史学コースで担当することになったからです。情報歴史学研究室: 発掘現場3DCG(改訂版)をお披露目みたいな3DCGによる復元や、それをつかったムービーなどを作成する予定なのですが、それに先立って今回の発掘について勉強しておこうということで考古学研究室で実際に発掘に携わった学生さんからレクチャーを受けた次第です。

いろいろ大変だとは思いますが、すごく勉強になる(考古学の勉強、展示の勉強、コンピュータに詳しくないクライアント (^_^;; とのコミュニケーションなどなど)ので、多くの学生に参加してもらいたいですね。

参照:情報歴史学研究室: アートの大切さ

Wednesday, June 18, 2008

ゼミ遠足 in 神戸

6月10日、神戸に遠足に行きました。4回生の準備がちょっとgdgdだったせいもあり、散漫な感じもしましたが、それなりに楽しめました。

個人的には異人館のあり方が、文化財の保存などについていろいろ考えさせられましたね。

Friday, May 30, 2008

国立国会図書館・関西館ツアー

5月27日(火)、情報歴史学コース2〜4回生有志と図書館司書課程の学生数名とで、国立国会図書館・関西館の見学に行った。国会図書館の電子図書館課、総務課の方々には大変おせわになりました。ありがとうございます。

ところで、学生諸君。(特に3回生には)ちゃんと質問できるように予習しておけよって言ったのに、全然できなかった(できた者もいたけど)のは猛省して欲しい。質問力、なんて言葉を使うと斎藤孝先生みたいだけど、ほんと、ああいう時に質問できないのは恥ずかしいよ。精進せよ。

Wednesday, April 23, 2008

情報歴史学コース全体オリエンテーション2008

昨日(4月22日)、毎年恒例の情報歴史学コース全体オリエンテーションを行いました。2〜4回生がほぼ全員集まって顔合わせ、注意事項確認、ゼミ旅行の相談などなど。その後、学内で懇親会、続けて学外(円町の居酒屋)で飲み会。下の写真は居酒屋にて撮影:

ということで、皆さん仲良くやっていきましょう。

Monday, March 24, 2008

歴史資料や文化遺産をデジタル化する意義とは?

詳しく書いている暇がないのだが(涙)、とりあえず忘れないうちに:
カレントアウェアネスはRSSリーダに登録しておきたいサイト。

Monday, March 17, 2008

2007年度学位記授与式

今日は卒業式でした。おめでとう!
ちょっと前に開かれた卒業判定の会議(そこで、皆の卒業が決まるのだよ)で、この3人のうちの1人の成績の順位が「1」と書いてあったので、もしかして情報歴史学コース初の史学科総代か?と思ったけど、勘違い、というか算出方法が違う順位だったようです (^_^;; まあ、順位が何番であれ、これから社会に出て、大学4年間で学んだことを活かすことができたと思う瞬間があれば、教員としてはこの上なくうれしいことです。

# ビンタもらいにいけなくてごめんね>つっちー

Saturday, March 08, 2008

東洋学へのコンピュータ利用 第19回研究セミナー

東洋学へのコンピュータ利用 第19回研究セミナーの案内が出ました。「19回」という回数からもわかるように、パソコンやインターネットが普及する前から続いている老舗イベントのひとつです。私も発表しますので(中国文学関係だけど)、皆さんもぜひご参加を。

東洋学へのコンピュータ利用 第19回研究セミナー

  • とき: 2008年3月21日(金)10:00〜17:20
  • ところ: 京都大学人文科学研究所本館(新館)1Fガラス張りセミナー室
  • 主催: 京都大学21世紀COE「東アジア世界の人文情報学研究教育拠点」
    京都大学人文科学研究所附属漢字情報研究センター
  • 問い合わせ: diccs@kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp
プログラム
  • 10:00〜10:10 開会挨拶
  • 10:10〜10:50 神と神、榊と榊 —常用漢字表拡大のインパクト—
    安岡孝一(京都大学)
  • 10:50〜11:30 文字研究とデジタルアーカイブの現状と課題 —HNGによる白氏文集の研究—
    當山日出夫(立命館大学)
  • 11:30〜12:10 中国古典戯曲文献の韻律の数理的分析に向けて
    師茂樹(花園大学)・千田大介(慶應義塾大学)・二階堂善弘(関西大学)・山下一夫(神田外語大学)・川浩二(早稲田大学)
  • 13:30〜14:10 春秋日食再考 —日出帯食と日入帯食について—
    山本一登(京都大学)・谷川清隆(国立天文台)・相馬充(国立天文台)
  • 14:10〜14:50 Improving Findability: Faceted Search with Lucene, Solr and VUFind
    Christian Wittern(京都大学)
  • 14:50〜15:30 甲骨文字処理にまつわるエトセトラ
    守岡知彦(京都大学)
  • 15:50〜16:30 人文科学のためのデジタルアーカイブにおけるコンテンツのサイクル
    永崎研宣(山口県立大学)
  • 16:30〜17:10 漢字字形管理環境GlyphWiki(グリフウィキ)
    上地宏一(二松学舎大学)
  • 17:10〜17:20 閉会挨拶
次の日の「キャラクター・身体・コミュニティ〜第2回人文情報学シンポジウム」とハシゴするのも、また麗しいのではないかと (^_^;;

Tuesday, March 04, 2008

方法としてのGIS

GISが暗黙知を明示する: やまもも書斎記に書かれていることは、まさに情報歴史学の大きなテーマのひとつ。當山先生曰く:
GISは、従来の学知の暗黙の部分を暴露する、極限すれば、このようにいえるだろうか。
この指摘は、私が『歴博』に書いた「情報歴史学の教育に挑む」の次の部分と通じるところがあるように思う。
筆者の考える情報歴史学は、まず第一には、歴史学のある研究分野の方法論や伝統について分析し、それをコンピュータを使って記述する(≒データベースを作成する)という学問である。それは、対象となった研究分野の研究者から見ればツールが提供されたように見えるだろう。しかし、データベースとして表現された方法論や伝統が暗黙のものであった場合、それが視覚化されることによって新たな議論、すなわち方法論的な反省が発生する契機となる場合もあろう。それを ふまえて第二には、従来の研究方法を相対化できるような新しい方法を模索し、それによって歴史学の研究を行うことである。以上のことから、筆者は、情報歴史学は補助学ではないと考えている。
やまもも書斎記は、情報歴史学コースの学生にとって、RSSリーダー等で常時チェックすべきブログ。

Sunday, March 02, 2008

キャラクター・身体・コミュニティ 〜 第2回人文情報学シンポジウム

以前、『人文情報学シンポジウム報告書』をゼミで配布しましたが(読んだ?)、その続編に当たる下記のイベントを開催します。ぜひ参加して下さい。

キャラクター・身体・コミュニティ 〜 第2回人文情報学シンポジウム

  • 日時:2008年3月22日(土)9:25〜18:00頃
  • 場所:京都市国際交流協会・第2会議室(地下鉄東西線・蹴上駅 徒歩6分)
  • プログラム(予定)
    • 守岡知彦「キャラクターの憂鬱」
    • 白須裕之「歴史記述における情報概念について」(仮題)
    • 小形克宏「「正字」における束縛の諸相」
    • 師茂樹「暴流の中で: 一般キャラクター論から見たキャラ/キャラクター論」
    • 石田美紀「声とキャラクター: 音響と視覚における融合と乖離」(仮題)
    • パネルディスカッション
      • パネリスト: 石田美紀/伊藤剛/小形克宏/白須裕之/守岡知彦
      • 司会: 師茂樹

情報歴史学的に特に重要なのは、白須さんの「歴史記述における情報概念について」でしょうか。歴史学者がやりとりしている「情報」とはどういうものなのかについての発表。

私も発表しますが、ちょっと歴史学からは離れてしまいます。元々、文字処理研究を進めていたらマンガのキャラクター論にたどりついた、という経緯だったりするんですが。課題図書はこちら:

情報歴史学とか関係なしに、ぜひ読んで欲しい一冊。

Saturday, February 23, 2008

発掘現場3DCG(改訂版)をお披露目

花園大学 発掘日誌: 現地説明会にも記事がありますが、今日、平安京二条三坊八町の発掘調査の現地説明会がありました。自適館300教室がいっぱいになるくらいの人が見に来ましたが、残念ながら花園大学の学生は数人って感じでしたね。情報歴史学コースの学生は残念ながら1名も来ませんでしたが(涙)、来年度から情報歴史学コースに来る予定の1回生が1名(たぶん)来てくれてました。

今回、現地説明会にあわせて、突貫工事で(一週間で!)復元CGを作り、ほんの数分ですが説明会でお披露目しました。作成期間が短かったこともあり結構いいかげんなところがたくさんあるのですが(どこがいいかげんなのか当ててみよう)、評判は上々だったようです。

今回は現地説明会用ということで、Google Sketchup 6だけを使ったざくっとした復元でした。このソフトは、こういう用途には本当に便利。しかしこれからは、高橋先生とかとも話し合って、方向性などをきちんと決めてからちゃんとしたCGを作りたいですね。その際、情報歴史学研究室: 発掘現場の写真撮影での写真を使った地形の復元も必要になってくるでしょう(と言うか、そのために写真を撮ったんだけど)。

学内で発掘をして、それを学内でCG化できる(しかもスタッフはほとんど教員と学生)ってのは、けっこう珍しい例だと思います。

Wednesday, February 13, 2008

第2回 文化遺産のデジタルドキュメンテーションと利活用に関するワークショップ

情報歴史学研究室: 【イベント】第1回 文化遺産のデジタルドキュメンテーションと利活用に関するワークショップで紹介したイベントの第2回目です。今度は奈良で、3月8〜9日の2日間。
私は残念ながら、9日には別件(やはり奈良で発表)があるので参加は無理なんですが、8日には都合をつけていきたいなぁ。

写真測量やデジタル高槻城など、ゼミでやったことや卒論のテーマに関係する発表もあるようですね。皆さん、都合が付くならぜひ参加しましょう。

Wednesday, February 06, 2008

口頭試問終了(2007年度)

2月6日、情報歴史学ゼミ生の卒論口頭試問が終わった(他のゼミはまだ終わってないが)。以下、簡単に講評。

川端康司「歌川広重『名所江戸百景』における色が鑑賞者に与える影響」

SD法を使ったアンケートによって、広重の作品における赤色がどのような影響を鑑賞者に与えているのかを研究した論文。先行研究をよく調べ、着実にやってきた点は評価したい。

この論文の問題点をあげれば、現代人の感性についての研究なのか、美術史的な研究なのかについて、きちんと区別されていないという点であろう。前者であれば広重の作品を使う理由を美術史の先行研究だけで言うことはできないが、この論文では美術史関係の先行研究の整理が中心である。逆に、美術史的な(歴史的な)研究であれば、アンケートをベースにした方法は意味がない。

副査の福島先生が言って下さったように、自身の「感性」を無批判に作品分析に適用してしまう美術史の研究者が実際におり、その人たちの態度を「勉強」してしまったのかもしれない。

土屋美穂「キトラ古墳の三次元復元と公開・利用に関する研究」

当初、3DCGを作成することを目標にしていたのだが、間に合わなかったのが残念。これから作るとのことなので、ぜひ卒業までに完成させて欲しい。

内容的なことを言うと、先行研究の調査については副査の高橋先生(昨年まで奈良文化財研究所にいて、今もキトラの調査に関わっている)からお褒めを頂く程なので、よくがんばったと思う。もっとも、本論文においては復元と保存がごっちゃになっており、復元に関する先行研究(情報の欠如部分を埋めるための周辺情報など)が少ないのが残念。このような混同は、実際に3DCG作成を始めていれば自ずと気づき、解消される部分であると思うので、繰り返しになるがCGの開発に入れなかったのが惜しまれる。

文字利光「丹波国分寺のCG復元とその問題」

こちらも上の土屋論文同様、CGを作れなかったこと、そのために復元と保存を混同するミスを犯していることが問題点として指摘できる。

加えてこの論文では、作成したCGを学校教育や博物館展示などで利用する場合を想定した議論を行っているのであるが、その中で「博物館には人が来ないとはじまらない」→「そのためには楽しさ、エンターテインメントの要素が必要」という議論を展開している。このような提言は、特にかつて「マルチメディア」が流行した頃、博物館情報学や教育工学などにおいてさかんに言われたことであるのだが、真に受けない方がよいのではないか、少なくとももう少し批判的に検討すべきだったのではないか、と思われる。

山本拓矢「GPS活用による姫街道研究」

GPSを手に、実際に姫街道を踏破した努力は買いたい(ケモノ道のようなところまで分け入ったとのこと)。ただ、そうして作ったデータが、実際の姫街道研究にほとんど活かされていないのは残念(山本さん曰く、GPSのデータよりも、データを取りに現場に行ったことでわかったことの方が大きかった、との由)。

先行研究の整理の部分については難点が多い。姫街道関連の先行研究をまとめる作業は割に早めに終わっていたのに、周辺分野の先行研究の調査がほとんどなされていなかったり、また先行研究から問題の所在を導くのも、時代が異なるものを一緒くたにして論じているところがあるなど、適切ではない部分も見受けられる。

Thursday, January 31, 2008

カニ温泉ゼミ旅行

1月29〜30日、かねてより4回生が(卒論をがんばるためのニンジンとして?)計画していたカニ+温泉旅行に行ってきたのでご報告。

29日朝9時集合。30分遅刻野郎が1名いたが、無事全員揃い、3台の車に分乗していざ出発。めざすは山代温泉、お宿は彩華の宿 多々見。

宿到着後、一部有志により那谷寺へ。ここは白山信仰の祖、泰澄が開いたとされるお寺である。境内には奇岩の霊場があり(写真)、山岳信仰チックな雰囲気満点であるが、標高はそれほど高くない。

宿に帰ったら、すでに浴衣男子による温泉麻雀大会が始まっていた (^_^;;

夕食はお目当てのカニ尽くし。メンバーの半数以上が食べきれないほどのヴォリューム。

その後、部屋に帰って、麻雀やらXBOXやら露天風呂やらで楽しいときを過ごす。

30日、チェックアウト後、まずは日本自動車博物館へ。クラシックカーが所狭しと敷き詰められており、展示というよりガレージの雰囲気(でも建物は洋館風)。たぶん学芸員さんとかはいないんだろう。車好きにはたまらんけど (^_^;;

写真は現存する唯一の日本陸軍95式小型乗用車(くろがね四起)。タミヤのプラモデルでしか見たことがなかったので、ちょっと感動。天井ギリギリの不自然な展示(どうやったんだろう (^_^;;)は、この車がデモンストレーションでこういう階段を上り下りしたというエピソードに因むのだろう。


次に、福井県立恐竜博物館。ここは建物がすごく未来的でかっこよく、展示もロボットやらCGやらで工夫されており、かなりお金がかかってる感じ。でもやっぱり、恐竜と言えば骨だろ!ということで、骨写真撮りまくり。


そんなこんなで非常に充実した2日間でした。

Friday, January 25, 2008

発掘現場の写真撮影

花園大学 発掘日誌: 写真撮影に便乗して、情報歴史学コースでも新校舎予定地の発掘現場の写真撮影をしてきました。我々の目的はPhotoModelerなどを使った写真測量がメインですが、いずれは三次元CGによって平安時代の邸宅等を復元するための調査も兼ねてたりします。

最初に櫓に登って全体像の撮影。櫓はこんな感じ(上にいるのは高橋親分と子分の学生さん):

登るとちょうどJRの高架と同じぐらいの高さ。誰かが動くたびにゆれる。「怖いよー怖いよー」と言ってると、高橋親分曰く「え?本当に怖がってるの?皆さーん、もろ先生が本気で怖がってるよー」って、あんたなぁ (^_^;;

シャッターを切る手が震える…のではなく、恐怖で足を震えさせながら何とか撮影。降りるときはこんな感じ(いっしょに登った鹿谷君):

この上り下りで、何度家族の顔が浮かんだか(涙)。

櫓から全体像を撮った後は、地上から黙々と撮る。福島先生にお願いして博物館からCANON EOS 5Dを借りることができたので(お手伝い頂いた志水さん、ありがとうございます)、4GB弱の写真を撮ることができました。

Sunday, December 23, 2007

デジタルアーカイブの「標準化」に向けて

東京でこんなイベントがあるそうです。

東京大学大学院情報学環・学際情報学府学際情報学専攻
21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」
 第14回シンポジウム

デジタルアーカイブの「標準化」に向けて
〜次世代アーカイブとユビキタス技術が拓く未来〜

概要
 21世紀、人間社会のあらゆる場面においてデジタル化された情報
を活用するユビキタス情報社会へと向かおうとしています。そのた
めに必要な要素技術は着実に開発が進んでおり、様々な実証実験を
通じてその技術的な実現性が確かなものとなってきています。そし
て、ユビキタス情報社会基盤を活用した様々なサービス(ユビキタ
スサービス)が社会に普及し、私たちの日常生活を豊かにする日も
近づいております。また、携帯電話やICカードといった先行事例に
みられますようにユビキタスは強い革新性を持っており、単に便利
というだけでなく様々な分野において変革をもたらすものと考えら
れます。

 本シンポジウムでは、これまでのユビキタスサービスを俯瞰しつ
つ、ユビキタス情報社会基盤がもたらすサービスへのイノベーショ
ンについて議論したいと思います。そして、ユビキタスサービスが
社会に普及するための課題を探ります。

開催要項

日時
平成20年1月15日(火) 午後1:30 〜 午後6:00 (開場 午後0:00)

会場
東京大学 鉄門記念講堂
  (東京大学へのアクセス)
  http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/map01_02_j.html
  (鉄門記念講堂(医学部教育研究棟)へのアクセス)
   http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_09_j.html

プログラム

  受付開始  12:00(アーカイブデモタイム 12:00−13:30)
  開演    13:30
  開会挨拶(吉見俊哉) 13:30−13:40
  (東京大学大学院情報学環長)
  基調講演(坂村 健) 13:40−14:20
  (東京大学大学院情報学環副学環長・教授、
   東京大学21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」
   拠点リーダー)

  報告(田良島哲) 14:20−15:05
  (独立行政法人 東京国立博物館)

 (休憩・アーカイブデモタイム  15:05−15:45)

  パネル討論      15:45−17:45
  (田良島哲・小川千代子・加茂竜一・杉本重雄・
   馬場章(コーディネータ))
   小川千代子(国際資料研究所)
   杉本重雄 (筑波大学)
   加茂竜一 (凸版印刷株式会社)
    コーディネータ:馬場章
    (東京大学大学院情報学環教授、東京大学21世紀COE
     「プロジェクトA」責任者)


  閉会挨拶(馬場 章) 17:50−18:00


主催
東京大学21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤の形成」

共催
凸版印刷株式会社

入場
無料

お申込み方法
定員:300名(先着順)
申し込み先:coe-symposium14@ubinsoc.org

 氏名・所属・連絡先をご記入の上、上記の電子メールアドレスで
お申し込みください。なお申し込みの受け付けのお返事はいたしま
せん。定員が超過しお断りする時のみご連絡いたします。
 お申し込みの時にご記入いただきました個人情報につきましては
、本シンポジウムの参加者管理の目的以外には使用いたしません。
 会場には駐車場はございませんので、車でのご来場はご遠慮くだ
さい。
 事前申し込みをしていない場合でも、当日シンポジウム会場に余
裕があれば参加していただけます。
 手話通訳や要約筆記等のサポートが必要な場合は、申し込み時に
お申し出ください。

Thursday, December 20, 2007

Saturday, December 15, 2007

「展示と来館者をつなぐ」ことの難しさ

みんぱくゼミナール 第355回「展示と来館者をつなぐ―みんぱくにおけるミュージアム・コミュニケーション」に、ゼミ生T君と参加する。開会に先立って、ゼミナールに10の倍数回出席した人を表彰していたのだが、120回出席していた人がいてビビる。月に1回として、10年近く来ておられるということになる。すげー。

それはともかくゼミナールであるが、興味深かった点を列挙しておくと、
  • 博物館に来る人は、必ずしも知的な学習を求めているわけではなく、人とのつながりを求める(デート? (^_^;;)/非日常的な体験を求める/自分探し等々のために来る人もいる。典拠はこれ:

  • 展示者の意図とは違うところで客が満足することもある=インタラクティブ・ミスコミュニケーション(橋本裕之「物質文化の研究」〔『民族学研究』62-2〕)
  • 展示される側からの異議申し立て→展示される側の展示作業への参加
    • 「展示と来館者をつなぐ」というタイトルの講演だったためか、「展示される側」の視点はちょっと曖昧だった気もする。
  • 展示する側(博物館や研究者)/展示される側/展示を見る側の三者がモノの価値づけ、解釈、記憶の付与に平等に参加できる場としての博物館。
    • もし「平等」を追求するのなら、博物館という価値づけのシステムの存在自体がある限り、展示する側と展示される/見る側との非対称はどんなに工夫しても解消されないように思う。それを隠蔽して(博物館を自明のものとして)「平等」を目指すより、博物館の権力性を可視化する方がいいような気がするが、いかがだろうか?
    • ちなみに、民族誌において似たようなことを目指している川村清志さんらのチームの活動は参考になるだろう(最近の成果だと、じんもんこん2007の岩谷洋史・川村清志・星野次郎・行木敬・大崎雅一・森下淳也「人類学研究支援環境DWB による調査資料の詳細化と客観化―部分と全体の視点を許容するDWB―」など)。情報歴史学研究室: 電子メディアを飼いならすも参照。
この講演を聴きながら頭に浮かべていたのはWikipediaやニコニコ動画など。T君と“ニコニコ展示”は可能か?可能だとしたらどうやってやるか?なんて議論をする。

ゼミナールの後、常設展示や企画展「世界を集める−研究者の選んだみんぱくコレクション」でPSPを使った閲覧支援システムを体験する。常設展示における「動画も見られる音声ガイドの拡張版」としてのPSPはなかなかよいと思ったが、企画展の方のPSPは正直、必要性を感じられなかった。情報歴史学コースでも携帯電話を使った閲覧支援システムを作った時があるし、今度はiPod touchを使って作ってみようかな、なんて考えていたのだが、改めて難しさを痛感する。

帰りしな、珍しく?黒山の人だかりができていたので、何だろうと思ったら万博記念公園では今日からライトアップらしい。

Saturday, December 08, 2007

第12回情報知識学フォーラム:簡単なレポート

情報歴史学研究室: 2007年度 第12回情報知識学フォーラム 〜情報の発掘と再生〜に行ってきたので、簡単な報告…と言っても、昼まで大学で用事があったので、聞けたのは2番目の五島さんの発表の途中から。

朽津信明「蘇る古墳壁画の世界—装飾古墳のデジタルコンテンツ化—」

上に書いた通り聞けず(3DCGを使うものらしい)。すまん、つっちー。論文は今度のゼミに持って行くので許してね。

五島敏芳「アーカイブズ情報の電子化・保存と共有化動向」

この発表については途中からだったということもあるし、五島さんの発表は歴博の共同研究班などで何度か聞いていたりもするのでここでは書かない。

ただ、彼が最近ひっぱりだこの人であることについては指摘しておきたい。最近、「デジタル・アーカイブ」という言葉をよく耳にするが、アーカイブの本来の「(公)文書の(永久)保存」という意味でのデジタル・アーカイブは驚く程少ない。不思議なことに我が国では、文化財のデジタル化という程度の意味で「デジタル・アーカイブ」という言葉を使ってしまっている(私も、あまり使いたくはないが、そういう用法で使うことがある)。五島さんは、本来的な意味でのデジタル・アーカイブについて語れる数少ない人だったりするので、ひっぱりだこなのである。

江草由佳「戦前期教科書の電子化・保存とその応用」

「電子化・保存」の話はなつかしい感じ(マイクロフィルム+PDF)。むしろ、その前段階で概説された研究対象(資料)としての教科書の話はおもしろかった。資料としての教科書の価値は、レアだから価値があるという文化財的なものではなく、ある世代のほとんどの人が目にしているという圧倒的な普及率を誇るメディアであるという点であるとのこと。確かにそうだ。

あと、個人的には、サンプルとして回覧された満州国の教科書にあったモンゴル相撲の記事が気になった (^_^;;

矢野環「古典籍からの情報発掘—再生そして生命誌、ネットワーク—」

一番楽しみにしていた発表。バイオ・インフォマティクスなどで使われる数理モデルを文献学に応用したり、茶人の人間関係をグラフ・ネットワークとして分析する、というもの。意外に思われるかもしれないが、DNAはGCATの四文字で書かれたテキストなので、テキスト・データベースの技術(全文検索とか)がそのまま応用されているし、写本を比較して伝写系統を分析するみたいなことと同じようなことも行われており、そのためのツールもたくさん公開されている。文献史学の史料批判などにも充分応用可能な方法なのである。

休憩時間に矢野先生とちょっと議論したのだが、数理的なモデルで出てきた結果をどう評価し、解釈するかについては、はっきりとした方法は見出されていない。今後、考えていきたいところ。

田良島哲「文化財情報の発掘と再生—「モノ」と「テキスト」のはざまで—」

文書がどのようにして「古文書」になり、後に研究者が「史料」として見出して、場合によっては国宝などになったりするのかを概説した上で、史資料のデジタル化には各分野(文献史学、書誌学、古文書学、考古学etc...)の方法論に基づいた「見る目」の共有が必要なのではないか、と問題提起。

方法論の(コンピュータを考慮した)共有には、方法論の形式化ないし記述が必要なわけだが(上の矢野先生が使っている数理モデルは、文献学の一部を数学的に形式化したものとも言える)、これが一筋縄ではいかないですよねー、という議論を、会終了後、ほんの短い時間ではあったが田良島さんとすることができた(文書などの材質に関しては、客観的な記述が非常に難しいらしい)。

こういう議論ができるのが、ライブで発表を聞く醍醐味である。遅刻しちゃったけど、行ってよかった。

Wednesday, December 05, 2007

「漢字文化三千年」 国際シンポジウム

情報歴史学研究室: 12月の関連イベントに追加情報。以下のイベントが京大で行われるようです。

漢字文化の全き繼承と發展のために
京都大學21世紀COE 東アジア世界の人文情報學研究教育據

「漢字文化三千年」 国際シンポジウム

セッション一:漢字と情報学—新しい世界へ
プログラム
  京都大学 国際交流ホール
  14:00 ~ 17:00
  • 「仏教学文献研究におけるコラボレーションの可能性と問題点について」
    永崎研宣(山口県立大学)
  • 「「心」の問題 − 文学研究のための資料をめぐる一考察 −」
    明星聖子(埼玉大学)
  • 「A scheme of Chinese conceptual schemes: the Thesaurus Linguae Sericae」
    Christoph Harbsmeier (何莫邪)(オスロ大学・北京大学)
  • 「唐代研究ナレッジベースからの教訓」
    ウィッテルン クリスティアン (京都大学)

Wednesday, November 28, 2007

構築主義の入門書

今週火曜日の3回生ゼミで赤間亮・川村清志・後藤真・野村英登・師茂樹「人文科学にとっての“デジタルアーカイブ”」(『人文科学とコンピュータシンポジウム論文集』、IPSJ Symposium Series Vol. 2004, No. 17、2004年12月)の私の「問題提起」を読んでいる際、構築主義について簡単に説明した(デジタルアーカイブの主な対象になる「古典」とか「名作」というものは、作品そのものに原因がある(=本質主義)のではなくて、社会的に構築されたものである、というような文脈)。

そこで紹介した構築主義の入門書をあげておこう:

Thursday, November 22, 2007

Canvas使えるかも

HTMLの次期バージョン「HTML 5」というのが開発中である。
その中にcanvasというタグがあって、これの表現力がけっこうすごい。下にあげたようなやつがぐりぐり動く(対応ブラウザはFirefox、Safari、IE。IEはプラグインがいるらしい)。



Web上で図や3Dを表示するのはいろいろあったけど、これだけのことができて、しかもGoogle大将軍が肩入れしているとなると、かなり有望かもしれない。

Tuesday, November 20, 2007

12月の関連イベント

ちょっと間が空いてしまいました。12月の情報歴史学関連イベントをリストアップします。12月は毎年、イベントラッシュですが、今年は関東によってますね。

なお、3回生はどれか(関連するものであれば、下記以外のイベントでも可)に参加してレポートを書いてもらうことになります。

Monday, October 15, 2007

Sunday, September 02, 2007

Friday, August 31, 2007

お隣さん

新校舎の建設に伴う発掘調査が始まり、調査を担当する考古学研究室のブログが始まりました。
そのうち情報歴史学研究室も、三次元写真測量などで参戦したいと思いますので、乞うご期待?

Monday, August 20, 2007

【イベント】東京国立博物館「博物館情報学研究会」

こんな案内を頂きました(以前のポストも参照)。

東京国立博物館「博物館情報学研究会」のご案内

東京国立博物館では「博物館情報学の構築」を研究課題の一つとして調査研究を進めていますが、このたび「博物館業務と所蔵品データベース」をテーマに、下記の要領で公開研究会を開催いたします。残暑厳しい折ですが、多くの方のご参加をいただければ幸いに存じます。
日時
2007年8月29日(水)13:30から16:30まで(会場受付は13:00から)
会場
東京国立博物館 平成館小講堂(ご来館の道順は当館ウェブサイトからごらんください)
報告者
  • 横溝廣子 氏(東京藝術大学大学美術館 准教授)
  • 井上卓朗 氏(日本郵政公社郵政資料館 資料専門員)
  • 村田良二(東京国立博物館情報課 研究員)
各機関の所蔵品データベースの構築と利用に関する報告と、全体的な意見交換を行います。
参加お申し込み
参加をご希望の方は、(1)ご氏名 (2)ご連絡先(メールアドレスまたは電話番号) (3)おさしつかえなければ勤務先、在学校名等のご所属 をお知らせください。

宛先:
電子メール joho0829@cr.tnm.jp(半角英数字)
ファクシミリ 03-3822-8502
郵便:〒110-8712 台東区上野公園13-9 東京国立博物館情報課情報管理室
※受信したお名前、メールアドレス等の個人情報は、今後当館の研究会等の催しのご案内に利用させていただくことがございます。

【イベント】Historical Maps and GIS

名古屋大学環境学研究科が主催する“International Symposium on Historical Maps and GIS”と、人文地理学会・歴史地理研究部会の第108回研究会との共催とのことです。
  • 日時:8月23〜24日
  • 会場:名古屋大学東山キャンパス文系総合館7Fカンファレンスルーム
プログラムはこちら(PDF)。

しかし最近、研究会とかのサイトはブログかWikiが主流みたいになってきてるなぁ。

【イベント】歴史知識学の創成

こんなイベントの案内を頂きましたので、こちらでもお報せします。

歴史知識学の創成 科学史・文化史研究と歴史知識学

2007年9月15日(土)13:00~17:00 東京大学文学部215番教室
  • 基調報告
    • 石川徹也(史料編纂所・前近代日本史情報国際センター・教授)「歴史知識学の創成を目指して」
    • 佐藤賢一(電気通信大学・准教授)「『明治前日本科学史』と科学史研究のその後」
    • 末柄豊(史料編纂所中世史料部・准教授)「『大日本史料』における学芸史料」
    • 相田満(国文学研究資料館・助教)「『古事類苑』と和漢古典学オントロジ」
  • 研究報告
    • 「『明治前日本科学史』の検索システム構築-歴史情報を対象とする「知識の構造化」の具現例-」(史料編纂所・大日本印刷(株)共同研究プロジェクト)
    • 「『明治前日本科学史』を対象とする”日本の科学・技術者人物情報”抽出システム-明治前日本科学・技術者人物DB構築を目指して-」(史料編纂所・NTTデータ(株)共同研究プロジェクト)
詳しくはこちら(PDF)。

Tuesday, June 26, 2007

[ニュース] 3次元の古代ローマをフライスルー

WIRED VISION / 3次元の古代ローマをフライスルーなんてニュースがあったのでご紹介。

街をまるまるデジタル化したというだけでもなかなか興味深い記事だけど、それ以外でも、
Frischer所長はこの3次元モデルを、ローマ研究者たちがオンラインフォーラムとして利用できる「修正可能な『Wiki』」にしたいと考えている。
という部分には注目したい。市街ひとつをまるまるデジタル化するだけでなく、それを不特定多数の人がいじれるというのだ。この手の「よってたかって」何かをしようというプロジェクトは常に、異説をどうするか、複数の説を許容する場合のビューはどうするか、などの問題を抱える。このプロジェクトがどうなるのか、注目したい。

Wednesday, June 06, 2007

ゼミ旅行2007 in 天橋立

6月5日、3回生、4回生ゼミ合同で天橋立にゼミ旅行に行くことに。総勢17名(田中先生、2回生2名も参加)でにぎやかな感じである。

天橋立は世界文化遺産を目指しているらしい(→京都新聞電子版: 天橋立の国内暫定リスト追加申請へ 世界遺産検討委)。ちなみに3月まで花園大学に居られた山田邦和先生は、世界遺産検討委委員の一人らしい(→平安京閑話: 天橋立を世界遺産に!、の巻)。山田先生の話では、この会議に美術史ゼミの福島先生の書かれた本?が資料として出ていたらしい(福島先生は「天橋立図」で有名な雪舟の専門家)。なにげに花大に関係者が多い話題だったりする。それはともかく、情報歴史学はデジタル・アーカイブなどで文化財行政とつながっているが、今回のこのニュースは国内外の文化財行政に関して思いを巡らす良いきっかけである。

幸い天気にも恵まれ、渋滞もなく、最初の目的地である丹後国分寺跡と京都府立丹後郷土資料館へ到着。国分寺跡は、基壇跡だけが往時を偲ばせるものの、基本的には草ぼうぼうのありがちな更地なのだが (^_^;; 土地が割と斜面なのが興味深かった。個人的には、奈良仏教萌えということで、写真をとりまくる。

郷土資料館の常設展示は小規模(花園大学歴史博物館・第2展示室よりちょっと広いぐらい?)、民俗関係の資料が割とたくさん展示されていて、田中先生の解説に耳を傾ける。近くに民家も保存されていて、部屋に上がったり民具に触れたりできるのが、今時の展示って感じである(ハンズオンってやつですな)。展示について考えるのは、情報歴史学研究室: アートの大切さや情報歴史学研究室: 子ども文化教室でも書いたように、情報歴史学的に重要なテーマの一つである。ここに限ったことではないが、博物館・美術館の展示を観るのは、いろいろな面で勉強になるのである。

その後、天橋立の北側、籠神社(籠神社 - Wikipedia)へ。ここから各自自由行動で、1時間半後に天橋立の南側(智恩寺)に集合というシナリオである。とりあえず目の前に神社があるということで、皆でお参り。ちょうど茅の輪くぐり(茅の輪 - Google 検索)をやっていたので、皆でくぐる。

ちょっと脱線するが、神社の参拝の作法とかも、皆、意外に知らないんだねー。最近、細木数子氏が神社の参拝の仕方に異議を唱えたことについて、神社界から大きな批判を浴びたりしたけど(西野神社 社務日誌 - 二拝二拍手一拝という作法はとても勉強になる)、京都の大学の史学科の学生としては、そういうのも勉強しておいてもらいたいものである。

さてその後はいくつかのグループに分かれて、天橋立を観光。私のグループは砂浜をぶらぶら歩きながら、海に入ったり(したのは私ともう一人だけ (^_^;;)、木陰でご飯を食べたりしたのだが、けっこう強い日差しで、両腕は真っ赤に日焼けしてしまった。海はとてもきれいであった。

歩きながら、上に書いた世界遺産のことなど、「漁業をやってる人への影響は?」とか「海水浴場のままで、文化遺産にできるのかね?」とか言いながら、学生たちと議論する。実家では魚取りがどーのとか、しょーもない話をしながら、親睦を深めるのもまた旅行の目的の一つ。集合場所の智恩寺(ちなみに花園大学と縁の深い臨済宗・妙心寺派)は、小さいお寺ながら中世〜近世ぐらいのおもしろいものがたくさんあった。

Monday, June 04, 2007

ARCADIA解禁!

考古学の高橋先生から教えていただきました。
「千葉県における古墳時代中期関連の資料を中心にデータを収録しています」とありますが、よくある目録データベースではなく、研究文献全文データベースです。検索してみれば(例えば「鬼高」とかで)わかりますけどかなり膨大な量のデータが入っています。

しかも、GIS情報と結びついていて、地理的に近い遺跡や、Google Mapsと連携した周辺地図表示機能がまたすばらしい。

Sunday, May 13, 2007

情報処理学会・第74回人文科学とコンピュータ研究会発表会

言わずと知れた(知ってるよね? (^_^;;)人文科学とコンピュータ研究会の例会である。
5月25日(金)、龍谷大学瀬田学舎での開催なので、都合がつく情報歴史学コースの学生は、できるだけ参加すること。最新の成果に触れることで(その場では全然わけがわからなくても)必ず力になるのだ。

情報知識学会・第15回年次大会

東京での開催だが、情報歴史学関連の発表もいくつかあるので、紹介しておこう。
プログラム
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2007年5月25日(金)
12:30 受付開始
13:00〜13:50 総会
14:00〜15:40 一般発表(1)
  1 レファレンスデータに対するNDCの自動付与
○原田 隆史(慶應義塾大学), 江藤 正己(慶應義塾大学大学院),
大西美奈子(NRIネットワークコミュニケーションズ)
2. 引用論文における引用箇所間の近さをとらえる尺度
江藤 正己(慶應義塾大学大学院)
3 SRU/SRWを用いた教育図書館資料の書誌検索システムの構築
○江草 由佳(国立教育政策研究所),
高久 雅生(情報・システム研究機構 新領域融合研究センター)
4. 著者とキーワードの関連性に着目した研究領域ブラウジングシステムの試作
○レボウィッツ 紀子(筑波大学大学院), 松村 敦, 宇陀 則彦(筑波大学)
15:50〜17:30 シンポジウム「Web2.0時代の情報システム」
パネリスト : 岡本 真(Academic Resource Guide)
兼宗 進(一橋大学情報処理センター)
    (終了後、外部の別会場で懇親会開催を検討中です)

2007年 5月26日(土)
9:20〜10:35 一般発表(2)
5. 営みのLatticeの構造化とアブダクション
福永 征夫(アブダクション研究会)
6. 音楽著作権についての歴史的研究 〜革命期から19世紀のフランスを
    中心に〜
石井 大輔(筑波大学大学院)
7. 科学技術文献の解析・可視化における辞書の活用について
○甲田 彰, 坂内 悟(科学技術振興機構)
10:50〜12:05 一般発表(3)
8. ユーザの Web 閲覧履歴を用いた検索支援システム
○堀 幸雄(香川大学), 今井 慈朗(香川大学), 中山 堯(神奈川大学)
9. 古典籍説明文からのドメイン知識の抽出
○長塚 隆(鶴見大学), 神門 典子(国立情報学研究所)
10. 人文研究を支援するデータベースシステム-聖教検索および系図表示-
○朴明 哲(和歌山大学大学院), 森本 雅史, 立花 純児,
    村川 猛彦(和歌山大学),宇都宮 啓吾(大阪大谷大学), 中川 優(和歌山大学)
13:30〜14:10 論文賞表彰式 および 論文賞記念講演
14:15〜15:05 一般発表(4)
11. 科研費による研究助成の効果に関する調査
○柿沼 澄男, 西澤 正己, 孫 媛, 根岸 正光(国立情報学研究所)
12. キーワード分析による科研費におけるゲノムおよびナノテクノロジー
    関連研究の動向調査
○西澤 正己, 孫 媛(国立情報学研究所)
15:20〜16:35 一般発表(5)
13. 日本発行の科学技術雑誌数の分析
時実 象一(愛知大学)
14. 文化資源オントロジの構築とその活用
研谷 紀夫(東京大学大学院), 馬場章(東京大学)
15. ターミノロジー論における階層関係の概念について
山本 昭(愛知大学)
  • シンポジウム「Web2.0時代の情報システム」のパネリストである岡本さんは、大学などが公開しているデジタルコンテンツ、デジタルアーカイブについて調べる時には欠かせないAcademic Resource Guideの編集人。メーリングリストには今すぐ登録せよ(ブログのRSSとかを何かに登録してもいいけど)。下の本も有益:
  • 6の話は、古典テキストの校訂を著作物と認めるかどうか、という論点につながりそうなので興味深い。石岡克俊「音楽/楽譜の校訂と著作権法(前編) 校訂権とその周辺(その二)」(『漢字文献情報処理研究』7)参照。
  • 9、10、14は情報歴史学系の発表。特に10は、3回生ゼミでこの間読んだ系図のデジタル化の問題の続きなので、要注目。
  • 15の「ターミノロジー」とは、専門用語学とでも訳すことができるものだが、データベースでキーワード検索などの機能を開発する際、必ずドツボにはまるのがキーワード間の関係をどうやって記述するか、ということ。この問題に取り組んでいるのがターミノロジー。下記文献参照:
ということで、なかなか興味深い発表が多いのである。

Wednesday, April 25, 2007

mixiにコミュを作りました

mixiに「情報歴史学コース」コミュを作りました。
mixiのIDが欲しい人は招待状を送るので、連絡して下さい(入会したら携帯電話でもできるけど、登録にはパソコンのメールアドレスが必要なので注意)。

Wednesday, April 18, 2007

情報歴史学コース全体指導

学内掲示板に掲示が出ていると思いますが、来週火曜日18時から、情報歴史学コース所属学生全員(2〜4回生)と担当教員による全体指導を行います。
  • 日時:4月24日(火)18時〜
  • 場所:返照館302教室
情報歴史学コースでの授業や返照館302教室の使用などに関する大切な会議ですので、特別な理由がない限り欠席しないようにしてください。また、ゼミ旅行に関する打ち合わせも予定しています。

なお、全体指導終了後、懇親会を予定しています。

Tuesday, April 10, 2007

情報知識学会 人文・社会科学系部会研究会のご案内

以下の案内を頂く。博物館情報学はちょっと興味があるので、参加したいのだが、その日は仕事なんです(涙)。田良島さんは情報歴史学業界の重要人物(チープな表現ですいません)の一人。最近では、歴史地震史資料の電子化などでご活躍(http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/chikyu_0511.htmlなど参照)。

情報知識学会 人文・社会科学系部会研究会のご案内

しばらく研究会の開催が滞っておりましたが、新しい企画として「博物館と情報」をテーマに若手の研究者から話題を提供していただきます。広くご参加を歓迎いたします。(部会担当:田良島 哲)
日時
2007年4月21日(土)15:00~17:00(14:30受付開始)
会場
東京国立博物館 平成館小講堂(台東区上野公園13-9。博物館「西門」から入館してください)。
※交通と地図はこちら http://www.tnm.jp/jp/guide/index.html
プログラム
  • 15:00 主催者あいさつ
  • 15:05-15:45 「博物館・美術館におけるデジタル画像に対する意識について―館種、規模、デジタル化達成率の違いによる意識の差―」
    奥本素子(総合研究大学院大学 文化科学研究科)
  • 15:45-16:25 「人文系博物館の目録情報の現状―都道府県博物館への調査結果より―」
    北岡タマ子(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科)
  • 報告終了後、自由討議
参加方法
どなたでもご参加いただけます。
参加希望の方は、stara@nifty.com(半角英数字)あて ご氏名・ご連絡先(email・電話・Fax等)をお知らせください。
文書でご連絡の場合は 110-8712 台東区上野公園13-9 東京国立博物館情報課気付 田良島 あて にお願いします。
※お預かりした個人情報は、次回以降のこの会合の連絡にのみ使用します。

Friday, April 06, 2007

Digital Humanities Quarterly

日本語訳すれば『季刊デジタル人文学』。人文学とコンピュータとの関わりについて幅広い視点から論じた論文をオンラインで公開する電子ジャーナル。英語だけど、がんばって読んでみる価値はあると思うぞ。

Digital Humanities Quarterly

日本アーカイブズ学会2007年度大会

日本アーカイブズ学会2007年度大会
  • 日時:2007年4月21日(土)13:00−17:00、4月22日(日) 9:30−18:00
  • 会場:学習院大学(JR目白駅下車5分)
詳しくはhttp://www.jsas.info/rightFrame/right1/070324/LatestN.htm参照。関西だったら行くのにね。

Monday, April 02, 2007

「美濃部家屋敷図」の出典など

情報歴史学研究室: 【講義メモ】コンピュータで遺跡を復元するで紹介した藤井君のCGについて、明石観光協会から問い合わせがあった。なんでも、明石の歴史について勉強されているボランティアガイドの方がこのブログを見て、どのような資料を使ったのか知りたいと観光協会に問い合わせをされた由。藤井君に代わり、観光協会の方には電話でご連絡をしたが、ブログでも答えられる範囲でお答えしたいと思う(以下の情報は藤井君の卒業論文に基づくものであり、このエントリを書くにあたって当該文献や明石市立文化博物館等を直接(再)確認しているわけではないので、そのあたりはご了承いただきたい)。

「美濃部家屋敷図」の出典

明石市立文化博物館『発掘された明石の歴史展―明石城武家屋敷跡―』(明石市立文化博物館、1996年)に掲載。

「美濃部家屋敷図」に東西南北の表示はあるか?

あります。

「美濃部家屋敷図」から敷地の広さ、縦横の長さなどはわかるか?

大雑把な情報は得られるが、正確な数値はわからない。CGを作る際には、発掘調査報告書などを利用している。いくつかあげると:
  • 明石市立文化博物館『明石市明石城武家屋敷跡 I』第1分冊(明石市教育委員会、1994年)
  • 兵庫県教育委員会埋蔵文化財調査事務所『明石市明石城武家屋敷跡』第109冊(兵庫県教育委員会、1992年)
  • 稲原照嘉「明石城の発掘調査」(『信濃』第52巻第10号、信濃史学会、2000年)
  • 前掲『発掘された明石の歴史展―明石城武家屋敷跡―』

建物の高さの推定

「美濃部家屋敷図」は平面図であるため、これからは高さなどは推定できない。しかしながら、幸いにして昭和初期の写真が残っており、塀の高さなどについては大まかに知ることができる(前掲『発掘された明石の歴史展―明石城武家屋敷跡―』所収)。それ以外には、現存する同時代の武家屋敷や、“建築指図”と呼ばれる史料(設計図みたいなもの)などから推定している。

この例に限ったことではありませんが、一般に「復元」と言っても、各種史資料を研究者が解釈し、多分に恣意を交えて構成したものであるということをご理解いただければ幸いです。

Saturday, March 31, 2007

CH74@滋賀

情報処理学会・人文科学とコンピュータ研究会が情報歴史学にとって重要な研究組織であることは、情報歴史学コースに所属している諸君であればすでに知っている(よね? (^_^;;)ことと思うが、その第74回研究発表会が、5月25日(金)、龍谷大学瀬田学舎(滋賀県大津市)で開催される。

プログラムやアクセス方法についてはリンク先からたどってほしいが、都合がつく学生は是非参加して、最先端の研究発表に触れてほしい。

この研究会は年に1度は関西で(つまり、花大の近郊で)開催されるが、この手の研究発表の場がこのように近場で開催されるということを当たり前だと思うのは間違いである。やはりこの日本は東京中心なので、一般的に言えば重要な学会や研究会、シンポジウムなどは東京で開催されることが多いし、場合によっては国外で開催されることも少なくない(可能ならば遠征もしてほしいけど)。それに対して、情報歴史学系の学会、研究会は割と関西で開催されることが多いので、地の利を活かして経験値を積んでほしいのである。

Saturday, March 17, 2007

2006年度学位授与式

今年も無事、3名の卒業生を送り出すことができた。卒業おめでとう!

卒業式の式辞と言えば退屈なものと相場が決まっているし、そもそも毎年卒業式に出続けている身としては(卒業生たちと違って)新鮮さもないわけだが、今日の同窓会長の式辞は、私が情報歴史学ゼミでずっと言い続けてきたことに重なるような気がして、ちょっと感慨深かった。

…臨済禅師がまだ若かった頃、ある寺の住職に手紙を届けるお使いを頼まれた。その寺に行って玄関番に手紙を渡すと、その玄関番は恭しく手紙を受け取った。そして玄関番は臨済に言った。「この手紙は確かに受け取りました。ところで、あなたの手紙は?」…

歴史研究においては客観的、実証的であること、主観的でないことが求められる。「君の考えを聞きたいわけじゃない、史料にはどう書いてある?」云々。一方、私はゼミで何度も「どうしてそれをやるのか?」「どうしてそのデータベースを作るのか?」を何度も問うてきた。玄関番の「あなたの手紙は?」とある意味同じだ。両者は一見対立するようだが、決してそうではない。

ともあれ、卒業おめでとう!

Wednesday, March 07, 2007

東洋学へのコンピュータ利用・第18回研究セミナー

京大で行われる毎年恒例の東洋学へのコンピュータ利用・第18回研究セミナー(3月22〜23日)が開催される。プログラムはこんな感じ。
  • 22日
    • 13:30〜13:40 開会挨拶
    • 13:40〜14:20 曖昧な「唐代」概念…山田崇仁(京都大学)
    • 14:20〜15:00 唐代官制の概念モデリングの試み…白須裕之(京都大学)
    • 15:20〜16:00 「唐代の行政地理」に関する「史料」問題…牛根靖裕(京都大学)
    • 16:00〜16:40 唐代人物知識ベースの現在…山本一登(京都大学)
  • 23日
    • 10:30〜11:10 東洋学文献デジタルアーカイブの色彩学的諸問題…當山日出夫(花園大学)
    • 11:10〜11:50 人文科学研究におけるGoogle Earthの使い道…師茂樹(花園大学)
    • 13:10〜13:50 朝日字体の終焉…安岡孝一(京都大学)
    • 13:50〜14:30 インターネットリソースとしての仏教文献…永崎研宣(山口県立大学)
    • 14:30〜15:10 UCSの統合漢字から見る包摂規準…川幡太一
    • 15:30〜16:10 UCSにおける甲骨文字収録の意義と問題点…小形克宏(うさぱら)
    • 16:10〜16:50 インターネット・リサーチで文字用例をさがす…高田智和(国立国語研究所)
    • 16:50〜17:00 閉会挨拶
1日目は唐代知識ベース関連の特集である。中国史ではあるが、歴史学における知識(人名とか地名とか諸々の情報)を有機的に関連させながらコンピュータ上で表現するにはどうすればいいか、というような問題に取り組んでいる人たちによる報告である。情報歴史学的に、極めて重要な問題である。

2日目には私もGoogle Earthやら安土桃山時代の京都がらみで発表する。地理情報システム(GIS)を知識表現で使うには?みたいなことを話す予定。

情報歴史学コースの諸君には、是非参加してほしい。

Thursday, February 08, 2007

口頭試問終了

卒論の口頭試問が終わりました。以下、簡単に総評。

大亀さんの「確率統計的分析による大工道具の地域的分布の研究」は、大工道具の寸法や地域などに関するデータベースを作成し、それを相関分析やクラスター分析などをすることによって、地域差を見いだしたり、地域が不明な大工道具について推定してみようというもの。物質史料の計量的研究として方法論的に枯れている(確立している)し、レコード数も5,580件と個人レベルではかなり多いので、ベースは高く評価できる。一方、実際の分析においては、例えば高い相関が出ているデータについてどのように解釈するか、などの点が抜けており、本格的な研究はこれからという感じである。また(大亀さんも認識していることだが)最終的には地域的な分布だけでなく、歴史的な変遷などにも目を向けなければならないだろうし、本格的な研究にはサンプル数も偏りなく、もっと多い方がいい。卒論にそんなハイレベルなことを求めるのは酷かもしれないが、逆に言えばそのような発展が容易に想像できるぐらいの質の高いデータベースであるとも言える。

林さんの「ケガレ研究文献データベースの作成 〜学際的交流を目指して〜」は、従来、歴史学、民俗学、宗教学、人類学、社会学、文学、部落問題研究などの様々な分野で議論されてきた「ケガレ」の問題について、学際的な交流が必要だという問題意識の下、それを活発化させるためのシステムのプロトタイプを作ってみました、というもの。研究文献データベースを軸に、最近流行の集合知を実現するための仕組みとして、コメント機能を追加した。集合知については大向一輝「Web2.0と集合知」にあるように、単にコメントがつけられるだけでなく、集約性が重要である。しかしながら、林さんのシステムではコメント機能しかなく、各分野の「ケガレ」概念を統合したり、共通認識を醸成するような仕組みが明示的には存在しない。また、データの件数も、研究者を集めるためには少ないと言わざるを得ず、今後の開発にかかっていると言える。

大本さんの「前田利家に関する論文・書誌データベース」は、前田利家関連の書籍にマンガや一般書、観光案内のようなものが多く、歴史研究者、特に初学者にとって情報を収集しやすい状況ではないという状況を踏まえ、主に歴史研究を始めたばかりの学生を対象に前田利家に関する学術論文のデータベースを構築した、というもの。コンセプトは理解できるが、このコンセプトを実現するための方法に問題があるように思われる。すなわち、コンセプトを明確にするために、データベースに収録する対象(論文など)と利用者を厳しく限定した結果、レコード数が少なく、一部の人(花園大学史学科の学生)しか利用できないものができあがってしまった。せっかく作ったものも、利用されないのでは意味がない。むしろ、データ化の対象や利用者の制限を緩くして、コンセプトにあった絞り込みが可能なデータベースにした方がよかったのではないだろうか。

Wednesday, February 07, 2007

シンポジウム「知の構造化と図書館・博物館・美術館・文書館」

東京大学創立130周年記念公開シンポジウムだそうです。「図書館・博物館・美術館・文書館における知の組織化」がテーマらしい。シンポジウムのタイトルには「構造化」とあり、趣旨説明には「組織化」とあるが、「構造化」と「組織化」は同義語ということなのだろうか?

それはともかく発表内容はというと、
  • 早乙女雅博(人文社会系研究科)「高句麗古墳壁画の模写資料」
  • 馬場 章(情報学環)「文化資源統合デジタルアーカイブの試み」
  • 石川徹也(史料編纂所)「学術活動成果の集積としての知識データベース」
ということで、かなり情報歴史学的である。ぜひ聞きにいきたいところだが、2月17日に東京出張は無理だなぁ。

Sunday, February 04, 2007

情報歴史学の教育に挑む

国立歴史民俗博物館が発行している『歴博』No. 140は、特集「コンピュータ歴史学の歴史」である。
  • [巻頭言]鈴木卓治「地道にそして着実に」
  • 田良島哲「コンピュータ、ネットワークと歴史研究 —これまでとこれから—」
  • 横山伊徳「私のデジタル化戦略 コンピュータで史料編纂所の二〇年を歩む」
  • 師茂樹「情報歴史学の教育に挑む」
  • [コラム]照井武彦「歴博コンピュータ奮戦記」
  • [コラム]五島敏芳「真の〈デジタル〉アーカイブ構築への挑戦 —資料目録電子化の現場から」
どれも興味深い記事であるが、その中で私も情報歴史学コースのことについて書かせてもらっている。原稿締切が去年の秋だったので、紹介しているゼミ生諸君の研究テーマも2005年度卒業生のもの(川畑君の「織田信長と朝廷に関する論文データベース」と藤井君の「明石城武家屋敷の3D画像作成」)や、研究会で作ったQRコード+携帯電話の博物館閲覧支援システムなど)が中心である。

この中では、「情報歴史学は補助学か?」という問い(この問いについては、ゼミの中で何度か議論したことであるが)に、次のように答えてみた。
筆者の考える情報歴史学は、まず第一には、歴史学のある研究分野の方法論や伝統について分析し、それをコンピュータを使って記述する(≒データベースを作成する)という学問である。それは、対象となった研究分野の研究者から見ればツールが提供されたように見えるだろう。しかし、データベースとして表現された方法論や伝統が暗黙のものであった場合、それが視覚化されることによって新たな議論、すなわち方法論的な反省が発生する契機となる場合もあろう。それをふまえて第二には、従来の研究方法を相対化できるような新しい方法を模索し、それによって歴史学の研究を行うことである。以上のことから、筆者は、情報歴史学は補助学ではないと考えている。

私が書いた記事以外も(の方が?)おもしろいので(横山先生のはなんとパンチカードから!)読んでみてほしい。

なお、情報歴史学コースについては、他にも以下のような紹介記事があったりする。

Tuesday, January 30, 2007

日本史の一級史料

山本博文氏の『日本史の一級史料』(光文社新書)は、全体的に薄味な感じで、まとまりも感じられないが、文献史学という分野をほとんど何も知らない人が、どんなことをしているのかを(近世史中心だが)イメージするのにはいいかもしれない。また、東京大学史料編纂所でどんな活動をしているのか、『大日本史料』などがどんな感じで編纂されていて、データベースがどのように作られているのかなどが、簡単に紹介されており、最初のとっかかりの本として有用だろう。



史料編纂所のデータベースを含む文献史学系のデータベースについてもう少し詳しく知りたい場合には、ちょっと古いけど『人文学と情報処理』25(特集:歴史学系データベースと文字コード)とか『人文学と情報処理』22(特集:日本史研究の情報化)あたりでまとまって読める。あとはいろんな雑誌や書籍にバラバラに入ってたりするので、探してみよう(情報処理学会・人文科学とコンピュータ研究会の研究報告やシンポジウムの論集などから始めるのが吉)。

Tuesday, January 23, 2007

【シンポジウム】「文理融合」による新「知識資源学」の創成

3月1〜3日に行われる東京工業大学のイベント。
おもしろそうな発表があるので、大学の行事がなければ行きたいところだが。

ところで、ここで言う「文理融合」というのはどういう意味なのだろう。このイベントに限らず、いろいろなところで「文理融合」という宣伝文句を聞くようになったが、理系の人が文系の人の研究対象を理系の方法で研究する、というのが多いように思う。でも、方法が理系ならそれは理系の研究だよなぁ、と思う——例えば、歴史学の人がコンピュータの歴史を研究しても「文理融合」とは言わないように。

私個人の考えでは、情報歴史学は「文理融合」ではない。もうちょっと正確に言うと、そもそも文・理は「融合」させなければいけないほど離れたものではなく、対象も方法も重なっているところが多い。ところが各分野の専門化、細分化、蛸壺化が進んで、「重なっているところ」が見えにくくなってきた。ところがコンピュータの登場によって、「重なっているところ」が見えやすくなった。情報歴史学はその部分なんだろうと思う。

以下にあげる本は、文学の研究書だけれど、そういう「重なっているところ」的な雰囲気に溢れたものでおすすめである(ちなみに、物語理論は歴史学においても重要なので、おさえておきたいジャンルである)。



ちなみに、翻訳した岩松先生は国文学科で非常勤講師をされている。実はこっそり花大系なのである。

Wednesday, December 20, 2006

斑鳩・飛鳥巡見

ある日の3回生ゼミで、こんなやり取りがあった。周りの景観も含めてキトラ古墳を3DCGで再現しようと考えているゼミ生に「キトラ古墳って、実物を見たことある?」と聞いたら、見たことがないという。また、丹波国分寺の復元を考えているゼミ生に「(丹波国分寺と同じ伽藍配置の)法起寺って、行ったことある?」と聞いたら、行ったことがないという。近いようで遠いような微妙に行きづらいところとは言え、やはり現地を見ないことには再現とか復元とかを云々することはできない。その場で「じゃあ、皆で行くか?」ということで、その場で遠足が決定した。

12月19日、快晴。3、4回生合同編成のツアーで、残念ながら2名の欠席者(発熱+寝坊のドタキャン!)があったものの、マイクロバスで大学を出発。途中懸念された渋滞等もなく、順調な滑り出し。車内では、就職どうする?とか、結婚ってしたくない?とか、卒業が見えてきた学生らしい話題で盛り上がる。

法隆寺ICを降り、法隆寺をスルーして最初の目的地である法起寺に到着。法隆寺と比べると未整備な感じで、我々以外の観光客もいないが、法隆寺などとセットで世界遺産に指定されている。

飛鳥時代からほぼそのまま残っているという国宝の三重塔は、かなりの迫力である。法隆寺の五重塔とほぼ同じ大きさ、構造のまま三重塔として建てられているということで、線が太いダイナミックな印象。皆で境内を歩き回ったり写真を撮ったりしていたら、寺務の方が「塔の柵を越えて中を見ていいよ」と声をかけて下さる。皆で興味津々、塔内部の構造をじっくり見学し、昭和の大修理をめぐる寺務の方のお話を聞く。感謝感激。丹波国分寺を研究テーマとしているゼミ生も、何かをつかんでくれたようである。

続いてはキトラ古墳。途中、耳成山や畝傍山が見えて、飛鳥に来た気分になる(万葉集が自然と口をついたりすると格好いいのだが、などと、こういうときにはよく思う)。

つい先日「寅」のはぎ取りが行われたキトラ古墳(の入り口の方)は、写真のように建物で覆われ(AKIRAのようだ)、史跡とはとても思えない異様な雰囲気である。建物の入り口付近に掲げられた「ここがキトラ古墳です」という小さな看板が、この異様さを雄弁に物語っている。デジタルアーカイブなどとも無関係ではない、文化財行政に思いを馳せる。

キトラ古墳はもちろん、中を見ることはできない。今回ここに来た目的は、景観復元の参考にするためである。もっとも、周囲は高低差が大きなぼこぼこした地形であり、50mメッシュぐらいの標高データでは全然だめな感じである。私は、韓国の事例から、もうちょっと平らなところではないかと勝手に想像していたので、やっぱり現地に行くことは重要だと改めて思う。

最後の目的地は、奈良文化財研究所の飛鳥資料館である。ここでしか買えないキトラ古墳関連の図録などがあるので、件のゼミ生は大人買いモードである。

つい先日、和歌山で両面の埴輪が見つかったこともあり、『日本書紀』の両面宿儺の記事を思い出しつつ、資料館前庭の両面の石像(レプリカ)に見入る(気分は宗像教授)。展示の中では、山田寺の東回廊の復元がおもしろかった。

一通り見終わったあとは、おみやげを買って帰路につく。マイクロバスでの移動だったが、皆ぐったり。お疲れさまでした。

Wednesday, December 06, 2006

シンポジウム「歴史が蘇るデジタル・アーカイブ」

国立公文書館の資料を中心にデジタル化と公開を行っているアジア歴史資料センターが、下のようなイベントをやるようだ。日時は12月8日(って今週やんけ!)、場所はなんと赤坂プリンスホテル (^_^;; 金あるー。まあ、冗談はともかく、技術的にどうこうというイベントではなく、歴史学の研究者がこれを使ってこんなことができる、こんなことがわかった、みたいなイベントのようである。
このデータベースは近現代史をやってる人にはウハウハなものらしいので、参加して是非、活用事例などを聞きたいところだけど、仕事があるので東京までは行けないなぁ。

Saturday, November 25, 2006

Google Earth、古地図に対応

すでにいろいろなところで報じられているが、おなじみGoogle Earthが古地図に対応した:
詳細はこの記事にリンクしているサイト群をたどってほしい(日本語のやつだけで十分)。

情報歴史学な皆さんとしては、現代の地図と古地図との重ね合わせとかについてはすでに目にしていると思うし、それに関する論文なども紹介していると思う(今年はしてないっけ?だったら来週あたりちょっと紹介しよう)。

この手のものでは古地図を現代の地図にあわせるようにゆがめて重ねるわけだけど、これって実はいろいろな問題を抱えている。そもそも、現代人が普通だと思うような空間把握を昔の人はしていなかったので、古地図は「不完全な地図」ではなく「現代人が考える地図とは別の何か」だ。そのへんのことについて理解(というか、自覚)していないと、歴史研究としては全然意味のない結果が出てしまうことがある。

Friday, November 24, 2006

3回生のレポート課題

今年の3回生ゼミのレポート課題は、
  1. 今年のゼミ発表を三段構成法でまとめる(12,000字)
  2. 以下にあげるイベントのどれかに参加し、研究発表や展示を一つ選んで概要と批評を書く(2,000字)
の二つである。2つ目の「イベント」とは、以下の通り。
批評というのは、感想文ではないので、そこのところよろしく。

Sunday, November 12, 2006

電子メディアを飼いならす

以前紹介した情報歴史学研究室: ベトナムの祖先祭祀や情報歴史学研究室: マルチメディアによる民族学で述べたマルチメディアによる民族学での研究は、要するに様々な媒体の記録や資史料(文字、写真、音声、動画)をコンピュータ上でまとめた、という感が強い(1990年代のマルチメディア・ブームが影響しているのであろう)。

しかしながら、この手の研究はその後興味深い展開を見せる。単に便利なツールとしてメディアを使うのではなく、そもそも現代の様々なメディアで民俗学・民族学・文化人類学が対象とするような情報が流通し、研究者だけでなく研究される側(伝統芸能の担い手とか)もそれを受容している(場合によっては積極的に活用している)という状況をどう考えるべきか、あるいは、例えばマルチメディアを使って民族学等の情報をインターネットで流すという行為は何を意味するのか、というような問題が検討されるようになったのである。代表的な本を一冊、紹介しておこう:



このような問題の一端については、授業で新谷尚紀「映像民俗誌論―『芸北神楽民俗誌』とその制作の現場から―」(『民俗学の資料論』、吉川弘文館、1999)をとりあげた際にも議論したし、私もいくつか発言をしている(赤間亮・川村清志・後藤真・野村英登・師茂樹「人文科学にとっての“デジタルアーカイブ”」〔『人文科学とコンピュータシンポジウム 論文集』、2004〕、師茂樹「「デジタルアーカイブ」とはどのような行為なのか」〔『情報処理学会研究報告』Vol. 2005, No. 51 (2005-CH-66) 一部訂正あり〕)ので参照してもらいたい。

この本に収録されている論文の多くは、クリフォード・ギアーツの『文化の読み方/書き方』を参照している。読みやすい本なので、こちらもぜひ読んで欲しい。



「文化を書く」ということは、民俗学などだけの問題ではない。歴史学全般、ないし人文学全般に関連する問題である。情報歴史学でやっている、例えば遺跡の3D再現などはまさに「文化を書く」という行為そのものだ。我々は「電子メディアを飼いなら」しつつ、「文化を書く」ことについて考え、実践しなければならないのである。

Tuesday, October 24, 2006

マルチメディアによる民族学

情報歴史学研究室: ベトナムの祖先祭祀の続き。

『国立民族学博物館調査報告』35・大森康宏編<マルチメディアによる民族学>には、コンピュータ技術を使った民族学/民俗学、文化史学、文化財保存科学などの問題が論じられており、興味深い一冊である。末成さんのベトナムの論文も載っているし、江戸文化に関するものもある。

史学科の共同研究室にもあるので、是非読んでほしい。

ベトナムの祖先祭祀

末成道男『ベトナムの祖先祭祀 潮曲の社会生活』(1998年)にはCD-ROMがついている。CD-ROMの内容紹介によると、
フィールド調査で得た映像・文書・その他の資料を「マルティメディアの民族誌」として編集することをめざしたが、時間等の制約もあって実験的な試みにとどまっている。
とのことであるが、現在も模索されているオンライン民族誌のご先祖にあたるとも考えられ、研究史的に興味深いだろう。

Wednesday, October 18, 2006

鎌倉遺文フルテキストデータベース公開

東京大学史料編纂所が鎌倉遺文フルテキストデータベースを公開した(ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版 - 東京大学史料編纂所、鎌倉遺文フルテキストデータベースを公開経由で知りました。いつも感謝です)。

『鎌倉遺文』について知らない学生はちゃんと調べておくように。それがわかれば、インパクトの大きさがわかろうもの。

Tuesday, October 17, 2006

『漢字文献情報処理研究』第7号

『漢字文献情報処理研究』第7号が出版された。この号では、
  • 師茂樹「情報歴史学のこれから 花園大学・情報歴史学コースの4年間をふり返って」
という記事を書かせてもらった。最近、情報歴史学コースのことについて書いてくれという依頼がいくつかあって、注目されていることがわかる。ゼミでやってることを中心に書いたので、興味のある人はぜひどうぞ。

なお、この号ではWikipediaやGoogleなど、所謂Web 2.0系の記事も多い(私も少し書いている)。人文科学でも注目すべき話題だと言うことだ。このあたりも是非読んでほしい。

Saturday, October 07, 2006

ゼネティック・コンピュータ、文 脈をもった本棚

奈良県立図書情報館が、おもしろそうなことを始めるようである。
Zenetic Computerは、以前高台寺でイベントがあったときに情報歴史学コースの学生(卒業しちゃったけど)と見に行ったことがある。感想はもろ式: 読書日記: ZENetic Computerに書いた通り。

むしろ気になるのは、同じ図書館の電子図書街の方である。これは、
有史以来コンテンツを表現し続けてきた「書物」をあらゆる情報の基本単位として捉え、電子化された図書を分類・格納する様々なテーマ別の「本棚」を「道」 「界隈」「広場」などの中に配置してバーチャルな"街"を構成するというものです。図書館の分類とは異なり、図書同士、本棚同士が横のつながりを持ち、文 脈をもった本棚を形成するというものです。
というもの。図書に限らず、何かを分類したり整列したりするというのは、それをする人の世界観の表現であったり、社会的な心性の表象だったりする(整列のことを英語でorderというが、この単語には「秩序」とか「階級」とか「命令」といった意味もある)。例えば、辞書の項目がabc順とかあいうえお順で並んでいるのは、辞書の歴史をふりかえればone of themに過ぎない。

書物の目録を作成する場合に、コンピュータを使えば伝統的な方法(あいうえお順など)以外の、従来の方法に縛られない様々な並べ方で作成することもできる。例えば、歴史学系では、敦煌文献をデジタル化しているThe International Dunhuang ProjectがMap Searchという地図ベースのオンライン目録を開発し、従来の目録とは違う形を提案しようとしている。このような点をふまえて、上の引用にある「文 脈をもった本棚」というのがどのようなものなのか、実際に見に行くことは勉強になるだろう。

Tuesday, September 26, 2006

国際シンポジウム「アーカイブスの新指向」

後藤真先生からのお知らせ。

大阪市大の21世紀COEプログラム「都市文化創造のための人文科学的研究」が、国際シンポジウム「文化遺産と都市文化政策」を開催するが、その分科会として「アーカイブスの新指向」というシンポジウムが開催される。

9月30日 国際シンポジウム分科会(会場:大阪市立大学・杉本キャンパス・全学共通教育棟)
「アーカイブスの新指向」 / 13:00-17:00 830教室
入場無料
  • 鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
    「歴史資料のデジタル化に関する経験—歴史資料のデジタルアーカイブを考える手がかりとして—」
  • 松村寛一郎(関西学院大学)
    「The Concept of Future Facts Book—持続する地球の実現にむけて—」
  • 森洋久(大阪市立大学)
    「大阪とアジアの都市文化情報システムの試み」
  • 後藤真(大阪市立大学COE研究員)
    「上田貞治郎写真コレクション—都市文化とデジタル・アーカイブ—」
森洋久さんは、授業でもとりあげた(はず)GLOBALBASEの開発者ですね。

Thursday, September 14, 2006

鈴鹿関のGIS化

yaaさんの宮都研究:鈴鹿関報告-8 GIS化への過程をお楽しみ下さいの条が興味深いので(その前後の記事もあわせて)是非読むべし。発掘調査と平行しながらGIS化がされているのであるが、そのライブ感がブログの簡単な記事だけでも伝わってきて感動的。

山田先生の平安京閑話: 鈴鹿関を睥睨する、の巻経由。感謝。

GIS化においては、航空写真を貼付けてるみたいですね。よくやるテクニックです。

Tuesday, September 12, 2006

国の記憶装置としてのデジタルアーカイブ

以下のような興味深いイベントがある。東京での開催だが、リンクを貼っておこう。

情報知識学会 月例懇話会 (2006/09)
講師:国立公文書館アジア歴史史料センター・主任研究員
   牟田昌平氏
題目:国の記憶装置としてのデジタルアーカイブ
   —アジア歴史史料センターと公文書館デジタルアーカイブの経験を踏まえて—

Saturday, September 09, 2006

【講義メモ】コンピュータで遺跡を復元する

京都の大学「学び」フォーラム2006という受験生向けのイベントで、「コンピュータで遺跡を復元する」という題のミニ講義をしてきた。せっかくなので、どんな講義をしたか、簡単にメモしておこう(ちゃんとしたメモを残しているわけではなく、記憶で書いているところがあるので、その辺はご容赦されたい)。

花園大学・文学部・史学科・情報歴史学コースでは、コンピュータを使った様々な歴史研究に取り組んでいる。皆さんがコンピュータを使った歴史研究と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、コンピュータグラフィックスで再現した古代の遺跡などではないだろうか。もちろん、情報歴史学コースでやっているのはそれだけではないが、一つの例としてコンピュータで遺跡を復元することの楽しさ、難しさについて紹介したいと思う。

なぜ復元するのか

コンピュータでの復元を考える前に、なぜ復元するのか、という問題について考えてみよう。我々は、博物館に行って復元模型を見たり、NHKの番組などでコンピュータグラフィックス(CG)による遺跡の再現などをよく目にするし、それについて疑問を持ったこともないだろう。しかし、復元模型などがそもそも何を目的にしているのか、どういった背景で行われているかをきちんと考えないと、ちゃんとした復元もできない。

失われてしまった遺跡や遺物を模型やCGなどを使って復元する理由としては、一般に次のことが言われている。
  • 可視化による仮説形成
  • 文化財の保存と公開
一つ目の「可視化による仮説形成」の中の「可視化」というのは、「見えないものを見えるようにすること」である。ここで言う「見えないもの」というのは、だいたい次の3つがある。
  • 普通は見せないもの
  • 事実上見られないもの
  • そもそも見えないもの
    • 存在しないもの
    • 見えないもの
「普通は見せないもの」というのは、例えば建築物の屋根裏や床下などのことである。建築技法に興味がある人にとっては是非見てみたい部分だったりするのだが、そういう部分を普通は見せないし、見せたとしても見えにくい部分である。だから模型などで見えやすくする。

次の「事実上見られないもの」というのは、例えば遺跡や遺物の断面などである。もちろん、物理的には国宝をまっ二つに割ってしまうこともできるのだが、実際には無理な話である。あるいは、二つの古墳を横に並べて上から見るというのも、絶対に無理とは言わないが、やはり事実上無理な話である。もともと金ピカだった奈良の大仏を、もう一度金ピカにしたいと言っても、東大寺のOKは出ないだろう。だから模型などを作って身代わりになってもらうのである。

最後の「そもそも見えないもの」には「存在しないもの」と「見えないもの」をあげているが、前者は完全に失われてしまった遺跡や遺物などのこと、後者は温度や湿度などのような視覚的ではないもののことである。左の図は、文書が似ているか似ていないかを、文書どうしを結びつけているバネの力の違いで表現したもので、四角が文書、赤い線がバネを表している。似ているどうしは強いバネで繋がっているので自然と近づくから、どの文書とどの文書が似ているか、グループを作っているかなどが直感的にわかるようになっている。

次の「仮説形成」というのは、簡単に言うと研究のアイデアを発掘することである。例えば、断面を見たり、二つの遺跡を並べて見たり、バネでつながった古文書を見たりすることで、新しい研究のアイデアが浮かんだりする。また、研究者じゃなくても、抽象的だったり訓練が必要だったりすることが直感的にわかったりするようになる。これが可視化の大きなメリットである。

もうひとつの「文化財の保存と公開」というのは、文化財の保存と公開というものが往々にして矛盾する、ということからきている。なぜ矛盾するのか? 文化財を修復したり展示をしたり公開をしたりするときには、壊れたり劣化したり無くなったりするリスクを常に抱えている。光を当てると変色したりするし、運搬する際には落とす可能性がある。修復する際には、逆に作業者が破壊してしまう可能性もある。古い建築物であれば落書きをされる可能性だってあるし、「美しすぎるから」と言って放火をする人も(ごくまれにだが)いる。保存ということを考えると、下手に修復したりしないほうがいいし、公開もしない方がいい。でも、税金などで運営している博物館が展示を一切しないというのもおかしな話だ。

(※ さらに深く考えると、そもそもなぜ保存するのか?という問題に直面するが、ここではとりあえず棚上げにしておく。)

そこで模型やCGなどによる復元や複製が大きな意味を持ってくる。模型などの場合は、博物館の来場者に触ってもらうこともできるし(ハンズオン・ミュージアムなどと言って、特に子どもたちの博物館学習などに)、コンピュータ技術を使ったものはデジタル・アーカイブなどと言われ注目されている。土器のかけらをつぎはぎにしたものを恐る恐る見せるよりは、最初から作り直した「新品」や、壊れる心配のないCGを見てもらう方が、見せる方も見る方も心置きなく文化財(に関する知識)に接することができる。

なぜコンピュータを使うか?

では、なぜコンピュータを使うのだろうか? それはデジタルデータの場合、
  • 修正が容易
  • 加工(応用)が容易
  • 配布が容易
というメリットがあるから、というのが、よく言われている。最新の研究成果が出た場合にはすぐに修正することができるし、一度作ってしまえば商用の製品に転用(例えば、復元した城のCGを映画で使ったり、など)も容易だ。また、インターネットを通じて、全世界の人に見てもらうこともできる。

もちろん、これらのメリットは、逆にデメリットにもなり得る。例えば、しようと思えば、容易に著作権を侵害することができる。またそれ以外にも(後に述べるように)質感などはどうしても他の復元方法に負けてしまう。

どうやって復元するか

復元の際には、以下のような様々な史資料を駆使する。
  • 発掘調査(の報告書)
    • 実測図
    • 遺物
  • 古文書などの文献史料
  • 指図・絵図・古地図・写真
  • 現存する同種の遺跡・遺物
この中で一番信頼できるのは、復元する対象と直接つながっていたもの、例えば建築物であれば発掘調査で見つかった建材、柱の礎石など、文書や絵画、土器などのモノであれば見つかった断片などである。これの大きさや材質について正確に記述した発掘調査報告書は、復元の際の根本史料となる。

しかしながら、これだけですべてを復元するのは困難なので、他の史料も駆使する。復元したい対象について書かれた文献は、史料の性質に注意する必要があるとは言え、貴重な情報源だ。また数は少ないが、建築物などであれば設計図に相当する指図があれば便利だし、絵図、古地図、新しいものでは写真なども重要な参考資料になる。復元したい対象について直接書かれた文献や絵図などがない場合には、同じ時代、地域の同種の遺跡、遺物を参考にしながら復元をしていくことになる。

復元の難しさ (1)

しかしながら、復元には多くの困難が伴う。その中の一つが、史資料の使い方ひとつで様々な復元案が可能になる、という問題である。この問題について考えるために、安土城天主の復元案をざっと見てみよう。

安土城はご存知の通り織田信長が建設したものの、死後3年あまりで失われてしまった城である。織田信長という有名人の城であるためか、その復元は多くの関心が寄せられてきた。

数ある安土城の天主(天守閣)の復元案で最も有名なのは、内藤昌氏の説である。内藤氏の説に基づく復元CGや模型は、以下のところで見ることができる。
内藤氏の説は、安土城天主の内部が4階分ぶちぬきの吹き抜けとなっており、その上には空中能舞台とでも言えるようなものがあった、などという、ちょっと聞くとエキセントリックな説である。ただし、改革者、異端者という織田信長のイメージがあるためか、このようなエキセントリックな説も受け入れられているようにも思われる。

しかし、有名な説であるということと、「正しい」(歴史学に「正しい」はあるのか、という問題はとりあえず置いておいて)説であるかというのは、まったくべつのことである。実際、内藤説を批判した宮上茂隆氏の説をはじめ、最近のものだけでも西ケ谷泰弘氏、森俊弘氏らの説がある。このように説が乱立するのは安土城の知名度のなせるわざと言えるだろうが、復元の難しさを如実に語っていると言えるだろう。

復元CGの実例の紹介

では、実際にどのような手順で復元CGを作っていくのか、簡単に見てみよう。ここでは(会場が灘の神戸市立科学技術高等学校ということもあるので)明石城の武家屋敷を3D画像で復元したという例を紹介したい。これは、この3月に花園大学を卒業した藤井啓太君が、卒業論文のテーマとして実際に作成したものである。

明石城は、できて間もない徳川幕府が、西国外様大名に備える拠点として交通の要衝である明石に建設したもの、とされている。JR明石駅の北側に降りると堀と白い壁が見える。城下町は、一説には宮本武蔵が設計したとされ、往時の様子は「明石町旧全図」(文久三〔1863〕年)などから推測することができる。

藤井君が復元に取り組んだのは、明石藩の家老であった美濃部家の武家屋敷である。この武家屋敷には、珍しく「美濃部家屋敷図」という図面が残っており、復元をする際のまたとない参考資料になる。上に「珍しく」と書いたが、なぜ珍しいのかわかるだろうか? その理由は、城や武家屋敷が、単なる住居ではなく軍事施設でもあったからである。所謂『忠臣蔵』で、吉良上野介の邸宅の図面を大工の娘をたぶらかして?盗み出すという場面があるが、あれも武家屋敷の軍事施設の側面を物語っていると言えるだろう(ちなみにこの譬え話は、高校生には理解してもらえなかったが、幸い年配の人〔保護者?高校の先生?〕にはウケた)。

実際の作業においては、まず「美濃部家屋敷図」をスキャナーで読み取る。デジカメで撮ってもいいのだが、レンズの周縁部分にゆがみが生じるので、撮影する場合には余白を十分にとらなければならない。今回のように、あまり大きくないものはスキャナーで読み込むことが多い。

これに3D画像作成に便利なように赤線を引き(図)、この線に従って柱や塀を建てていけば、一通りのCGは完成する。

(このCGは藤井啓太君の著作物である。再利用の際には、以下のライセンスを守って頂きたい。「営利目的での使用は認めません。再配布は許可します。改変を行う場合は作成者の許可が必要です。改変を行う場合は下記の連絡先〔連絡先は省略〕にご連絡下さい。」〔卒業論文に添付されたCD-ROMのREADME.txtより抜粋〕)

復元の難しさ (2)

このように書くと簡単そうであるが、実際の作業においては様々な困難に遭遇する。

一番最初に遭遇するのは、高さをどれくらいにするか、という問題であろう。発掘調査で出てくるのは建物がなくなったあとの平地であるし、図面もやはり上から見た形しか残っていない。柱が残っていたりすれば別だが、ない場合は現存する他の武家屋敷やその他の史料などからおおよその高さは推測できるものの、正確に何センチだったか、というところは最終的にはわからない。復元する人の決め打ちになる。武家屋敷以外でも、例えば前方後円墳などは推測しやすいようだが、寺院などを復元する際には、塔が三重だったのか五重だったのか七重だったのか、というところを判断するのがとても難しい。

また、武家屋敷のような建築物の場合、それ自体を復元するだけでなくその周りの環境や景観を復元したくなってくるが、それがまた非常に困難を伴うものである。現在の我々が見ている風景が、江戸時代とまったく同じということは決してない。生えている植物ひとつとっても、江戸時代には存在しないもの(外来種など)や、あり得ないあり方(植え方、手入れの仕方)などを考慮に入れなければならない。景観まで念頭に入れると、復元という作業は非常に広範な歴史学的知識が必要となってくるのである。

同じように、壁などの色、建具、内装、調度品などについても、復元する際には見える部分はすべて作らなければならないのが、復元の難しさである。例えば藤井君の復元CGでは、障子が現在のような上から下まで紙が張っている障子にしているが、当時は下半分が板張りの腰高障子であった可能性もある。このあたりも、様々な史料によってある程度は判断できるが、最終的には制作者のエイヤッという気合いで乗り切るしかない。

3DCGの難しさ

さらに、CGという方法の限界、問題点もある。

先にも述べたが、質感や雰囲気などは、現在の技術ではどうしても模型や実世界のものには負けてしまう。例えば明かりの問題。基本的に昼間は太陽光、夜も囲炉裏の火やロウソクのようなもので暮らしていた人々の住居は、昼でも蛍光灯が光っている現代人の感覚からすればかなり暗かったはずだ。ところが、その原則に基づいて3DCGを作成すると、真っ暗な画像ができあがってしまう。そこでCG制作者はたくさんの光源をあちこちに配して見やすくするわけだが、それは果たして「復元」と呼べるのだろうか?という疑問が出てくる。世にある復元CGは、当たり前だがはっきりと室内が見渡せるようになっている。つまり、ウソの光がたくさん仕込まれているのである。

また、3DCGの制作に多大な時間がかかる点も無視できない問題である。コンピュータの動画(の一部)は、映画やテレビなどと同じように静止画を高速に切り替えて実現しているのだが、その一枚一枚の静止画をフレームと呼ぶ。1フレームをコンピュータが描画するのに1分とし、映画と同じ24フレーム/秒とすると、たった1分のムービーを作るのにも60×24=24時間かかるということになる。ハイクオリティな劇場映画の場合だとさらに負荷は大きく、シュレックという映画の場合には、1フレームに約1時間、つまり1秒のシーンを作るのに丸一日かかるという計算である。もちろん、たくさんのコンピュータを並列して使ったりして、こんなに時間がかかることはないが、それでも膨大な時間がかかってしまうことは間違いない(藤井君の場合も、締切がある卒業論文の一環であったため、時間のやりくりには結構苦労したようである)。

最後に

以上のことは、3DCGによる復元をめぐる問題のごく一部であるが、それでも制作時の雰囲気、特に復元という行為の「いい加減さ」についてわかってもらえたのではないかと思う。花園大学の情報歴史学コースでは、世にある3DCGなどを見ても鵜呑みにしないリテラシーを身につけ、また実際にコンピュータを使って様々な研究をしたり、作品を作成したりしている。文系だからコンピュータは苦手、という人もいるかもしれないが、藤井君も3回生になってゼミに入ってから3DCGの勉強を始め、(色々ケチをつけたあとでこういうのも何だが)こんなに立派な作品を完成させることができた。興味のある人は是非、いっしょにやりましょう。

Saturday, September 02, 2006

Google、古典作品をPDFでダウンロード公開

1ヶ月以上、間が空いてしまったが:

ITmedia News:Google、古典作品をPDFでダウンロード公開

人文科学にとって、これは大きなニュースだろうと思う。

授業の中でもとりあげたが、Googleがやろうとしていることは、これまでにないやり方でインターネット上での知の表現を実現であり、情報歴史学的にも無視できない。なぜなら、高度な(高度じゃなくてもいいけど、それなりに複雑だったり量が多かったりする)歴史学上の知識を、コンピュータを利用してユーザーにいかに伝えるかというのは、情報歴史学の大きなテーマの一つだからだ。

と言うことで、下の本がよくまとまっているので、是非読んでほしい: